中村直樹さん
教えてくれた人
なかむら・なおき/トレーナー。アジアNOVASTストレッチ協会代表。理学療法士。パーソナルトレーナー。ストレッチ専門店〈RIPS!!〉主宰。科学的根拠に基づいた正しく安全なコンディショニングメソッドの普及に努める。
股関節の安定性と可動域をアップ!
日常動作やスポーツ動作は複数の筋肉や関節が連動して成り立っている。このうち手や足などのカラダの末端が固定されていない状態で行う運動をオープンキネティックチェーン(OKC)、固定された状態で行う運動をクローズドキネティックチェーン(CKC)という。
「日常生活動作は大部分が股関節を軸とするCKCなので、エクササイズもCKCで行います。ヒップリフトで股関節の固定筋を鍛え、スクワットやランジ、ジャンプで床反力をうまく利用する荷重伝達機能を養います。この機能の鍵は不安定性の中で瞬間的に安定した土台を作り出すこと。動きの土台となる股関節の可動域を広げ、筋肉を養い、ケガのリスクを低くすることが狙いです」
と、監修者の中村直樹さん。初級、中級、上級とレベルはあれどすべてこの4種目(ヒップリフト、スクワット、ランジ、ジャンプ)の組み合わせ。
本記事では、初級の種目を紹介する。初級は毎日行い、楽にできるようになったら中級へと移ろう。
また、どのレベルも、エクササイズの効果を高めるため、ジグリング準備運動で滑液をたっぷり出してから取り組むべし。
効果高まるジグリング準備運動4種目
股関節を大きく動かす準備運動は初級、中級、上級、どのレベルにかかわらず必ず最初に行う。貧乏ゆすりではないが、股関節をダイナミックにゆらすことで滑液の分泌を促すためだ。
普段、デスクワークが多いという人はとくに念入りに行おう。動き始めに違和感がある場合は滑液不足。ゆらせばゆらすほど股関節は楽に動くようになる。
初級|毎日行いたい基本プログラム
ヒップリフト(30秒キープ)
骨盤の固定筋を鍛えて土台を作る
仰向けになって両膝を立て、両足を腰幅に開く。両腕は胸の前でクロス。そのままお尻を床から浮かせる。このとき膝の角度は90度、股関節は伸展させた状態。
お尻が落ちたり腰を反らさないよう、頭から膝のラインを一直線にキープ。お腹にしっかり力を入れて30秒キープしよう。大臀筋とハムに加え深部筋も同時に鍛えられる。
スクワット(20回×1セット)
骨盤の動きを意識してチェアスクワット
椅子に座って両足を腰幅に開く。両手を腰骨に当てる。骨盤を立てた状態から上半身を前に倒し、骨盤をしっかり前傾させる。そのまま重心を前に移動させて椅子から立ち上がる。
立ち上がったとき、股関節の伸展を意識する。逆の動きで元の姿勢に戻る。骨盤の動きをコントロールしながら20回繰り返し。
ランジ(各10回×1セット)
フロント&バックランジ
軽くステップして前後にランジ
両足を腰幅に開いて気をつけの姿勢をとる。片足を軽く1歩前方に踏み出して膝を曲げながらランディング。
元の位置に戻り、今度は同じ足を軽く後ろに1歩引き、やはり膝を曲げてランディング。この繰り返しを10回行ったら逆足でも10回行う。
サイドランジ
横に重心を移して股関節を曲げて着地
両足の間隔を肩幅程度に広げ、片方に重心を移動させる。このとき着地側の脚の股関節は45度くらい屈曲させる。
膝と爪先が正面に向くように。左右交互に10回繰り返し。左右に壁があるようなイメージを持ち、上体をまっすぐキープしたまま行う。
ジャンプ(10回×1セット)
その場ジャンプで股関節を屈曲&伸展
両足を肩幅に開いて立つ。背骨をまっすぐキープするために両手を上げ、掌を内側に向ける。その場で軽くジャンプして股関節を伸展させたら、膝と股関節を曲げて着地。
リズミカルに10回繰り返し。股関節の屈曲と伸展を意識しながら全身の安定性を保つ練習。姿勢を崩さずできるようになったら中級レベルへ進もう。