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定期的な「性的な刺激」がカラダに必要な理由|脳科学と性④

脳科学の第一人者である岡山大学の坂本浩隆准教授に、性欲の源ともいえる男性ホルモン「テストステロン」について伺いました。生きていくうえで欠かせない、でもよくわからない「性欲」にちゃんと向き合う連載。

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テストステロンは性欲のスイッチを入れる重要な存在。

性と脳の関係について語るうえで欠かせないのが、「テストステロン」という男性ホルモンの存在。『ターザン』読者であれば筋肥大に関わるホルモンとして認知しているかもしれないが、それだけでなく、人間の“やる気”にも影響を及ぼすのだ。

この分泌量が多いほど、決断力や行動力などが高まると言われており、“エロい気分”にさせることにも大きく関わっているらしい。

「性欲がたかぶるのは交感神経が優位になっている証拠ですが、そのスイッチを入れる役割を果たすのがテストステロンです。男性は主に精巣から、女性は副腎や卵巣から分泌され、脳の視床下部にある受容体でキャッチされます。

それがきっかけとなり、ドーパミンやセロトニンといった快楽ホルモンの分泌を促すわけです」(岡山大学・坂本浩隆准教授)

健康な性欲の土台は心身にあり。

何らかの原因によってテストステロンの分泌量が減少すると、当然ながら性欲は減退する。そのなかでも大きく影響を及ぼしているのが生活習慣だ。

テストステロンの分泌を制御する 視床下部−下垂体系のコンディションは、生活リズムに左右される。よって、不規則な生活をしていると、テストステロン値の低下を招いてしまう。

「脳は特別な器官ではないので、心身の健康を保つことが第一です」 。つまり、栄養バランスの整った食事質の高い睡眠適度な運動の3つは基本のキ。「健康な性欲は、健康な身体に宿る」というわけだ。

どれかひとつでも蔑ろにしている自覚がある人は、生活面の改善から考えてみたほうが良いだろう。

テストステロン値のキープには適度な性的刺激も大切。

また、性的な刺激を定期的に脳に与えることも、テストステロンの分泌量をキープするうえで大切だという。

「脳が不要だと判断した機能は、どんどん退化していくと一般的に言われています。つまり、日頃のテストステロンの分泌が少ないと受容体の機能も低下してしまうわけです」。

性行為にかぎらず、ドキドキしたり、ムラムラしたりすることは、性欲を減退させないために良いという。先ほど紹介した生活習慣の3つの基本に加えて、脳に刺激を与えることも意識して習慣化するといいかもしれない。

教えてくれた人
坂本浩隆先生
坂本浩隆(さかもと・ひろたか)/岡山大学大学院自然科学研究科准教授。専門は神経内分泌学。特に神経ペプチドホルモンやステロイドホルモンの神経系への影響や、行動レベルで作用している神経内分泌系の仕組みに関心を持ち、研究をしている。また、科研費研究課題を対象とした先端バイオイメージング支援事業(ABiS)にも携わる。

 

取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/村林タカノブ

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