小錦八十吉、槙野智章…。8人に聞いたハワイのフィットネスな楽しみ方:ターザン的オアフ島ガイド
【ターザン的オアフ島ガイド】ではハワイ・オアフ島のフィットネスな魅力を紹介。通い慣れた通たちはハワイでどんな楽しみ方をするのか。ハワイ出身の元力士、小錦八十吉さん、現役時代はオフシーズンでハワイを訪れていたという元サッカー日本代表、槙野智章さんをはじめ、総勢8名にカラダとココロが喜ぶとっておきのスポット&アクティビティを教えてもらった。
取材・文/松岡真子 イラストレーション/渡邉唯
初出『Tarzan』No.868・2023年11月2日発売
目次
夕日スポットの海でロコだけのBBQ
小錦八十吉さん
教えてくれた人
こにしき・やそきち/元大相撲力士、タレント。1963年生まれ。82年ハワイ大学附属高校卒業後に高砂部屋に入門。87年大関に昇進。97年に現役を引退後はタレントやミュージシャンとして活躍する。
ホノルルから西に車を約40分走らせたところに故郷のナナクリはある。
「美しいサンセットが拝めるナナクリ・ビーチパークには“ザ・ブライアン”や“トラックス”といったロコが海遊びをするグッドポイントが多いです。
とはいえ、300mほど続く砂浜の一部を勝手に名付けて呼んでいるので、地図には載らないんですが。潮水に浸って心のクレンズをする瞬間が至福でもあります。ただ、ナナクリは急に波が激しくなるので初心者は用心してほしい」
平日はほぼ人のいない浜辺だが、週末はBBQを楽しむ住民で賑わう。
「僕も腕を振るうし、ビーチを歩くたびに“食べていきなよ”と声をかけてくれる。地元らしい顔の見える交流が今も繰り広げられています」
カピオラニ公園の鉄棒でストレッチ
澤木一貴さん
教えてくれた人
さわき・かずたか/トレーナー。整形外科、専門学校の講師を経て2010年に〈SAWAKI GYM〉を設立。東京と沖縄で展開し、雑誌などでも活躍。メキシコのカンクンにもトレーニングに出かけている。
「〈24アワー・フィットネス〉のようなビジターも利用できるジムまで走って向かい、マシンで鍛えます」
午前中は屋内でトレーニングをし、昼からは街へ繰り出す。
「基本的に歩いて移動ですね。アラモアナ→ワイキキ→ホノルル動物園→ダイヤモンドヘッドをたびたび周遊します。なかでも動物園に隣接するカピオラニ公園はマスト。ストレッチにうってつけな鉄棒があるので。
休憩がてらに筋トレとヨガの要素を含むWGS(ワールド・グレイテスト・ストレッチ)を行う。関節や筋肉が滑らかに動くように調整し、復路のパフォーマンスを上げています。
コンドミニアムに戻ったらビッグサイズのステーキを焼く。日本よりもリーズナブルな価格で入手できるので、筋肉の隆起も良くなるんですよ」
朝焼けとカラニアナオレ・ハイウェイ
佐野千晃さん
教えてくれた人
さの・ちあき/モデル、ランニングアドバイザー。1992年生まれ。中学生から陸上部に所属し、2015年にフルマラソンに初挑戦。これまでの自己ベストは3時間14分24秒。18年には『ホノルルトライアスロン』にも挑戦した。
カピオラニ公園をスタート&ゴールに、ハナウマ湾沿いの42.2kmをリレーする『ホノルル駅伝&ミュージック2019』でチャンピオンに。
「ダイヤモンドヘッドビーチを横目に駆け抜けてきた第1走者から襷を受け取ったのが6時頃。ピンク色の空の下でカラニアナオレ・ハイウェイを9.1km走りました。
ちなみに対向車線は通常営業! 高速道路をランするのは初めての体験です。進んでも景色が変わらない状況は精神的にキツかったですね。
でも、走ることに集中できた。そうして3区へとつなぐマウナルア・ベイ・ビーチパークに着くと、ちょうど朝日が昇る瞬間でした。大きな太陽とキラキラと輝く海面に迎えられたことで、すべてが吹き飛びました」
伝統料理店〈ヘレナズハワイ〉の定食
遠藤文香さん
教えてくれた人
えんどう・ふみか/フードスタイリスト。書籍や雑誌を中心にフードスタイリングで活躍。ハワイ島のヒロで開催されるフラのオリンピック『メリーモナークフェスティバル』の観戦に合わせて渡航している。
「豚肉をタロイモの葉で包んで蒸したラウラウ、マグロ漬けのポケ、タロイモペーストのポイなどをごはんの上に乗せていただく。訪れるたびに違ったメニューを組み合わせてベストを探しています」
フラの師匠であるマヘアラニ・ミカ・ヒラオ・ソレムさんから教わったロコ御用達の伝統料理店だ。オアフ島に降り立つと直行しているそう。
