現代生活で衰えがちな「足首の柔軟性」
スムーズで安定した歩行には、足首と股関節の連動した動きが不可欠。
「足首と股関節はモビリティ関節に分類され、その可動域を十分に活かすことが重要です。これに対して安定性を保つスタビリティ関節の膝は“中間管理職”とも呼ばれ、足首と股関節が硬いと間違った歩き方で運動効果が上がらないだけでなく、間にある膝を痛めてしまう可能性も」
こう話すのは、トレーナーの澤木一貴さん。
まず足首は、歩くときに地面からの衝撃を受け止め、かつ安定させる働きを担っている。ところが足元を靴でガチガチに固める現代の生活習慣ではこれらの機能が衰え、足裏から連動する下肢の動きまでも悪化するケースが多いのだとか。
そこで今回は足首の柔軟性を高めるストレッチを紹介。モビリティ関節としての本来の機能を取り戻し、快適な歩きを実現しよう。
足首の柔軟性を高める5つのエクササイズ
現代の生活ではとかく硬くなりがちな足首。さらに歩行においては 地面とコンタクトする足裏でしっかり衝撃を吸収することも必要だ。
そこで行うのは、動きが悪化した足関節を満遍なくほぐしたうえで衝撃を受け止めるのに見合った筋力を身につけるトレーニング。足裏の感度も高まることで、歩行の安定感やバランス感覚も養える。
まずは足の関節をチェック!
足指と甲の間で曲げ伸ばしを行うのが①のMP関節。②リスフラン関節と③ショパール関節は、甲の小さな骨をつないで足裏のアーチ形成にも関与する。脛の脛骨・腓骨と足部をつなぐのが④の距骨だ。
- MP関節(中足趾節関節)
- リスフラン関節(足根中足関節)
- ショパール関節(横足根関節)
- 距骨
① MPジョイントストレッチ
足指の付け根を柔軟にして蹴り出しをスムーズに
歩行の蹴り出しに不可欠な、足指の伸展を行うMP関節。ここがうまく動かないと、足底筋膜炎にもなりやすい。靴を履く習慣によって現代人が失いがちな本来の動きを、背屈方向にぐぐーっと反らすストレッチで取り戻そう。
四つん這いで爪先を立て、MP関節を甲側に曲げる(=背屈)。手足の位置は変えずに尻を踵に乗せ、MP関節をさらに深く背屈して2秒キープ。元の姿勢に戻り10回繰り返す。
② フット&ハンド
足裏のアーチを保持して着地の衝撃を吸収
ここで狙うのは、足の甲を形成するリスフラン関節とショパール関節。城壁のように密集して固まった骨の間をほぐすことで、着地の衝撃を足でうまく吸収できるようになる。血流の滞りも改善されるため、疲れた足をリフレッシュする目的でも、ぜひ。
足の甲の付け根を包むように持ち、足指の間に反対の手の指を差し込む。両手を逆方向にねじってひねりを加え、10往復。反対側も行う。
③ タオルギャザー
足裏の筋力を強化してクッション性と感度をUP
4層に分かれた足裏の細かい筋肉や、足指からふくらはぎにつながる筋肉を強化。足裏のクッション性と感度が高まることで、地面からの反発をうまく利用した安定感のある歩行が実現する。
薄手の細長いタオルにペットボトルを乗せ、足指を「パー」の形に開いてから握り、反対の端からタオルをたぐり寄せる。最後まで引き切ったら、これを3セット。
④ アンクルジョイントストレッチ
踏み出す足の一歩がまっすぐ前を向くように
モビリティ関節たる足首において、蝶番のような役割を担うのが距骨。前後の可動域が広がると足首をまっすぐ前へ出せるようになり、歩行では常に働くヒラメ筋のストレッチにも。
片膝を立て、反対の膝は曲げて正座のように座る。立てた方の足首の付け根を両手の親指で押さえ、上体を倒して前に体重移動。2秒キープして上体を戻し、10回繰り返す。反対側も。
⑤ フットローリング
足裏からの連動性を高めて歩行のクオリティを底上げ
硬直した足裏の筋肉をほぐし、踵を経由してつながるふくらはぎの筋肉を柔軟にしてスムーズな歩行に。ボールコントロールが意外に難しく、足裏の神経が養われると同時に、反対の足はバランス力を強化できる。
片足でテニスボールを踏み、縦横で各3ラインをそれぞれ5往復、転がしながら足裏をほぐす。反対側も行う。