「肩こり」を狙い撃ちする、マッサージガンの使い方
マッサージガンで凝りを撃退するには、肩まわりの筋肉だけでなく、根本的な原因となる筋肉を細かくリリースする必要がある。注力すべき4箇所とは…?
取材・文/門上奈央 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 撮影協力/ハイパーアイス 監修/友岡和彦
初出『Tarzan』No.803・2021年1月28日発売
銃のような見た目のマッサージ器具、「マッサージガン」。先端のアタッチメントの振動により筋肉の弛緩を促し、深層筋までリリースするハンディタイプの電動ギアだ。その効果や選び方などは、こちらの記事(噂の「マッサージガン」。何がいい? どう使う?)紹介した通り。今回は「肩こり改善」を目的としたマッサージガンの使い方を解説する。
肩〜首でなく収縮している前側に注力!
マッサージガンで凝りを撃退! と、首の付け根から肩先までに先端部を当て振動させるだけでは不十分。
「リリースするなら使いすぎている筋肉を刺激することが大原則です」と、友岡さん。その言を受けてよぎるのは肩こりの場合は肩まわりの筋肉だが、より根本原因を探れば、真に当てるべき筋肉が見えてくる。
「肩こりの主因は猫背や前傾姿勢による巻き肩で、過度に収縮しているのは胸や肋骨まわりなどの前側の筋肉。肩の筋肉を過剰に直接刺激するのは“揉み返し”のような症状が表れる可能性が高く逆効果です。また、肩こりに悩む人の後ろ側の筋肉は、筋膜の癒着は少なく、むしろ弛緩している人が多いので、リリースは必須ではありません」
下記の通り、肩こりでは細かい筋肉にアプローチする必要がある。
「肩や首周辺に使うアタッチメントは最も低刺激なクッションが最適。肩まわりは骨が多く、肌の上で跳ねにくく使いやすいです。筋肉が大きい胸筋まわりは、より深部に刺激を与えるラウンドかブレットを症状に合わせて使い分けると効果的です」
① 小胸筋・大胸
大胸筋と、その深部にあり肩甲骨と肋骨を直接つなぐ小胸筋。巻き肩になる時、胸筋群は過度に収縮している状態。いずれも胸の内側と、鎖骨の端(肩側)まで筋肉があるため、小さな円を描くようにリリース。
② 斜角筋群
首の前面についた筋肉で、ストレートネックの状態では慢性的に過緊張状態にある。耳の後ろから鎖骨の中心部に延びる胸鎖乳突筋のやや外側に位置するため首の付け根(と下部)を直線的にケア。
③ 僧帽筋上部
首の後ろ側から肩、背中にかけて広がる僧帽筋。首の付け根から肩にかけての範囲が、肩まわりが固まって引き上がった状態だとガチガチに。首の付け根から肩に向けて、直線的に動かしてリリース。
④ 肋間筋+広背筋
肋骨の間に位置する肋間筋は胸郭を広げる作用があり、柔軟性があると呼吸がスムーズになり、肩こりにもいい影響が。また背中に広がる広背筋の弾性を取り戻すことも大切。細かい範囲ゆえ直線的に動かす。
マッサージガンの後はストレッチをセットで!
マッサージガンを使った後のルーティンに行うべきはストレッチ。
「マッサージガンでは筋膜の癒着を解くことができますが、それだけでは真にしなやかで機能的な筋肉であるとは言えません。筋肉の弾性を出して動きやすくするにはストレッチが重要です。マッサージガンでリリースして、筋膜の緊張をニュートラルな状態に整えておくと、少しのストレッチで最大限の効果を得ることができます」
ストレッチと筋膜リリースには共通点も。
「いずれもやりすぎ厳禁で、伸ばす/振動させるを強くやればいいわけではない。徐々に行うことが大切です」