骨格矯正トレで“ウエスト引き締め姿勢”をつくろう。

お腹が出るのは、脂肪だけが原因ではない。骨盤の傾きやインナーマッスルの衰えが姿勢を崩し、出腹を加速させていることもある。骨格のメカニズムを理解し、歪んだ骨盤をリセットしていこう。

取材・文/石飛カノ 撮影/石原敦志 スタイリスト/ヤマウチショウゴ ヘア&メイク/村田真弓 エクササイズ監修&取材協力/白戸拓也

初出『Tarzan』No.901・2025年4月17日発売

お腹が凹む姿勢の作り方
教えてくれた人

白戸拓也(しらと・たくや)/1963年、青森県生まれ。フージャース ウェルネス&スポーツ。元BODYPUMP/BODYCOMBATマスタートレーナー。法政大学卒業。大学卒業後、大手フィットネスクラブに入社。約30年在籍し、クラブマネージャーや教育担当などを歴任する一方、フィットネスの新たなトレンドを作るようなエクササイズプログラムを数多く開発。日本におけるレジェンドトレーナーの一人として一目置かれる存在。

正しい姿勢、できてる?セルフチェックで確認しよう。

骨盤の後傾、インナーユニットの衰えがボコッとしたお腹の原因であることは、他の記事(関連記事:姿勢が悪いと腹が出る? 骨盤の傾きがぽっこりお腹を作る理由。)でも紹介した。

ただ、果たして自分がそれに当てはまるかどうか? 自覚できている人は、もしかしたらかなり少数派かも。今の自分の姿勢をチェックすることが、ぽっこりお腹改善の第一歩。

チェックA|壁に背中をつけて自然に立つ。

チェックA

壁に背中をつけて普段通りに立ってみる。このとき、正常な姿勢であれば後頭部、肩、お尻、踵の4点が無理なく壁にくっつくはず。

頭と肩が壁から離れている場合は胸椎の後彎がキツすぎる猫背姿勢。また、腰と壁の間に隙間がない場合は骨盤後傾、逆に掌2枚以上入る場合は骨盤前傾姿勢だ。

チェックB|立ち姿勢で左右の手の位置を確認する。

チェックB

胸椎の後彎がキツい猫背姿勢は骨盤後傾とセットになっている場合が多い。自然に立っている姿勢で手の位置を見ることでも猫背具合が分かる。

正面から見たとき、手の甲が正面を向いていたら真正の巻き肩&猫背姿勢。正しい姿勢では指先が脚の真横にくっつく。太腿前近くに手が来る場合はもれなく猫背だ。

チェックC|床に腹這いになり両肘を床につく。

チェックC

胸椎が丸くなる猫背が進むと、当然、胸や腹などカラダの前面が縮こまるので腹横筋や横隔膜を使いにくくなる。

さらに背中の多裂筋も常に引っ張られた状態に。床に腹這いになって背中を反らす、いわゆる「パピーポジション」がとれない場合はかなり重症。痩せていても外見は出腹という可能性が高い。

さあ、腹凸から腹凹姿勢へ!

己の姿勢を自覚したら、あとは改善に努めるだけ。腹凹のメソッドは食事制限や運動だけと思い込んでいたら大間違い。姿勢リセットだけであっさり問題が解決するケースも案外少なくないはずだ。

今すぐ行うプチリセット・エクササイズ。

瞬間的に姿勢をリセットする3つの簡単エクササイズからスタート。まずは頭が前に倒れることで弛んだ胸鎖乳突筋を刺激し、次に巻き肩で離れた肩甲骨を寄せて肩の位置を矯正、最後は骨盤の前後傾の動きを意識的に行う。今すぐにトライ。

チンタック

チンタック

  1. 顎の下に片手の親指の先を引っかけて前にプッシュ。
  2. そのまま親指と顎を押し合いながら顎を手前に引いて10秒キープ。胸鎖乳突筋を刺激し頭の位置をリセット。

