深い眠りを手に入れる、寝る前5分の筋膜ケア
カラダに起こる不快な凝りや痛みには筋膜の乱れが隠れているかも。現代人が悩む8つの症状別に、“トリガーゾーン”となっている筋膜をケアして症状を改善する方法を紹介していく。今回は、5人に1人が悩む睡眠障害を改善するトリガーゾーンケアを伝授!
取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/Hi there 監修/滝澤幸一(ソル・エ・マーレ鍼灸治療院主宰)
初出『Tarzan』No.830・2022年3月24日発売
眠りの悩みを筋膜からケア
日本人の5人に1人は、寝付きが悪い、途中で目が覚める、日中眠気が取れないといった睡眠障害に悩んでいるとされる。睡眠障害の原因は人それぞれだが、一因に筋膜も関わる。
とくに首まわりの筋膜が緊張していると、自律神経のうちでも心身を活動的にする交感神経の興奮がなかなか収まらず、眠りに響きやすい。入浴後、ベッドに入るまでの間に、首まわりの筋膜を優しくリセット。交感神経の興奮をオフにしておこう。
「部位別・トリガーゾーンケア」のやり方
- ゆっくり沈み込ませるような強さ・感覚で部位を押しながら、
- 「3秒で吸い+5秒で吐く」という呼吸を、
- 3〜5回(30〜40秒)繰り返して行う。
- 風呂上がりなどに全種目を毎日続ける。
- 症状が治まったら、週3回前後に減らしてもOK。
首の横(胸鎖乳突筋、射角筋)のリリース
左向きで横になり、首の左側にポール(作り方は後述)を横にしてあてがう。左腕を後ろに伸ばし、右腕を前に出し、上体を左側へ捻る。優しく体重をかけて、ポールが首の横に沈み込む感覚が得られるまで押し伸ばす。左右を変えて同様に。
首の後ろ(僧帽筋、頭板状筋)のリリース
床で仰向けになり、首の後ろにポールを横にしてあてがう。両脚を伸ばし、両腕は体側に伸ばす。優しく体重をかけて、ポールが首の後ろに沈み込む感覚が得られるまで押し伸ばす。首の付け根から後頭部までトリガーゾーンを探しながら行う。
「トリガーゾーンケア」とは?
肩こりや腰痛、脚のむくみやスポーツ障害といった慢性的な悩みには、筋膜の乱れが隠れているケースも多い。特に乱れが生じている場所には、筋膜や筋肉に毛玉のようなシコリが見つかる。筋膜が厚く硬くなり、滑りが悪くなって周りの血の巡りを遅らせ、低酸素状態に陥っているのだ。これが、いわゆるトリガーポイント。
「トリガーポイント=点と誤解されがちですが、実際は点ではなく面。ある程度の広がりがある“トリガーゾーン”です。だから、指圧のようにピンポイントで強い刺激を加えるのではなく、じっくり時間をかけて面で押し伸ばすのが正解。指圧がプッシュなら、このケアはプレス&ストレッチが合言葉。患部にゆっくり沈み込ませるような感覚が大事です」(鍼灸師の滝澤幸一さん)
プレス&ストレッチには手製のポールと硬めのボールを準備しておくと便利なのでオススメだ。
トリガーゾーンとは?
触るとコリコリと硬く、軽い痛みが走るところ。周辺に響くような痛み=放散痛を伴うことも。これは神経系の誤作動などによるもの。患部から離れた部位に原因のある可能性もゼロではないが、まずは元のトリガーゾーンとその周辺を攻めた方が症状は解消しやすい。
「トリガーゾーンケア」のためポールとボール
ポールは、食品用ラップの芯にフェイスタオルを巻いて、輪ゴムで数か所固定して作る。ボールはある程度硬さがあるものを選ぼう。