老けない・疲れない体になる! 脱AGEs3つの食事ルール
身近な栄養素・糖質からできる悪玉がAGEs。ご飯やパンからの糖質の摂取法を見直し、脱AGEsを図ると疲れにくい体質に近づける。今すぐ始められるAGEs対策とは?
取材・文/井上健二 イラストレーション/キタハラケンタ 取材協力/河村玲子(管理栄養士)
初出『Tarzan』No.831・2022年4月7日発売
疲労の引き金となるAGEsとは?
日本人は、摂取カロリーの60%近くを糖質から摂る。その糖質の摂り方でも、疲れやすさは変わる。糖質は、ご飯やパンや麺類などの主食、砂糖などの甘味料を使った甘いお菓子などに多く入っている。避けたいのは、この糖質の摂りすぎで起こる「食後高血糖」。
摂った糖質は残らず吸収されて血中へ出る。これが血糖。血糖値は、一定範囲内に収まるように調整されている。だが、食後に血糖値が急上昇する状態を、食後高血糖と呼ぶ。
食後高血糖で疲れる理由はこうだ。
食後高血糖が生じると、血糖値を下げるインスリンというホルモンが出すぎて効きすぎるため、血糖値が下がりすぎる。結果、一転して低血糖に陥ると、疲れや眠気、やる気の低下といった症状が表れる。これを反応性低血糖と言う。食後、毎度のように眠気や仕事の能率低下を自覚しているなら、食後高血糖⇒反応性低血糖が連鎖している恐れがある。
食後高血糖がコワいのは、AGEsの産生を促しやすいから。
AGEsは「終末糖化産物」の略称。血糖値が高くなり、糖質が体温で温められると、カラダを作るタンパク質(正確にはアミノ酸)が糖質で変性する「糖化」が進行する。それで作られるのが、AGEsである。
細胞には、AGEsをキャッチするRAGEという受容体がある。AGEsがRAGEと結合すると炎症を促すシグナルが広がり、有害な酸化を招く活性酸素の発生も盛んになる。慢性的な炎症と酸化は、カラダを内側から疲弊させる疲労の引き金。一度生じたAGEsは排泄されにくく、カラダに溜まる一方の悪玉だ。
脱AGEsのための3大ルール
疲れが怖いからといって、糖質をまったく摂らないわけにはいかない。何より大切なのは、麺類+ご飯などのダブル糖質や、砂糖が多い甘味などを控えて糖質の過食を避けること。
「血糖値を上げるのは糖質だけ。糖質を一度に大量に食べたり、血糖値を上げやすい砂糖など単純糖質を多く摂ったりすると、食後高血糖が起こり、AGEsが生じやすくなります」(管理栄養士の河村玲子さん)
加えて、食べ方の工夫によっても、脱AGEsは叶えられる。
日本人は糖質の多くを主食から摂る。精製度が高い白いご飯やパンやうどんは素早く吸収され、血糖値が上がりやすい。一方、精製度が低くて食物繊維が多い玄米・雑穀米、全粒粉パン、挽きぐるみのそばなどのように黒っぽい穀物は血糖値が上がりづらく、AGEsはできにくい。
次に、主菜の肉や魚、副菜の野菜やきのこ類などから先に食べて、主食を後回しにするように心掛ける。これで消化吸収がゆっくり進み、食後高血糖とAGEsが避けられる。
さらに、早食いをすると食べすぎるし、血糖値も即上がってAGEsが発生。ひと口ずつゆっくり嚙み、早食いを避けるようにしたい。
食事の調理法にも注意しよう
肉や魚のようなタンパク源は血糖値を上げにくいが、なかにはAGEsを含む食品もある。揚げ物のように高温加熱すると糖化が進みやすく、AGEsが多く含まれるのだ。
「食品中のAGEsの約10%が血中に入り、約7%が排泄されずに体内に留まるといわれています」
牛肉ならステーキよりしゃぶしゃぶやカルパッチョ、魚ならフライや天ぷらより刺し身の方がAGEsは少ない。食品の食べ方を考えよう。