お腹痩せの近道は脳を「再教育」することから。
食事の我慢や運動の努力より“脳の再教育”が先。「脳のクセ=価値観」を見直すことで、習慣は自然と変わる!
取材・文/石飛カノ 漫画/コルシカ 取材協力/川村昌嗣(川村内科診療所院長)
初出『Tarzan』No.901・2025年4月17日発売

変わるのはカラダより、まず思考だ。
腹が凸るも凹むも実はメンタルや価値観の在り方次第。今の食事の仕方も運動習慣もダイエットへの取り組み方も、すべてメンタル=脳のクセが反映されたもの。
となれば、具体的な行動を起こす前に脳を再教育し、これまでの価値観に新たな価値観を上書きすることが腹凹への近道となる。生活習慣病改善や健康指導に取り組む医師、川村昌嗣さんによれば、
「ダイエットに取り組むときに結果を早く求める人は我慢や努力をしがちです。でも我慢や努力は失敗のもと。目標達成後に我慢をやめた途端にリバウンドして元の木阿弥に。価値観を変えて行動を変えていかない限り持続的なダイエットは成功しません。価値観を変えるには、今のままでは損をしていることを理解するのが一番。人間は損をすることを非常に嫌います。現在の自分の生活習慣でいかに損をしているかに気づけば、悪い生活習慣は変わっていきます」
腹凸の孫と腹凹の祖父のやりとりから、腹が凹むような価値観と行動変容を学ぶべし。
ゆっくり味わわないと舌とココロが損をする。
我々が損をしがちな場面は食事。食べることに関する価値観変換のポイントは、目の前の一口を徹底的に味わうこと。
「たとえば大間産の本マグロが目の前にあったとして、いつもの刺し身と同じ食べ方をしますか? おそらく醬油は最小限で少しずつゆっくり嚙みながら食べるでしょう。食べ物は小さくなるまで嚙んで唾液に溶けて初めて味わうことができます。今食べている料理が数万円と思ったらそういう食べ方になるはず。早食いをしているということは食べ物を味わっていない、すなわち損をしているということ」
反動で雑に動くと筋肉を動かすチャンスが減る。
「小さいお子さんが歩き始めるときは全身を使って歩きます。筋肉の使い方がまだよく分からず無駄なエネルギーを使うので消費エネルギーも大きい。成長していくにつれ無駄なエネルギー消費を抑えるため、反動を使った動きを覚えて省エネに。反動でカラダを動かすのではなく、周りの家具や履いている靴が高価なものとイメージして高価なものを傷つけないようゆっくり動く。そうすれば自ずと筋肉が使われてエネルギー消費量が増えます。反動で雑に動くと、制止の際、筋肉に負担がかかり消費エネルギーも減り、ダイエットの観点からも損」
嫌いなものから取り掛かると何事も長続きしない。
食事に運動に腸内環境整備にストレス対策と、ダイエットでやるべきことは満載。長続きさせるためには得意分野から着手するのが正解。
「嫌いなことに長時間取り組もうとしても、続かないし効率が悪い。なので、勉強の場合は時間を区切ってまず好きなことに30分取り組んで、苦手なものに30分取り組むというように交互に行うことが効率的とされています。勉強でもダイエットでも苦手なことを克服する方が効果は圧倒的に高いので、まずは自分が得意なもので勢いをつけてから苦手なものに取り組むという方法が有効だと思います」