ストレッチの効果を高める4つの実践テク
長年の運動不足や不良姿勢でガチガチに硬くなったカラダは、筋トレのように週2〜3回思い出したようにやってもなかなか解凍できない。そこでお薦めなのは、日々の生活の隙間時間やながらでストレッチを行う習慣をつけること。中野ジェームズ修一さんに教えていただいた、4つのテクニック。
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/山内省吾 ヘア&メイク/天野誠吾 ストレッチ監修/<a href="/tags/nakano_james/">中野ジェームズ修一</a>(スポーツモチベーション代表)
(初出『Tarzan』No.765・2019年5月23日発売)
筋トレは2〜3日おきに週2〜3回ペースで行うべき。筋トレで筋肉に強い刺激を加えると疲れが溜まってしまう。だから2〜3日の休息を挟み、疲労が回復したタイミングで次のトレーニングを行うのだ。
それに対してストレッチでは筋肉は疲れるどころか、やればやるほどコンディションは良くなるばかり。毎日やってもいいし、何なら1日何セッション行ってもいい。できるときに、できることから。徐々に生活に取り入れて、ストレッチの習慣化を。
1. 1セットではなくストレッチもやはり3セット。
ストレッチは一般的に15秒程度伸ばすのが有効とされる。でも中野さんはあえて「30秒伸ばしましょう」と指導する。
なぜか。筋肉を伸ばし続けると、15秒ほどで神経の抑制が外れてより伸びる。それが15秒説の根拠。しかしそれは正しい姿勢でベスポジまで筋肉を伸ばしてからの話。姿勢が定まらず、伸ばし方も不十分なうちはカウントダウンしてはならない。
30秒ほどやれば、そのうち15秒は効いているはず。そして1セットで終わらず2〜3セットやるべき。前述のように波状的に行うと筋膜の抵抗が取れて伸びやすくなる。
2. 吐く息を意識すると筋肉は伸びやすい。
ストレッチ中は呼吸を止めないことが大事。呼吸を止めると血管が圧迫されて血圧が上がりやすく、血管のストレスになる。さらに吐く息を意識して長くゆっくり呼吸すると、筋肉は伸びやすい。
呼吸と密接に関わるのは、交感神経と副交感神経からなる自律神経。息を吸うときは交感神経、吐くときは副交感神経が優位になる。交感神経は緊張をオンにして筋肉を硬くするが、副交感神経は緊張をオフにして筋肉が緩みやすい環境を整える。だから息を吐きながらだと筋肉が伸びやすく、柔軟性もそれだけ高まりやすい。
3. 痛いでも気持ちいいでもダメ。イタ気持ちいいが効く。
日本人は生真面目だから、筋肉も伸ばせば伸ばすほどいいと思い込んでいる。でも、これは間違い。痛みを感じるところまで無理に伸ばすと、筋肉に埋め込まれた筋紡錘というセンサーのスイッチが入る。筋紡錘は筋肉の長さをモニターしており、必要以上に伸ばされると、切れないように「縮め!」という命令を反射的に出す。
ストレッチ中に筋肉がプルプル震えてくるのは、筋紡錘が起動したサイン。かといって気持ちいいと感じるレベルでは筋肉の伸張刺激は不十分。震える手前の「痛いけど、気持ちいい」がベストだ。
4. 大きい筋肉は3ウェイで伸ばせ。
筋トレでは、同じ筋肉を複数の種目で鍛えることがある。同じ筋肉でも付いている骨の位置や線維が走る方向が異なると、1種目のみでは満遍なく鍛えられないためだ。
ストレッチも同様に1種目のみだと十分に伸ばせない筋肉がある。それは僧帽筋、大胸筋、ハムといった大筋群と呼ばれるビッグマッスル。最低でも3方向(3ウェイ)でストレッチしたい。
1方向だけで終えると同じ筋肉内でも柔らかくて伸びやすい線維ばかりが伸び、ストレッチしたい硬い線維はいつまで経っても伸びない。これでは柔軟性は高まらない。