「我慢しすぎない」が最重要。新・ダイエット成功の10か条。
気になるこの腹をぺちゃんこにしてみせる、と意気込んだはいいけれど。食事や人付き合い、いろいろな制限がかかってストレスが溜まる! そんな時、大切なのは「我慢しすぎない」こと。具体的なダイエットのやり方を10か条にしてお届け。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/野花 取材協力/貴堂明世(管理栄養士) 編集/阿部優子
初出『Tarzan』No.901・2025年4月17日発売

教えてくれた人
貴堂明世(きどう・あきよ)/クオリーヴァ主宰。東京証券業健康保険組合にて長年メタボ予防の指導を担当。現在はフリーランスとして生活習慣病の食事指導、セミナー講師などを務める。
目次
周囲に宣言すると成功率がアップ。

宣言することで周囲の空気を窺うストレスから解放される。
何をやってもハラスメント扱いされるこのご時世だが、ダイエットで飲食をセーブすると「オレの酒が飲めないのか」的な周囲の空気を感じることも。そんな場合は自分が腹凹活動中であることを宣言して周りの協力を募ってみよう。と言うのは管理栄養士の貴堂明世さん。
「たとえば家族に宣言することでこれまでケーキだったデザートが果物に替わったりと変化が生じるようになります。実際こっそりダイエットするより宣言した方が成功率が上がります」
「早食い=優秀な人」の価値観を捨てる。
早食いは満腹感を得にくいので過食に繫がる。でも、限られた平日の昼休み、早く食べて会社に戻らなきゃと牛丼やカレーをごくごく飲むサラリーマン。
「証券業界の食事指導に長く関わっていたんですが、今40〜50代の社員は入社時に早食いは証券マンの基本だと叩き込まれたそうです。さっと食べてさっと相場を見に戻るスピード感が命だと。そんな古い価値観を変えることが重要ですね」
時間をかけてランチをしたとて経済損失はほぼない。嚙み応えのある食事をゆっくり食そう。
2週間のお試しで空腹感を飼い慣らす。
空腹で眠れない。というのはダイエット中の男性からよく聞くお悩み。でも、そこで空腹感に負けてしまっては元の木阿弥。
「私見ですが、いろいろな人を見ていると2週間くらいで空腹感が落ち着くような気がします。時差ボケがだんだん落ち着くように、一定の期間、同じ食事量を続けることで全身の細胞がそのリズムに慣れてくるのでは」
お試し期間だと思って、とりあえず2週間は新しい食習慣をカラダに覚え込ませる。これがスタンダードと細胞が納得すれば空腹感も軽減するはず。
人との会食はディナーよりランチで。

減量中のコミュニケーションはアルコール抜きのランチに限定。
ほとんどの外食は何がどう調理されているのか分からない。そのうえディナーの場合はお酒がついてくることも多いので、野放図に食べたり飲んだりすると摂取エネルギーは天井知らず。とはいえ外食を100%断つと人との交流も制限される。
「こうしたストレス対策としては人との会食をアルコール抜きのランチにすること。3か月なり半年なり期限を明確にして会食はランチだけと決める。外食した日はカレンダーに印をつけるなど記録することも重要」
暴飲暴食はチートデイとみなす。ただし週2回まで。
頑張ってる自分にご褒美。という理由でハメを外して飲んで食べて禁断の夜中のラーメンまで。ああオレのバカ! そんなふうにやらかしてしまった翌日、ここでヤケになっては今までの苦労が水の泡。
たまの暴飲暴食はチートデイだと考えてみるのもひとつの手だ。チートデイとは一時的に食事制限を解放するダイエットのガス抜き手法。
「ただし、暴飲暴食のリカバリーには2〜3日の期間が必要なのでチートデイは最大週2回までとしましょう」
甘いものは1個ずつ。大人買いは封印。

その日自分が食べる分だけを買う。一人暮らしなら1個限定。
たまのご褒美なら甘いものもよしとしよう。だがその日食べる以上の数を買わないのが鉄則。たとえば一人暮らしでケーキを一度に2〜3個買ってしまったら、1日に2個以上食べるリスクがそれだけ増える。
「1個だけください、とは言いにくいし勇気がいります。でも、一度乗り越えれば2回目からは結構大丈夫だったという人も。また恥ずかしさではなく目が甘いものを欲しいという場合もあるので、一番欲しいものをひとつだけ買う習慣を」
通勤や家事の活動を運動に換算してみる。
運動不足と分かってはいても運動が苦手だし時間もない。
「運動に関して自分は全然ダメだと思い込んでいる人が多いのですが、それは誤解。通勤や家事も運動になっていますし、そういうことを日常生活で積み重ねることが大事です」
労働科学研究所によると満員電車での往復2時間通勤のエネルギー消費は約400キロカロリー。これ、どんぶり1杯分のごはんに相当する。オフィスで階段を上り下りする習慣をプラスしたら運動量はさらに増。
数字以外の小さな成果に目を向ける。

不眠と肥満は互いを誘発。朝の目覚めの変化にも注目しよう。
頑張ってるのに体重減らない、腹もイマイチ凹まない。タイパ重視の世の中だけに、目に見える結果が早く出ないと人はやる気を見失いがち。
「まず体重を量るのは同じ時間にして前日の飲食も考慮しながら冷静に判断するようにしましょう。また、数字だけではなく生活習慣のいい変化もダイエットの結果としてカウントすること。たとえば朝の目覚めがよくなったりズボンがスッと穿ける日が増えたなど、小さな変化に目を向けると自分の行動が無駄ではないことが確認できます」
イライラは過度な制限のサインと捉える。

主食の過度な制限はストレス満載。ダイエットも長続きしない。
ダイエット中、我知らずイライラ、カリカリしてしまう最大原因のひとつは炭水化物不足。
「極端な糖質制限をすると脳がストレスを感じ、結局甘いドリンクなどを欲してしまうこともあります。そこまで糖質を制限せず、これまで麺とごはんなどダブル炭水化物を食べていた人は主食を1品に絞るだけでも有効です。基本は何を食べてもいい。ただ量を調節すればいいということを認識しましょう」
野菜とサラチキだけが味方ではない。茶碗1杯ならごはんだって味方になる。
その方法が自分に合うかを再確認。
一日3食のうちの1食を低カロリードリンクに置き換える、一日一定時間以上断食をする、とにかく食べたものを記録する、めちゃくちゃ水を飲む等々。さまざまなダイエット法があるが万人に同様の効果をもたらすとは限らない。むしろストレスで挫折したり、リバウンドしたり。
「自分に合っていない方法は短期ならまだしも、長期間続けようとするとかえってストレスになることがあります。今の方法がライフスタイルや性格に合っているか再確認を」