現代は足に快適な環境とは言いがたい
さまざま動きに関与する股関節を鍛えるのは快適な生活を送るうえで重要。ただ、地面とじかに接しているのは「足」だから、股関節がしっかり機能するためには、足が正しく働くことが前提条件だ。
足は、歩いたり、走ったりするときのパワー源であり、姿勢やバランスを保つうえでも、ポイントとなる役割を果たしている。足がうまく使えなかったり、歪みがあったりしたら、せっかく股関節を鍛えても宝の持ち腐れになる恐れもある。
だが、現代は足に快適な環境とは言いがたい。坐りっぱなしで運動不足が続くと、足はどんどん衰えていく。さらに日中、ほとんどの時間を窮屈なシューズ&ソックスに押し込められているため、足はのびのび働けず、持って生まれた自在な動きが制限されやすい。
では、あなたの足の現状はどうなっているのか。カイロプラクターの丸山祥一さんに作ってもらった6つのチェックにトライしよう。まず、おなじみのカーフレイズからだ。
6つの動きで「足」の衰えチェック
普段あまり自覚できないけれど、足と足指は知られざる多くの役割を担う。それが正常に保たれているかどうかが簡単にわかる6つのテストを用意してみた。
NG項目が1つでもあれば、足や足指が衰えて老化している恐れがある。そのまま放置せずに、本来の機能を取り戻すエクササイズに取り組もう。
チェック① カーフレイズ
裸足で両足の踵をつけてまっすぐ立つ。爪先は軽く開く。両手を腰に添える。膝を伸ばしたままで、踵をできるだけ高く上げる。
OK:踵をつけたまま、高く引き上げられる。
NG:高く上げようとすると、踵が離れる。
拇趾で地面を押す力が低下してしまうと、支点が外側に移動する。すると膝下が外向きに回る外旋が生じるため、左右の踵が離れやすくなる。
チェック② 足裏感覚
裸足で両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。まずはそのまま、パートナーに体幹を両手で軽く押してもらう。次に、足裏を意識し、膝を軽く曲げる屈伸を2〜3回行う。同じように、パートナーに体幹を両手で軽く押してもらい、体幹のブレやすさを比較してみる。
OK:足裏を意識すると、体幹がブレにくくなる。
NG:体幹のブレやすさがあまり変わらない。
足裏には、重心位置を調整する役割がある。その機能が衰えると、外から力(外力)を加えられても、重心をブレさせないバランス感覚が落ちる。
チェック③ 拇趾筋力
雑誌などを重ねてきつく縛り、段差を作る。裸足になり、足趾を段差の端にかけて腰幅でまっすぐ立つ。そのまま20秒間、姿勢をキープする。
OK:前足部で安定して姿勢が保てる。
NG:姿勢が崩れて保てない。
拇趾ばかりではなく、足趾全体の力とその働きが落ちていないかをチェック。爪先立ちになっても、足趾で台を確実に捉えられるのが正解だ。
チェック④ 内返し・外返し
裸足で両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。足裏を床につけることなく、足の外側の縁で立つ「内返し」、足の内側の縁で立つ「外返し」を行う。
OK:内返しも外返しも、スムーズに行える。
NG:内返しか外返しかがスムーズに行えない。
内返しは、足の内転、底屈、回外の組み合わせ。外返しは、足の外転、背屈、回内の組み合わせだ。どちらもスムーズに行えるのがベストである。
チェック⑤ 閉眼片脚立ち
裸足で両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。片膝を引き上げ、片脚立ちになり、両腕を床と平行に左右に広げる。両目を閉じ、倒れないようにバランスを保つ。左右を変えて同様に行う。
OK:どちらの目を閉じても20秒間バランスを崩さずに姿勢が保てる。
NG:左右どちらかの目を閉じると、20秒間スタート時の姿勢が保てない。
姿勢を保つために重要なのは、第一に視覚からの情報。目を閉じて視覚情報を遮断すると、姿勢を維持する足裏の機能の良し悪しが測れる。
チェック⑥ 足全体の剛性
裸足で片膝立ちになり、前後の膝を90度曲げる。上体を床と垂直に保ち、後ろ足は爪先立ちになる。後ろ足の爪先に力を入れて立ち上がる。左右を変えて同様に行う。
OK:左右ともすんなり立ち上がれる。
NG:左右どちらかがすんなり立ち上がれない。
足裏には「ウィンドラス機構」と呼ばれる仕組みがあり、足裏アーチを結ぶ足底筋膜を緊張させて足全体の剛性を高める。その機能がきちんと働いているかどうかをチェック。