柔軟性が高いからいいわけではない。あなたの柔軟性をチェックしてみよう
カラダの硬さを自覚するのは、前屈をするときくらい。普段は筋肉の柔軟性レベルを気にする機会はあまりないが、運動不足だと想像以上に筋肉は硬くなっている。手始めに主要な6つの筋肉の柔軟性をチェック!
取材・文/井上健二 ストレッチ監修/<a href="/tags/nakano_james/">中野ジェームズ修一</a>(スポーツモチベーション代表)
(初出『Tarzan』No.765・2019年5月23日発売)
やるべきは筋トレか、それともストレッチか。
柔軟性は高ければ高いほどいいと思いがちだが、実はそうではない。
「過度の柔軟性があると関節が不安定になり、痛みや障害を起こす恐れがあります」(中野ジェームズ修一さん)
硬さが自覚できれば「何とかしたい!」と素直に思えるから、ストレッチに取り組むモチベーションも高まる。柔軟性が劣っている筋肉から重点的に攻めよう。知らんぷりで放置すると硬化は一層進行するばかり。ストレッチは何歳になっても効果的だが、早めに手を打つに限る。
チェックの結果、柔軟性がありすぎると判定された筋肉はストレッチを控えるべき。代わりに筋トレで鍛えて関節を守ってやろう。
1. 肩関節周辺
両手の指先が10cm以上離れているのは柔軟性不足だが、両手の指が握れるのも実は過度な状態。両手の指先が軽く触れるか、離れても10cm程度が適度な柔軟性だ(上腕三頭筋、三角筋下部、ローテーターカフの筋肉など)。
2. お尻
右脚の脛が床と平行になる高さまで引き寄せられないのは、柔軟性不足。逆に、右足のくるぶしが顔の高さに来るまで、無理なく引き寄せられるのは過度な柔軟性。右脚の脛が床と平行になる高さで、無理なく引き寄せられるのが適度な状態だ(大臀筋)。
3. 太腿後ろ側
右股関節が床と垂直になるまで右脚を引き寄せられない。右股関節が床と垂直のラインを越えて右脚を引き寄せられる。どちらも、過不足あり。適度な柔軟性があれば、右股関節が床と垂直になるまで右脚を引き寄せられる(ハムストリングス)
4. 太腿前側
柔軟性不足だと、右手で右足首が摑めない。または右踵とお尻の距離が10cmを超えても腰が反ったり、痛みが出たりする。過度な柔軟性では痛みも反りもなく、右踵がお尻につく。適度な柔軟性では、右踵とお尻の距離が5〜10cmまで近づき、腰に痛みがない(大腿四頭筋)。
5. 内腿
左右の膝と床の間に、それぞれ拳3個分以上の隙間があるのは、柔軟性不足。両膝が床に完全につく。またはつく努力をしても痛みがないのは過度な柔軟性といえる。 拳1〜2個分の隙間があるのが適度な状態だ(内転筋群)。
6. 足関節周辺
踵を浮かせないと、両膝を抱えてしゃがめない。または、両踵を床につけた途端、バランスを崩すようでは柔軟性不足だ。両踵を床につけたまましゃがんで両膝を抱えたうえに、膝が爪先より前に出るのはやりすぎ。両踵を床につけたまましゃがみ、両膝が抱えられる程度の適度な柔軟性が望ましい(下腿三頭筋〈腓腹筋、ヒラメ筋〉)。