老けて見られない「肌疲労を防ぐスキンケア」9のコツ
肌荒れ、くすみ、たるみなどによって、人は確実に老けて見られる。肌の老化の原因は、大きく3つ。紫外線、酸化、糖化だ。外部からの物理的刺激はもちろん、食生活も影響する「肌疲労」を防止するためのアイディアを紹介する。
取材・文/石飛カノ 撮影/谷尚樹 スタイリスト/高島聖子 イラストレーション/イオクサツキ 編集/阿部優子 撮影協力/UTUWA
初出『Tarzan』No.831・2022年4月7日発売
教えてくれた人
工藤清加先生(くどう・さやか)/日本皮膚科学会正会員。〈わかばクリニック〉理事長。「一人でも多くの人に美と健康を」をモットーに健康美容をトータルに捉えた総合医療を展開する。
目次
肌の老化原因は紫外線だけではない
「肌の疲れ」と「肌の老化」はニアリーイコール。肌荒れ、くすみ、たるみなどによって、人は確実に老けて見られる。
「肌の老化の原因は大きく分けて3つあります。原因の7割を占めるのが紫外線、あとの3割が酸化と糖化です。紫外線は3月から9月くらいにかけて肌に強い負荷をかけます。また、酸化と糖化はお互い密接に関係していて、酸化が進めば糖化も進みます。保温スイッチを入れっぱなしの炊飯器の中のごはんは黄色くて弾力がないですよね。あれと同じことが肌にも起こります」(工藤さん)
くすんで弾力がなく、たるんだ肌は疲労状態の極み。紫外線対策や食生活で対応するのが、老け見えを防ぐ唯一の道だ。
「それ以外にもマスクの装着やシェービングの際の物理的な肌の刺激、睡眠不足、血行不良、乾燥、花粉なども肌の疲れや老化の原因になります。顔を引っ張ったり強くさするといった癖がある人はとくに要注意。糖化+物理的刺激でたるみがより進行します」
うっかり肌に余計な負荷をかけて疲れさせていないだろうか? 生活習慣の見直しも兼ねて、プチ対策を。
① 寝る前に頭皮マッサージをする
肌が回復するのは就寝3〜4時間後。このため、質のいい睡眠をとることは不可欠。入浴後、ガチガチに凝った頭皮をマッサージしてみよう。副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスモードにシフトするはず。
② 調理法は生もの、蒸し物、煮物を狙う
肌の老化を促す糖化の正体は、糖質とタンパク質に熱を加えたときに作られるAGEs。この物質を含む食物を避けることが糖化を防ぐ方法のひとつ。生、蒸す、煮る、焼く、電子レンジ、揚げるの順で糖化率は高い。できるだけ低めの調理法を選ぼう。
③ シェービングでは逆剃り禁止
ヒゲが濃い人ほど力を入れてガシガシとシェービング。でもこれ肌には相当な負担が。T字カミソリの「T」の部分を肌に押し当ててすーっと滑らせるのが正解。毛の方向とは逆にぐいぐい剃る逆剃りは厳禁だ。ヒゲ剃り後はローション等で保湿を。
④ マスクを装着するときは裏表を確認する
コロナ禍で増えたのがマスク肌荒れ。もしかしたらマスクを逆に装着していることが原因かも。マスクの裏側はソフトな繊維、表側は防水加工がしてあるので肌を刺激しやすい。メーカーによって異なるので裏表をいま一度確認。
⑤ 外出時はSPF20〜35の日焼け止めを塗る
3月後半から徐々に強くなっていく紫外線対策の基本は、日焼け止めを塗ること。国内の通常生活ではSPF20〜35くらいで十分。その代わり昼に一度塗り直しを。男性なら重ね塗り、女性は化粧水を含ませたコットンで一度拭き取って塗り直す。
⑥ 入浴時は浴槽に入って汗をかく
肌のくすみの原因のひとつは血行不良。末梢の毛細血管の血流が滞り、老廃物が蓄積されてしまうせい。最も手軽な対策は、入浴時、バスタブに浸かって血行を促すこと。39度程度の湯に15〜20分は浸かりたい。
⑦ エアコンの風をじかに浴びない
風を浴びると肌の水分が失われ、乾燥による肌荒れを起こしやすい。ただでさえ乾燥しやすい冬は風の出ないホットカーペットやヒーターがおすすめ。夏はエアコンの風よけカバーなどの活用検討を。1日2リットルの水分補給で乾燥を予防することも大事。
⑧ 乳液をつけるときは耳に向かって優しく
顔への強い刺激は厳禁。強い刺激がかえってリンパの流れを悪くすることが分かっているからだ。洗顔時、クリームや乳液をつける際はあくまで優しくタッチ。顔の中心からリンパの出口の耳に向かって流すのが基本。
⑨ 花粉抗体ミストを使う
花粉が皮膚に接触することによって肌荒れを起こしたり、そもそもの肌のバリア機能が低下することもある。花粉が多い時期は、花粉に対する抗体を配合したスプレー式化粧水を活用するのもおすすめだ。乾燥対策にもなるので、一石二鳥。