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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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中国医学の粋を集めた気功も、自律神経のバランスを調える有効なメソッドだ。イメージの捉え方を意識することで、カラダの中では単なる体操で得られない変化が起きて不調の改善に繫がるという。
鵜沼宏樹さん/北京で中医学を学び、1989年に中医師となる。北京で研鑽を積み、帰国後は帯津三敬病院を経て、現在は統合鍼灸治療院〈元気〉院長。太極拳や気功に関する著書多数。
中国医学の粋を集めた気功も自律神経のバランスを調える有効なメソッド。ハッ!と気合もろとも遠くから人を飛ばす、わけではない。
「気功は運動、姿勢、呼吸、発声、イメージ、意識の集中、ツボ刺激といったいくつもの要素を組み合わせたり、単独で用いる中国独特のメソッドです」と言うのは臨床気功師の鵜沼宏樹さん。
なかでもユニークなのはイメージの捉え方。たとえば、ただ体操で腕を横に伸ばすのではなく、「腕がずーっと伸びて向こうの山に指先が届く」というイメージを持つことで、カラダの中では単なる体操で得られない変化が起きて不調の改善に繫がるという。
「ポイントは頑張らずにリラックスすること。表情筋を緩め、紐の結び目がハラハラとほどけるイメージで行いましょう」(鵜沼宏樹さん)
一日のシチュエーション別簡単気功で、ゆるっと調えるべし。
朝一番に行う目覚めの気功。踵を突き出す踩蹬功、爪先を上下する健歩功、伸びをしながら腰を振る抜骨式の3つの動きを組み合わせたもの。
朝目覚めたらベッドの中でもぞもぞと行うのがポイント。犬や猫が伸びをするイメージで。筋膜の連携がよくなり、その日一日の膝、腰、背中の好調を維持する効果がある。
小刻みにカラダを揺することで血流が促され、凝りや痛みが改善する、別名“ブラブラ気功”。重心を前後左右に移動させ、顔の表情を緩めてだらだらと貧乏揺すりをするイメージ。
腕がだるい人は両手を頭上に上げて行ってもよし。人前でやるとヘンな人と思われるので、人けがない場所で行うのがおすすめ。
両足を開いて立ち、全身の力を抜く。膝を振動させて全身を揺する。最も心地よい速さとリズムで1〜2分行う。
息を吸うときには交感神経が働き、息を吐くときには副交感神経が働く。この仕組みを利用し、会議の前に息を吐き切り、副交感神経を活性化してリラックス。
腹式呼吸でも同様の効果が期待できるが、慣れていないとかえって力み、交感神経が興奮してしまう。おじぎをすることで自動的に腹式呼吸になるので万人におすすめ。
左右の肩にある肩井というツボの刺激と運動を組み合わせた気功。肩を指で触って硬いと自覚すると、脳からその部分を緩めるよう指令が伝わる。
ツボを押さえたまま肩を動かし、最後に呼吸を意識することでバリバリだった肩の凝りが改善されるはず。長時間のPC作業で肩が重いと感じたときには、いつでもこまめに。
「あ」という音は驚いたとき、感動したとき、恐怖を感じたとき、気持ちがいいときに無意識に口から出る音。
気功の源流のひとつであるチベット密教では「あ」は宇宙の始まりの音で、すべての感情を解放する作用があると考えられている。とくに、心の中に残っている負の感情を解放させるにはもってこいのメソッドだ。
浴槽で、「あー」と発声しながら息をゆっくり吐く。吐き切ったら息を吸い、再び発声して息を吐く。5回。
仰向け姿勢でリラックスし、呼吸に意識を向けるというシンプルな気功で、マインドフルネスと同様のリラクセーション法。
呼吸を耳で聴くのではなく、呼吸そのものに寄り添い、あるがままを受け入れる。勝手に呼吸が細く長くなり、意識もとろーんとしてくるはず。「集中する」のではなく、ただ「感じる」ことが大事。
ベッドの上で大の字になり、掌を上向きにする。眉間と口元をふにゃっと緩めて自然呼吸。そのまま眠ってもよし。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/小野寺光子 編集/阿部優子
初出『Tarzan』No.821・2021年10月7日発売