肉ばっかりはNG。腸内環境を整える「タンパク質変換計画」

腸内環境を左右するのは言わずもがな、普段の食事。多すぎる脂質、糖質。少なすぎる食物繊維の食事を摂り続ければ、その環境に適応する腸内細菌が幅を利かせ、便秘に肥満、病気のリスクは高まる。そこで、提案するのが、腸を救う食事計画。今回紹はタンパク質変換計画。タンパク源のバリエーションを増やし、腸内細菌の多様性アップを目指そう。

取材・文/石飛カノ 撮影/黒川ひろみ 料理作製/浅野まみこ(管理栄養士) スタイリスト/渡邊美穂 取材協力/國澤 純(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長)

初出『Tarzan』No.864・2023年9月7日発売

腸内環境を整える「タンパク質変換計画」

鶏や魚や豆も常食して多様な食卓に

カラダの材料となるタンパク質はヒトにとって必須。

どんな形でタンパク質を摂ってもアミノ酸に分解され吸収されるから問題ない? いやそうとも限らない。牛や豚などのいわゆる赤肉(レッドミート)は単純なグリル料理が中心。

動物性タンパク質を好む腸内細菌が多くなり、あまりよくない腸内環境となる。一方、鶏や魚や豆などのタンパク質源を常食すると、自然と野菜など多様な食材を取り入れる食生活となり、それらを好む有用な腸内細菌が増える。鶏、魚、豆を狙おう。今回は鶏肉、魚介、大豆食品を使った主菜レシピを紹介。

鶏胸肉とパクチーのラー油炒め

腸内環境が整うタンパク質 鶏胸肉とパクチーのラー油炒め

同じ動物性タンパク質食材でも牛、豚、羊、馬などの肉はレッドミートで鶏肉はホワイトミート。後者の方がより推奨できるお肉。脂質の少ないさっぱりした胸肉は、たっぷりの野菜やパンチの効いたパクチーとの相性抜群。

材料(2人分)

  • 鶏胸肉…200g
  • 塩…小さじ1/2
  • 日本酒…大さじ1/2
  • パプリカ(赤)…1/2個
  • ニンニク…1かけ
  • パクチー…1袋(または豆苗1袋)
  • [A]
    • 中華顆粒だし…小さじ1
    • 醬油…小さじ1
    • 食べるラー油…大さじ2
    • 砂糖…小さじ1
  • ゴマ油…小さじ1

作り方

  1. 鶏胸肉は一口大の削ぎ切りにし、ビニール袋に塩、日本酒を加え揉み込む。パプリカは種を取って乱切りにする。
  2. フライパンにゴマ油をひき、ニンニクを加え香りが立ったところで、鶏胸肉を並べる。焼き色がついたら返し、パプリカを加え、炒める。
  3. [A]を加え、からめるように炒め、全体が加熱されたら火を止め、3cm幅に刻んだパクチーまたは豆苗を合わせ、皿に盛る。

シーフードミックスのアヒージョ

腸内環境が整うタンパク質 シーフードミックスのアヒージョ

エビ、イカ、タコ、貝類などの魚介類も単体で食べるより野菜とともに調理されることが多い食材。でも面倒な手間はいらない。緑黄色野菜やきのことともに器に入れ、火に直接かけて仕上げるアヒージョでいただこう。

材料(2人分)

  • シーフードミックス…60g(今回は冷凍殻付きエビ30gと冷凍シーフードミックス30g)
  • ブロッコリー…60g
  • ミニトマト…3個
  • シイタケ…3個
  • ニンニク…1かけ
  • エクストラバージンオリーブオイル…100mL
  • 塩…小さじ1/2
  • トースト…お好みで

作り方

  1. ブロッコリーは一口大に房を分ける。シイタケは半分に切る。ニンニクはみじん切りにする。
  2. 加熱のできる器に冷凍エビ、シーフードミックス、ミニトマト、[1]を入れ、オリーブオイルを回しかけ、火にかける。
  3. 全体が加熱されぐつぐつとしてきたら、お好みで塩を振り、火を止める。トーストを添える。

鮭のアクアパッツァ

腸内環境が整うタンパク質  
 鮭のアクアパッツァ

世界的に健康効果が認められている地中海食の代表格メニュー。こちらも作り方は簡単。魚介と野菜にオリーブオイルをかけて数分間蒸し焼きにするだけ。魚油の旨みが詰まったスープと食物繊維をすべて食らおう。

材料(2人分)

  • 生鮭…2切れ
  • アサリ(殻付き生・砂抜きしたもの)…120g
  • ミニトマト…6個
  • ブラックオリーブ…3粒
  • エリンギ…1本(きのこミックスでも)
  • シイタケ…1個
  • オクラ…3本(冷凍でも)
  • ニンニク…1かけ
  • 唐辛子(輪切り)…お好みで
  • 日本酒(または白ワイン)…100mL
  • [A]
    • 塩…小さじ1/2
    • 醬油…小さじ1
  • エクストラバージンオリーブオイル…大さじ3

作り方

  1. 鮭は塩を軽く振っておく。エリンギはスライスする。
  2. フライパンにオリーブオイル大さじ2をひき、鮭を表を下にして焼く。焼き色がついたら返す。
  3. 鮭を寄せたところに、残りのオリーブオイル大さじ1、ニンニク、輪切り唐辛子を加えて香りを出す。アサリ、ミニトマト、エリンギ、シイタケ、オリーブ、オクラを並べ、日本酒または白ワイン、[A]を回しかける。
  4. 水100mL(分量外)を加え、蓋をし蒸し焼きにして、火を止める。
  5. 器に盛り付ける。

厚揚げの和風しらすピザ

腸内環境が整うタンパク質 
 厚揚げの和風しらすピザ

一見ミニサイズのピザトースト。その正体はハーフサイズに切った厚揚げ。炭水化物のパンではなくタンパク質食材のピザ台だ。チーズの下に仕込まれているのはたっぷりのネギとしらす干し、海苔の佃煮。食材のコラボを楽しもう。

材料(2人分)

  • 厚揚げ…1枚(300g)
  • 海苔の佃煮…大さじ2
  • しらす干し…20g
  • 九条ネギ輪切り(もしくは長ネギ輪切り)…60g
  • ピザ用チーズ…60g
  • マヨネーズ…お好みで

作り方

  1. 厚揚げを半分に切り、さらに横半分に切る。
  2. 断面を上にし、海苔佃煮を満遍なく塗る。
  3. しらす干し、九条ネギの輪切り、ピザチーズを乗せ、お好みでマヨネーズをかける。
  4. トースターにアルミ箔を敷き、3を並べ、チーズが溶け、焼き色がつくまで焼く。