「歩くこと」のモチベーションを高める本と映画 12選
紹介するのは「歩き」をテーマにした本や映画。歩くことは健康的で、哲学的。やる気を貰っていざ、ウォーキングの世界へ。
取材・文/黒田創 写真/iStock.com/photomaru イラストレーション/石山好宏
初出『Tarzan』No.866・2023年10月5日発売
目次
『歩く旅の本 伊勢から熊野まで』
伊勢神宮から熊野本宮大社まで、220kmに及ぶ世界遺産・熊野古道(伊勢路)を巡った汗と涙と笑いに満ちた旅エッセイ。長い距離を歩くために必要な準備や心得、注釈も充実しているため、お伊勢参りや熊野古道を歩き倒したい人向けのガイド本としても有用。
『トレイルズ 「道」と歩くことの哲学』
米国東部のアパラチアン・トレイルを踏破した著者が「トレイル=道」はどのようにできたのか? 発展する道と廃れてしまう道の違いとは?と疑問を抱き、東洋哲学の「道」に至るまで世界各地を巡り始める。歩くことを通じて人間の存在と行動の起源に迫った一冊。
『夜をあるく』
夜中にママに起こされたきょうだい。「やくそく、おぼえてる?」と、家族4人でお出かけ。夏の夜は静かで、あかりが灯り、遠くから音が聞こえ、においにも敏感に。やがて景色は町から自然の中へ。そしてようやく到着した夜明け前の山頂から見えたものは…?
『伊能忠敬 日本を測量した男』
緯度1度の正確な長さを知りたい、と伊能忠敬が奥州から蝦夷地にかけて測量の旅に向かったのは、すでに家督も譲り、老年にさしかかった55歳の春。家業を立て直し、隠居後は天文、暦学に精進し、初めて日本の正確な地図を作製した男の生涯を追った一冊。
『夜のピクニック』
全校生徒が夜を徹して80kmを歩き通す、高校の伝統行事「歩行祭」。高校生活最後を飾るこのイベントに、主人公・甲田貴子はある一つの賭けに胸を焦がして挑んでいた。それは彼女にとって3年間、誰にも言えない秘密を清算するための大事な行事だった――。
『歩くひと 完全版』
街や土地、風景の中を歩き、観察することで見える世界がある。その感覚を生涯にわたり繊細なタッチの漫画で描いた故・谷口ジロー氏が、世界的に知られるようになった名作。ただ歩くだけでも新しい発見がある。疲れたとき、日々が退屈なときに眺めたくなる一冊。
『ロング・トレイル!』
セミリタイア生活を送るR・レッドフォード扮するビル。物足りなさを感じていた彼は3,500kmの自然歩道の踏破を決意。パートナーを募ったところ、やってきたのは破天荒な旧友だった。期待と不安を胸に出発した二人に、自然の脅威と体力の衰えが立ちはだかる。
『スタンド・バイ・ミー』
オレゴン州の小さな田舎町に住む4人の少年たちは、それぞれ家庭の問題を抱えながら、秘密基地でいつも遊んでいた。ある日40km離れた場所に行方不明の少年の轢死体が放置されているとの噂を聞き、4人で死体探しの旅に出る。線路を延々と歩くシーンは名場面。
『友だちのうちはどこ?』
宿題をノートではなく紙に書いてきたモハマッドは先生に「今度同じことをしたら退学だ」と叱られる。しかし親友アハマッドは間違ってモハマッドのノートを持ち帰ってしまう。モハマッドが退学になるのを恐れたアハマッドは、ノートを返すべく彼の家を探し回る。
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』
パリ行きの長距離列車で偶然出会い意気投合したセリーヌとジェシー。彼らはウィーンで途中下車し、14時間の約束で一緒に過ごすことに。歩きながら二人が交わす会話は時に他愛なく、時に哲学的で、微妙な心の揺れ動きが見え隠れする。「歩く」が見どころの名作。
『歩け走るな!』
1964年、商用で来日したラトランドは予定より早く到着したものの、東京五輪のおかげでホテルは満員。偶然同居人募集の告知を見つけ、若い女性クリスチーヌのアパートの隣室を間借りするが、翌日、同じく行き場のない競歩選手、スティーヴも引き入れてしまう。
『今日よりもっと!!』
先天的な乗り物酔いの高校生マンボクは往復4時間徒歩通学していた。驚いた担任は彼女に競歩を勧める。苦手な勉強よりマシと安易に始めるものの、その甘い考えが陸上部の先輩スジに嫌われてしまうマンボク。果たして彼女は自分の道を切り開けるのか…?