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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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どんなに正しい姿勢をキープしようとしても、時間とともにうっかり崩れてしまうのが、人間というもの。何気ない座り方、立ち方が肩こり・腰痛に繋がるケースも。日常に潜むNGな姿勢を学ぼう。
肩こりや腰痛に悩む人はまず、壁に背中をくっつけて立ってみよう。後頭部、肩、お尻、ふくらはぎ、踵の5点が無理なく壁にくっつけば、それが正しい立ち姿勢だ。
二足歩行の道を選んだヒトは、独特の背骨の形を手に入れた。首の骨(頸椎)が前彎し、胸を支える骨(胸椎)が後彎、腰に当たる骨(腰椎)が前彎するというS字カーブだ。
このS字カーブが直立する負荷を適度に分散している。壁5点づきはそれができている証拠。頭が前に出ていると肩甲骨周辺の筋肉が引っ張られて肩こりに。腰が反ったり丸まったりすれば腰周辺にテンションがかかって腰痛に。立ちでも座りでもこれは同様。まずはチェックを。
2020年の4月からもうずっと、あるいは第3波のあおりでテレワークに逆戻り。打ち合わせのたびに席を立ったり、こまめにコピーを取りに行ったり、ランチ後公園でほっとひと息なんて機会もなく、ひたすらデスクにかじりつきっ放し。
で、何が起こるか? 背骨が適正なS字カーブを描いているとき、腰椎はやや前傾し骨盤は立った状態。ところが、長時間座り姿勢を続けていると骨盤は後ろに倒れるか前に倒れる。体幹の力で上体をまっすぐ保つことに疲れてしまうからだ。
とくにリモートワークで多く見られるのは骨盤後傾。背もたれについ背中を預けてしまうという人は腰椎への負担増で腰痛のリスク大。
信号待ち電車待ちコンビニやスーパーでのレジ待ちでは無意識に「休め」の姿勢で片脚荷重。軸脚側の筋肉ばかりに体重がかかり、逆脚は常にフリーの状態。結果的に筋バランスに左右差が生じ、骨盤が歪みやすい。座り姿勢なら脚を組むという動作がこれに当たり、骨盤が傾斜するだけでなく捻りが加わる。
片脚荷重も脚組みも、やっちゃイカンということではなく、年中同じ側に偏ることが問題。
多くの場合、立つときは利き脚が軸脚となり、座るときは左右のお尻の筋肉が柔らかい方の脚を上にして組みがち。左右のポジションを定期的に変え、苦手な側を意識的に長くキープするくらいが、ちょうどよい。
座り姿勢では両脚は荷重から解放される。気軽に脚が組めたり、両脚をぶらぶらさせることができるのはそのためだ。では、解放された分の負担はどこが請け負っているかというと、答えは腰。
下のグラフをご覧いただこう。姿勢の違いによる腰椎への負担を指数化したものだ。正しい姿勢で立った状態の負担を100とすると、正しい姿勢で座ったときのそれは140。脚に分散されていた荷重負荷を腰椎が引き受けている証拠だ。
さらに座り姿勢で前傾すると負担はさらに高くなり、185に。ただでさえ座り姿勢は腰痛のリスクを高める。立ち姿勢以上にちょいちょい矯正すべし。
立ち姿勢の悪さによる肩こり、座り姿勢の歪みによる腰痛。どちらにしてもカラダを動かさないことが主な原因だ。
筋肉を収縮させる機会が減ると、血流が滞る→柔軟性が低下する→関節の動く範囲が限られる→不良姿勢になる→さらに血流が滞る→凝りや痛みが生じる、という仕組み。
さらに悪いことに脳は「悪姿勢=楽な姿勢」と形状記憶してしまう。早ければ数週間で脳に記憶が刷り込まれ、悪姿勢が習慣化。こうなると負のループのドツボにはまる。
まずは柔軟性の低下した部位を緩める。次にしっかりと伸ばす。仕上げに適度に動かす。この3ステップで正しき形状記憶を促そう。
取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 イラストレーション/黒木仁史 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.803・2021年1月28日発売