ちゃんとケアしてる? 「足・足指」5つのストレッチ&エクササイズ
凝った首や背中、腰をストレッチ。でも何だかスッキリしない。そんなときは、こまかい部位に目を向けてみよう。今回は、カラダを支え続け、しかも一日の大半、シューズやソックスに閉じ込められて凝り固まっている可能性大の足、足指のストレッチを紹介。土台から整えて、慢性症状を緩和へ!
取材・文/井上健二 撮影/谷尚樹 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 編集/阿部優子
初出『Tarzan』No.856・2023年5月11日発売
丸山祥一さん
教えてくれた人
まるやま・しょういち/カイロプラクター。〈サンシャイン通り接骨院〉院長。18歳で手技療法の世界に入り、30年以上の経験を持つ。慢性の痛みや症状を持つ人にカイロプラクティック、筋膜アプローチ、運動療法など、多彩な療法を提案。
目次
カラダの土台を整えて慢性症状の緩和へ
立っている間、足にはつねに体重が加わる。しかも、一日の大半をシューズやソックスに閉じ込められて窮屈な思いを強いられるから、足と足指は凝り固まりやすい。足指が開かなかったり、足裏の3つのアーチ(内側アーチ=土踏まず、外側アーチ、横アーチ)が潰れていたりしたら、そのコンディションはかなり悪いと覚悟しよう。
「足と足指はカラダの土台そのもの。正しく整わないと、全身の慢性的な痛みや症状も緩和しにくいのです」と語るのは、カイロプラクターの丸山祥一さん。
カイロプラクティックが重視するのは、背骨と骨盤の機能を調整すること。でも、それだけでは改善しない痛みや症状もあることから、丸山さんは足・足指の重要性に改めて気づき、足・足指にもスポットを当てた治療を行っている。
そんな丸山さんに、足・足指の基本的なストレッチを教えてもらった。ストレッチに簡単なエクササイズをトッピングすると、ご利益倍増。気になるものから試そう。
足のストレッチの基本ルール
- 強くやりすぎない
- つりやすいので、つらない範囲で行う
- 冷たいままの足で行わない
足・足指の筋肉は繊細なので、強くやりすぎないように留意する。普段動かさない人はつりやすいので、つらない範囲で行おう(つると筋肉は余計緊張する)。足は冷えやすいから、足湯などで温めてから行うとほぐれやすい。
① 土踏まずを高め、膝や腰への負担を減らす
足の甲のストレッチ(左右各20秒)
椅子に坐り、右脚の太腿に左脚を乗せる。左手で左足の踵を摑み、右手で左足の爪先を持つ。踵と爪先を近づけるように、足裏をギュッと丸めてストレッチ。土踏まずのアーチを作る。左右を変えて同様に行う。
オプション(ながらで行う場合、左右各20秒)
椅子に坐り、左足を軽く引き、爪先を床にひっかけ、足指の付け根(足指を曲げたときに出っ張る部分。MP関節)を床に近づける。体重を少しずつかけながら、足の甲をストレッチする。左右を変えて同様に行う。
土踏まずのエクササイズ(左右各10秒×3セット)
薄手のフェイスタオルを3つ折りに(コピー用紙を3つ折りにしてもOK)。椅子に坐りタオルの一端を左足の親指の付け根で踏む。反対側を右足で踏み、右へ引っ張る。その力に抵抗して左足の親指を踏ん張り、左足の土踏まずに力を入れる。左右を変えて同様に行う。
オプション(チューブを使う場合)
チューブがあれば、より効果的にエクササイズできる。チューブの一端を左足の親指で踏み、右足の爪先に反対の端を巻く。左足でチューブが動かないように固定。右足でチューブを右へ引く。左右を変えて同様に行う。
② 立ちっぱなしでも楽勝。外側アーチを活性化
小趾外転筋のストレッチ(左右各20秒)
足裏の外側アーチを作る小趾外転筋の稼働性を上げる。椅子に坐り、右脚の太腿に左脚を乗せる。左手で左足を摑んで固定し、右手で左の小指を持つ。小指を外側へ開いてストレッチする。左右を変えて同様に行う。
小趾外転筋のエクササイズ(左右各10回)
空気を適度に抜いたミニバランスボール(なければ低反発タイプのクッション)に左足を乗せる。5本の指でボールをギュッと摑み、放す。左右を変えて同様に行う。小指がしっかり曲がることを意識。
③ 階段の上りがラクになる。足底筋膜のケア
足底筋膜のストレッチ(左右各20秒)
左膝を床につき、右膝を立て、片膝立ちになる。左足の爪先を立て、お尻を乗せる。体重をかけて左足裏の足底筋膜をストレッチする。左右を変えて同様に行う。
足底筋膜のエクササイズ(10回)
階段の端にフェイスタオルを3つ折りにして置く。その上に立ち、踵を段差の外側へ出して、タオルを足指でしっかり摑む。踵を引き上げて爪先立ちになり、元に戻る。足指でタオルを摑むことで、足底筋膜に効く。
④ 足首の動きが改善。股関節の可動域も広がる
立方骨の押し込みストレッチ(左右各20秒)
椅子に坐り、右脚の太腿に左脚を乗せる。左手で左足の土踏まずを摑み、親指を立方骨の裏側に当てる。右手で左足の足指を持つ。左の親指で立方骨の裏側を押し込みながら、足裏の外側のアーチを作るように右手で足指を内側に曲げる。左右を変えて同様に行う。
押し込む場所
立方骨は足の小指の付け根で、足裏の外側アーチの頂点に当たる。押すと痛みがある場所を探してみよう。
足関節のエクササイズ(左右各10回)
高さ15cm前後の段差(なければ雑誌をその厚さになるまで重ねて束ね、紐できつく縛る)に左足を乗せ、両手で左足首を摑んで動かないように固定する。右膝を床につき、上体を前に倒し、左足首を深く曲げる。踵が浮かないように注意する。左右を変えて同様に行う。
⑤ 後天的な内反足を修正する
内反足とは、足首が内向きにねじれて、足裏が内側を向く状態。先天的な異常だが、足首をあまり動かさず、脛の裏側にある後脛骨筋というインナーマッスルが過緊張を起こすと、後天的に生じるケースもある。
また、足首の捻挫を繰り返すことで起こる場合も。後天的な内反足は、ストレッチとエクササイズで修正することができる。
内反足とは?
床に坐って両脚をまっすぐ伸ばすと、通常は脛の骨の延長線上に親指が来る。内反足だと、足首が内向きにねじれるため、脛の骨の内側に親指が来ることが多い。
後脛骨筋のストレッチ(左右各20秒)
椅子に坐り、右脚の太腿に左脚を乗せる。右手で左足の踵、左手で左足の爪先を持つ。右手で左足の踵を外側へねじりつつ、左手で左足の指を脛に向かって近づけ、後脛骨筋をストレッチ。左右を変えて同様に行う。
足首の外・内転エクササイズ(左右各10往復)
椅子に坐り、左膝を直角くらいに曲げる。右手を左膝の内側に添えて、膝が動かないように安定させる。左足の踵を床で固定したまま、そこを支点に左足の爪先を左右に大きく動かす。左右を変えて同様に行う。
オプション(チューブを使う場合)
チューブの一端を右足に巻き、左足の爪先に反対の端を巻く。左足の踵を床で固定したまま、そこを支点にチューブを引き、元に戻す。左右を変えて同様に行う。