肩甲骨ポケット

肩甲骨ポケット

  1. まっすぐに立ち、両肩を真上に最大限引き上げる。
  2. 次に肩を後ろ側に回し、肩甲骨を寄せつつ下に下ろす。イメージとしては肩甲骨をお尻のポケットに入れるつもりで。

骨盤アイソレーション

骨盤アイソレーション

  1. バランスボールの上に座り、まずニュートラルの姿勢をとる。
  2. 次にお尻を後ろに突き出して骨盤を前傾、背中を丸めて骨盤を後傾。丸めたタオルの上でも可。
インナーを覚醒させるエクササイズ。

プチリセット・エクササイズは気づいたときにいつでも行う。それと同時に行ってほしいのがインナーを目覚めさせるエクササイズ。ドローインで腹横筋、グルートブリッジで骨盤底筋群、ソラシックツイストで多裂筋、ブリージングで横隔膜を刺激。毎日行うべし。

ドローイン

ドローイン

  1. 床に仰向けになり両膝を立て、両手をカラダの横で床につける。腰と床の間には隙間を作る。
  2. スマホなどをお腹に乗せ、30秒間お腹を凹ませてキープ。3セット。

NG

NGドローイン

グルートブリッジ

グルートブリッジ

  1. 床に仰向けになり両膝を立てる。
  2. 足の爪先は床から浮かせて踵で体重を支える。両手はカラダの横で掌を上に。
  3. お尻を床から浮かせて肩から膝までを一直線に。10回。

NG

NGグルートブリッジ

ソラシックツイスト

ソラシックツイスト

  1. 床に横になり、両膝を合わせて直角に。両手は揃え前に伸ばす。
  2. 下の手を床につけたまま、上の手を真上から反対側の床に向けてまっすぐ伸ばし30秒キープ。逆の手も。

ブリージング

ブリージング1

1.息を吸って胸を上げ、吐いて下ろす。

ブリージング2

2.吸って左右に胸を広げて吐いて閉じる。

ブリージング3

3.吸ってお腹を出し吐いて凹ます。すべて4秒で吸って4秒キープ、8秒で吐く。

アウターを固める週2エクササイズ。

インナーユニットが機能するようになったら、続いてカラダの前面と背面を動かすときにアウターの筋肉を参加させる。ドローインしながら腹直筋や腸腰筋を働かせることでコアを固め、僧帽筋や広背筋、ハムを働かせて姿勢矯正力を高めるのだ。週2回行おう。

プランク with ドローイン

プランク with ドローイン

  1. 床にうつ伏せになり両腕の肘から先と爪先を床についてカラダを床と平行にセット。
  2. そのまま息を吐きながら腹を凹ませたら、自然呼吸で30秒キープ×3セット。

スプリットスクワットwithドローイン

スプリットスクワットwithドローイン

  1. 両足を前後に大きく開いて立つ。後ろ足の踵は床から浮かせる。
  2. 息を吐いてお腹を凹ませたら自然呼吸で膝を曲げて腰を落とす。
  3. 息を吐いて元の姿勢に。左右各10回。

ニーエクステンションwithドローイン

ニーエクステンションwithドローイン

  1. 床に膝立ちになる。
  2. 息を吐いてお腹を凹ませたら自然呼吸で上体をできるだけ後ろに倒す。頭から膝までは常に一直線になるように。
  3. 息を吐きながら元の姿勢に。10回。

YTWL

YTWLのY

YTWLのT

YTWLのW

YTWLのL

  1. バランスボール上に腹這いになり、両手を「Y」「T」「W」「L」の形に開き、順番に左右の肩甲骨を寄せて離す動きを繰り返す。Yで10回、次はTで10回という具合。

ロウイング

ロウイング

  1. 左右の手にペットボトルを持って両膝を曲げ、上体を前に倒す。背中が床と平行になるように。
  2. そのまま肘を引き上げてペットボトルを胸に近づける。10回×3セット。

ワンレッグルーマニアンデッドリフト

ワンレッグルーマニアンデッドリフト

  1. 立った姿勢から上半身を前に倒すと同時に片足を床から浮かせ、頭から踵までを床と平行にする。おヘソを真下に向けてカラダを捻らないこと。左右各10回×3セット。