いつやる? 痛みがあるときは? セルフマッサージの素朴な疑問Q&A
カラダのケアの定番といえばマッサージ。ただ、マッサージと一口にいってもメソッドは千差万別。そこで、今回はメソッドが異なる6人のマッサージのプロフェッショナルに素朴なギモンをぶつけてみた。タイミング、体温との関係、セルフではなくプロに任せるべきラインなどなど…。マッサージの基礎知識としても活用を。
取材・文/井上健二、新田草子、門上奈央、オカモトノブコ
初出『Tarzan』No.845・2022年11月2日発売
教えてくれた人
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高林孝光さん(鍼灸師、柔道整復師)
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宇田川賢一さん(筋膜治療師)
- 寺林陽介さん(あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師)
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樋口賢介さん(美容研究家)
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市野さおりさん(リフレクソロジスト、看護師)
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川口陽海さん(鍼灸師)
目次
Q1. 痛みがあるときはマッサージしてもいい?
「マッサージをすることで気持ちよく感じるのであればやってもいい。何もしなくても痛い場合は、炎症が起きている可能性があるので、下手にやると悪化させることもあります」(宇田川さん)との言葉どおり、やってみて嫌な痛みを感じたり、悪化する場合は避けるのがベター。
寺林さんも「ぎっくり腰のような急性症状で痛みがあるときに患部をグリグリ押すのはやめた方がよい」と言うが、「膝の裏のツボ“委中”やふくらはぎの中央のツボ“承山”など、遠いところから効かせることもできます」とも。
Q2. 複数のメソッドのマッサージをやってもいい?
同じ部位にあれこれ試す際は、刺激の強さに注意。「次の日に痛みや疲れが残っているようなら、刺激として多すぎるのかもしれません。翌日の揉み返しやだるさで判断してください」(高林さん)。
宇田川さんも「筋膜マッサージをやってすぐ指圧だと、刺激がダブり、それはあまり好ましくない。でもお灸など、違う刺激であれば問題ないと思います。ただ、両方やるとどちらが効いているかわからなくなるので、評価をする場合は一つに絞って効きを判断してからの方がいいです」。
Q3. マッサージする場所は温める? 冷やす? 何もせず常温?
「お風呂に入った後など、血行を良くしてからほぐした方が効果は高いです」(川口さん)、「熱を入れた方が表面の硬さが緩みます」(宇田川さん)など、おすすめは温める、という声が多数。
また「自分が心地いい温度が一番」と樋口さん。「自分をいたわるのですから、リラックスがキーワード。お風呂に浸かりながらもすごくいい。ソファで座っているとき、ちょっとしたデスクワークの隙間のブレイクタイム。じっくり自分で自分のカラダを触ることが大切です」。
Q4. 運動の後はマッサージした方がいい?
やってもいいものの、こちらもやり方によるよう。「優しいマッサージだったらいいと思います。強いマッサージ、速いマッサージは運動前にやってください」(高林さん)。
市野さんも「筋肉を痛めるマッサージでなければいいと思いますが、運動後は筋線維が断裂して、皮下脂肪と癒着しやすい状態になっているので、本来は“もむ”より“流す”方がいいです。ちなみにリフレクソロジーは部位と関係なく、足からのアプローチなので問題ありません」。
Q5. プロに任せた方がいいラインはどこ?
「何もしなくても痛い状態=持続的な自発痛がある場合はプロに頼んだ方がいい」(川口さん)というのが、みなさんの共通見解。
「まずは自分でやってみてどれぐらい変わるか。ほとんどの場合、まずセルフでやってみてもいいですが、五十肩など、安静時で何もしなくても痛いものはプロに任せましょう」(宇田川さん)。
寺林さんも「ギックリ腰など急性期の痛みは無理に何かしようとせず、安静にして冷やし、少し回復したら専門家に見せる。その方が予後がいいです」とのこと。
Q6. メソッドがいろいろあるけど、何を基準に選べばいい?
「相性はやっぱりあります。100%というのはありえないので、やってみて効果を感じるかどうかで判断してください」(川口さん)。
「まずは読んでスッと頭に入ってくるものがいいのでは? 理解が間違っていると、せっかくのセルフケアも効果半減」(寺林さん)など、まずは試してみて判断するのがいい、というのがみなさんに共通する答え。
「メソッドに対して疑いがあると効きません。まずは自分が興味を持てるもの、セルフなら自分にとって簡単で心地いいと思えるものを続けてみましょう」(市野さん)。
Q7. いつやるべき? おすすめやNGの時間帯は?
「NGは食事直後。消化吸収に血液を集中させているので。逆に食前にやると胃腸の働きが良くなったり、寝る前にやると一日の疲れが取れるのでおすすめです」(宇田川さん)。
その他「足は寝る前はもちろん、朝のスタートアップにもおすすめ」(市野さん)という回答も。
また、読んで満足して、そのうち試してみようと先延ばしするのもよくない、とは樋口さん。「今、本を読んだらすぐやりなさい。どうせやらなくなるんだから。人間、飽き性でしょう? 飽きたらやらなくなるから習慣化すること」。たしかに!
Q8. 痛くなるまでやってもいい?
「強ければ強いほどいいわけではない」と高林さん。「みなさん、強く揉みすぎてしまうことがあるのですが、スーパーのお肉って指で押すと線維が崩れますよね。それと同じで、強すぎると筋肉の線維を痛めてしまう。痛気持ちいいところで止めてください」。
ただ、ツボの場合は少し違う様子。「痛いけれど気持ちいい場所を探し当て、しっかり押すことがケアになる。よって少し痛い程度なら押してOK。様子を見ながらゆっくりと、痛くなくなるまで継続して刺激を」(寺林さん)。
Q9. 揉み返しはなぜ起きるの?
そもそも、揉み返しとは細胞レベルでの圧迫により筋膜や筋線維が損傷を起こして炎症を起こしている状態といわれる。「指先に力が入りすぎている、筋肉の流れと平行にマッサージができていない、冷えているところを刺激している、筋肉をほぐしたいのに別のところを刺激している、などの可能性があります」(高林さん)。
「マッサージのやりすぎでも起こることがあります。最初は、時間や強さ、当たり方を加減しながら様子を見てください。大丈夫そうなら、時間を長くしたり、強くしてみましょう」(川口さん)。