「現地の伝統やカルチャーにも触れています。いろんな文化が溶け込んでいるところもおもしろい。例えばミカさんの親戚で日系3世のオーナーが営む和菓子舗〈ニッショードー〉のちち団子。牛乳主体のほんのりした甘さと、もちっとした食感。それをハワイ流にカラフルにアレンジしているのがまた楽しいんです」
ダイヤモンドヘッドの頂までダッシュ
槙野智章さん
教えてくれた人
まきの・ともあき/元サッカー日本代表、解説者。1987年生まれ。『スポーツパラダイス』(静岡朝日テレビ)のMCをはじめサッカークラブ〈品川CC〉でセカンド監督としても活躍。今冬も、ハワイ旅を模索中とか。
現役時代のオフでリフレッシュのためにオアフ島の地を踏んでいた。
「新シーズンに向けて火を灯す場所。気づくとジョギングをしています。実はボールを追いかけないのに全力疾走するのは苦手なのですが、ここは例外。
ワイキキからフォート・デ・ルッシー・ビーチを経由してアラモアナへ抜けるのが定番。変化球としてダイヤモンドヘッドのランも。登山口から頂上までひた走ります。もちろん、74段&99段ある階段もね。青い海と市街地を一望しながら爽快な風に当たるのがたまらない」
下山したらモンサラット・アベニューのカフェでひと休み。
「疲労回復のためにアサイーボウルを食べます。タンパク質と糖分とビタミンB群が補給できますからね」
ノースショアの危険な波に名を刻む
脇田貴之さん
教えてくれた人
わきた・たかゆき/プロサーファー。1971年生まれ。86年の冬に訪れて以降、ハイシーズンはノースショアに拠点を移してひたすら波に乗る。2018年にはドキュメンタリー映画『ワキタピーク』が公開。
エフカイビーチパークは良質でスリリングな波が炸裂するポイント、バンザイパイプラインで有名だ。
「地響きとともにビッグウェーブが続々と生まれます。機会を逃すまいと精鋭たちが海の中に潜んでいます。いつしか、僕は混み合う好ポイントから少し離れた場所で待つように」
巨大な波ばかりのためロコでも手を出さない危険なエリアだった。
「知らぬ間に“ワキタのいる所”と呼ばれていました。それが10年くらい前に専門誌で地元のプロサーファーが“ワキタピーク”と説明したことで、その名で広まることに。師匠のリアム・マクナマラが果敢に挑む姿に刺激を受けた結果です。15歳から恋するノースショアの波に自分の名が付くのは本当に嬉しい」
カラダを動かしたくなる気候と設備
エドワーズ壽里さん
教えてくれた人
えどわーず・じゅり/ヨガインストラクター。2008〜15年までハワイで暮らす。帰国後は〈ルルレモン〉の日本法人立ち上げに参加。18年〈IGNITE YOGA STUDIO〉を興す。ホノルルとの2拠点生活を計画中。
2014年からMCを務めていた『ホノルルトライアスロン』の「オリンピックディスタンス リレー女子の部」に10年ぶりにチームで出場。バイクを担当し、1位になった。
「アラモアナビーチパークから空港へと向かい、ニミッツハイウェイの手前で戻る40kmは、ペダルを漕ぐたびに心地よい風が吹いていました。ずっとワクワクしていましたね」
トライアスロンとの出合いも本業が確立できたのも、この地であった。
「ここはカラダを動かすうえで、ベストな環境。近頃ではアスリートのリカバリー術として、コールドプランジと呼ばれる氷入りの水風呂が注目されるように。カハラのニウバレー地区では、隠れ家サウナ〈studio7〉も登場しています」
ラニカイ・ピルボックスで日光浴
エイミー・コガさん
教えてくれた人
プロゴルファー。1995年生まれ。幼少期をブラジル、NY、ハワイのマウイ島やオアフ島で過ごす。8歳でゴルフを始め、2010年『IMGアカデミー世界ジュニアゴルフ選手権』女子13〜14歳の部で優勝。
「ホノルルから北東へ車を走らせて、目指すはカイヴァリッジ・トレイル! 30分ほど岩道を上った先にある旧トーチカのラニカイ・ピルボックスで息抜きをするためです。故郷の陽射しと風を浴びて、エナジーを補給します。いつ訪れても美しい」
オフを迎える12月に帰省したら、必ず訪れるスポットである。
「丘を下ったらラニカイビーチで海水浴を楽しみます。そうして、やっと“自分”に戻れた気分になる」
大好きな海で過ごすためにトレーニングにも工夫を凝らす。
「アラモアナビーチでSUPをして体幹を鍛えています。屋内のマシンで整えるよりも、青空の下でカラダを動かす方が性に合っているので、楽しんで取り組めるんですよね」