• 低負荷・低回数・低頻度でも筋トレ効果が期待できる「スロトレ」とは?
TRAINING
2020.09.16

低負荷・低回数・低頻度でも筋トレ効果が期待できる「スロトレ」とは?

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筋トレの効果を高めるには高負荷(高重量)を扱わないといけないと思ってませんか? 低負荷・低回数・低頻度の“3低”でも十分に筋トレ効果がきたいできるのが「スロトレ」。ポイントは動作のスピードにあり。

Q1. そもそもスロトレって何?

A. 超ゆっくり行う効率的なメソッドです。

スロトレというとダイエット志向の女子向けイメージが強いが、どうして歴史はなかなか深い。

週に6日、何時間もかけてせっせとトレーニングを行うビルダーたちに、1970年代、「もっと効率的な方法があるよ」と提案したのは、トレーニング界のレジェンド、アーサー・ジョーンズ。ノーチラスマシンの開発者である彼が提唱したのが、10秒かけてウェイトを持ち上げ、10秒かけて下ろすスーパースロートレーニングだ。

これ、レップ数3〜6でオールアウトできて、頻度は週に2回、なんなら1回でも効果が期待できるという驚きのメソッド。その後、時代が下るとともにさまざまな進化を遂げ、現在では『Power of 10』という一冊の本に具体的な実践方法がまとめられている。

Power of 10
90年代にケン・ハッチンスという人物が提案したスーパースロートレーニングを書籍化した『Power of 10』。原書だが興味のある人はご一読を。

Q2. スロトレの3大メリットって?

A. 低負荷、時短、安全性にも長けています。

なぜ低回数および低頻度で筋トレ効果が期待できるのか? ゆっくり行うことで血流が阻害され、各種ホルモンや乳酸や水素イオンといった産生物が分泌されるからというのが、その理由。スロトレでは、かつて流行した加圧トレのような効果が見込めるのだ。

また、早い切り返しのトレーニングでは筋肉に負荷をかけるために高重量のウェイトを扱う必要がある。というのは大きな負荷をかけなければ筋肥大をする速筋が稼働しないからだ。その点、スロトレでは1RM(1回持ち上げるのが精一杯の負荷)の半分くらいの負荷でも速筋が使われ始めるという。ゆっくりとしたスピードそのものが負荷になるといってもいい。

なので、低回数低頻度でも効果が見込める。つまり、ハードに追い込む必要なし。同時に時間の効率化が図れる。さらに低負荷だから関節への負担も少ない。ウェイトを扱わない自体重トレでも、この理屈は同様。お疲れ気味のときに行うにも最適のメソッドだ。

Q3. スロトレで最大効果を上げるには?

A. 1分間のTUTを目安に行います。

筋肥大の効果を左右するキーワードのひとつは、「タイム・アンダー・テンション(TUT)」。これは筋肉に緊張をかける時間のこと。時間が長いほど筋肥大が促されるという考え方だ。

実際、切り返しの早い運動では、筋肥大を促すエムトールという筋肉中のタンパク質が不活性化することが分かっている。逆にゆっくりと行う運動ではエムトールが活性化し、筋肥大には有効なのだ。

筋肥大が見込めるTUTの目安は1分間程度といわれている。10秒で上げて10秒で下ろすスーパースロートレーニングが3レップでもよしという理由がここにある。とはいえ、初級者にはなかなか難しい。まずは4秒で上げて4秒で下ろす方法からスタートを。

スロトレのポイント
初級者は4秒で上げて、フィニッシュで2秒間キープ、その後4秒で下ろす。これを6回繰り返せば1分間のTUTが確保できる。慣れてきたら10秒間のスーパースロトレを。

Q4. スロトレは疲労回復に効果的?

A. 自律神経に負荷をかけません。

夏バテの原因のひとつは、自律神経のバランスが乱れることにある。屋外と屋内の気温のギャップが大きくなると、体温調節を司る自律神経に負荷がかかるからだ。

気温が高いときは交感神経の血管収縮神経が弱まって発汗が促され、気温が低いと今度は血管収縮神経が働き体温を確保しようとする。この状態が頻繁に繰り返されることで自律神経バランスが乱れると考えられるのだ。そんな状況で高重量のウェイトを高速でガンガン持ち上げては下ろすトレーニングを行えば、交感神経の興奮はマックス、心拍数も跳ね上がる。

本来、夜間は副交感神経が優位になりカラダは休息モードに入る。自律神経バランスが乱れているうえ、夕方以降にこの手のトレーニングをすると、速やかな入眠はとても望めそうもない。スローな自体重トレなら交感神経もそう興奮しないし心拍数も上がらない。カラダが休息モードにソフトランディングできる可能性も高いのだ。

Q5. スロトレ実践のポイントは?

A. 動きの軌道をイメージすることです。

低負荷だから楽ちん。とはいえ、スロトレは決して難易度が低いわけではない。自体重トレでは4秒でカラダを引き上げて2秒キープし4秒でカラダを下ろす。慣れないうちはこれが結構、難しい。

稼働域がそれなりにある種目でないと、4秒かけて1動作をするのはより難しくなる。というわけで、フッキンならばクランチより稼働域が大きいシットアップが断然おすすめだ。

シットアップ
2カウントで起き上がって2カウントは待ちの状態。これではTUTを確保できない。スタートポジションから4カウントかけてフィニッシュまでもっていく。写真のシークエンスのように1カウントずつ等分した動きをイメージしよう。

トレーニングを行う際は、終始同じペースで動作を行うことがポイント。1カウントでこのあたり、2カウントでこのあたり、と動作の軌道をイメージして同ペースを維持すること。メトロノームアプリを利用するなどして、一定ペースを貫こう。

取材・文/石飛カノ 撮影/山城健朗 スタイリスト/齊藤良介 ヘア&メイク/天野誠吾 エクササイズ監修/白戸拓也(フージャース ウェルネス&スポーツ)

初出『Tarzan』No.794・2020年8月27日発売

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