詰まりを流して本来のポテンシャルを引き出す。
股関節は太腿の骨である大腿骨と骨盤をつなぐ位置にあり、骨盤のくぼみに大腿骨上端の球状の部分がはまり込んだ構造が特徴。だからこそ脚を前後左右と直線的な動きだけでなく、上げ下げしたり回すなどの立体的な動作がスムーズに行えるのだ。
だが股関節が硬いままでは、それらの動きをする時に詰まりが生じる。
「股関節が硬いというのは、股関節の可動域が狭くなっている状態を指します。この時、股関節のモビリティ(可動性)の妨げとなるのが、股関節の周辺にある筋肉や筋膜、腱、靱帯などの軟部組織です。現代はデスクワークなどでカラダの前面を重点的に使って作業する時間が長く、その影響を受けて軟部組織の中でもカラダの背面や外側の筋肉が固まっている人が目立ちます」(澤木一貴トレーナー)
股関節を根本から整えるうえで、まず取り組むべきは“ほぐす”こと。
「股関節まわりの軟部組織の血流などが滞っている状態で可動域を広げたりモビリティを高めるための手を打ってもあまり意味がない。準備運動として入念にほぐすことで、エクササイズの効果が底上げされます」
こちらの記事(8つの動きでチェックしよう! あなたの“股関節力”)で自分の股関節の弱点をチェックできるので、対応する「関係する股関節の動き」の種目を特に積極的に行おう。
“ほぐす”6つのエクササイズ。
① ヒップトラクション(左右各5回)
関係する股関節の動き:屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋
- 両脚を前方に伸ばして床に座る。
- 片膝を立て大腿骨を引きはがすイメージで太腿を3秒かけて両手で押し出す。
- 体重を利用し、斜め上に押し出すのがポイント。
② アダクタータップ(左右交互に10秒間)
関係する股関節の動き:外転
- 床に座り両足の裏をつけて両膝をしっかり開く。
- 両手で拳をつくり、太腿の付け根から内腿の中心までの範囲を10秒間、適度な力で左右交互に叩く。
③ グルートメディウスリリース(左右各10回)
関係する股関節の動き:外旋・内旋
- 両脚を伸ばして座り、片側に体重を乗せ、逆側のお尻を浮かせて膝を曲げる。
- 腸骨の出っ張りの後ろ付近の中臀筋を親指で3秒かけてゆっくり押し指を離す。
- 指の力が弱ければ拳で圧をかける。
④ ヒップレクサーコンプレッション(左右各5回)
関係する股関節の動き:伸展
- 両膝を伸ばして床に座り、片足を逆脚の膝に近づけるように膝を曲げる。
- 伸ばした脚の付け根の中心付近に両手の親指を当てる。
- 上体を前に倒しながら3秒かけてゆっくり押し、指を離す。
⑤ TFLリリース(左右各10回転×5回)
関係する股関節の動き:伸展・内旋
- 床に座り片膝を立てて、逆側の手を床について上体を支える。
- 膝を立てた方の手を軽く握り、外腿の付け根に手掌基部を当てる。
- 膝の上までの範囲を圧をかけながららせん状に動かす。
⑥ スーパインバットキック(左右交互に10秒間)
関係する股関節の動き:屈曲・外転・内転
- 仰向けになり両膝を揃えて曲げた状態で片足を浮かせる。
- この時、太腿が床と垂直になるよう意識。
- そこからバタ足のように膝下を左右交互に動かし、臀筋をキック。
- 反動を利用して尻に踵を届かせること。