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摂る量を「手」で把握しよう
6大栄養素(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維)を偏りなく補っていないと、カラダ作りは成功しないし、健康体にも近づけない。でも、栄養バランスの取れた食事を組み立てるのは、口で言うほど簡単ではない。
国では、何をどれだけ食べたらいいかをイラストで示した「食事バランスガイド」というガイドラインを作っている。コマをイメージしたものだが、直感的にわかりにくく、意図に反してほとんど浸透していない。
そこで活用したいのが、手ばかり。主食、主菜、副菜などの目安量を、手の大きさと見比べて大雑把に知り、栄養バランスを取る工夫だ。
これは、栄養指導の現場では古くから使われているオーソドックスなメソッド。スーパーやコンビニで食材や食品を買ったり、外食したりする際、手ばかりすると栄養の偏りが素早く整えられる。
手のサイズは体格に比例するので、手ばかりは体格に応じた適量を知るのに役立つ。今回は標準体型の男性を例に、主食、主菜、副菜などの分量を紹介した。これを参考に増減し、自分の適量を手ばかりしてほしい。
主食と主菜では、1食で摂るべきボリュームを知ることが大切。副菜、果物、間食などは、1日の摂取目安量を手ばかりでざっくりと把握しておこう。
主食(1食分):糖質40gの分量を知る
何よりも手ばかりしておきたいのは、主食。ご飯、パン、麺類といった主食の穀物から、日本人はカロリーの4割ほどを摂る。主食のボリュームを把握しない限り、食事の全体像は見えにくい。
主食の穀物は、糖質の塊。緩やかに糖質を制限して食後高血糖を防ぐロカボ®では、主食を減らすのが先決。1食の糖質のリミットは40gだ。
ロカボ®を行わないとしても、ご飯の大盛りやおかわり、カツ丼+かけそば、ラーメン+チャーハンといったダブル糖質は避けるようにしたい。主食ばかり摂ると、お腹が物理的に満杯となり、主菜や副菜が十分食べられなくなり、栄養バランスが崩れる恐れもある。手ばかりで糖質量を“見える化”し、過食のセーブにつなげよう。
穀物では量だけではなく、その質にも目を向けてみる。精製度の低い玄米、全粒粉小麦のパン、オートミール、挽きぐるみのそばといった全粒穀物の摂取量を増やす努力をしよう。全粒穀物は、腸内環境を整えてエネルギー代謝を正常化し、肥満を防ぐ食物繊維を多く含むからである。
主菜(1食分):タンパク質25gの分量を知る
主菜はメインのおかず。狙いは、タンパク質と脂質の摂取である。カロリーになる糖質、脂質、タンパク質のうち、糖質はイザとなれば自給率100%。必要分を体内で合成し、自給自足できる。
だが、タンパク質を作るアミノ酸、脂質を作る脂肪酸には、体内で合成できないものがある。だから、主菜は毎食必ず食べるべき。食パン+コーヒー、おにぎり+野菜ジュースといった主菜抜きの食事では、栄養バランスは崩れる。
ことに筋肉を作るタンパク質は20種類のアミノ酸からなり、タンパク源でその組成は異なる。好物に偏らず、肉類、魚介類、卵、大豆食品、牛乳・乳製品という5大タンパク源を1日1回摂りたい。
意識したいのは、1食当たりのタンパク質の摂取量。足りないと筋肉が減るし、多すぎても筋肉の材料として利用しにくい。目安量は、1食当たり25g前後。これで、必要な脂質も一緒に摂れるはずだ。
副菜(1日分):野菜350g以上の分量を知る
副菜=添え物というイメージが抜けない人は、猛省すべき。副菜は、油断すると欠乏しやすいビタミン、ミネラル、食物繊維の玉手箱。野菜は毎食欠かさず、きのこ類、海藻類、イモ類はそれぞれ1日最低1回摂りたい。
野菜は、色が濃い緑黄色野菜(厳密にはβ-カロテンの含有量で定義されるが、色で判断しても大きな間違いは生じない)と、それ以外の淡色野菜に分けられる。両者を合わせて生で1日350g以上、緑黄色野菜は120g以上摂るのが鉄則だ。
今回はことに栄養価の高い緑黄色野菜をリスペクト。それよりも多めに手ばかりして食べることを提案する。野菜は、生と加熱した状態では、カサがかなり変わることも知っておこう。
この他、きのこ類、海藻類は1日に片手のひらカップ1杯、イモ類は拳2分の1個分を基準として食べるのがいいだろう。
果物(1日分):100~150gの分量を知る
果物は、副菜と同じくビタミン、ミネラル、食物繊維が摂れるし、有害な酸化を抑える抗酸化作用を持つポリフェノールも豊富。1日拳1個分(100~150g)を摂ろう。
ひと口に果物といっても多種多様。なかでも、栄養価の高いイチゴやブルーベリーなどのベリー系、ミカンやレモンなどの柑橘類、実力派のリンゴやキウイフルーツなどの摂取を優先させてほしい。
ただし、バナナや桃のように甘みが強く糖質が多すぎる果物は、摂りすぎると糖質&カロリー過多につながりやすい。特にバナナは、植物としては確かに果物だが、栄養学的には主食に近い。食べるなら、その分だけ主食を少なめに。
減量中に限らず、果物を甘いジュースで摂るのは控えるべき。果物に多い果糖をジュースで大量に飲むと、肝臓で体脂肪に変わりやすくなり、肥満や危険な脂肪肝を招きやすいのだ。
間食(1日分):摂取カロリーの10%の分量を知る
間食は、1日の摂取カロリーの10%が上限。2000kcalなら200kcal未満(写真の手ばかり例)だ。その定番は、チョコやクッキーなどの甘いモノ。仕事中などにホッとひと息つけて“心の栄養”としてストレス軽減に役立つ。
だが、3食でカロリーと栄養素が充足できたら、極論すると間食は不要。あえて摂るなら、栄養素のカバーに主眼を置きたい。
お薦めの間食は、ミックスナッツとギリシャヨーグルト。ミックスナッツからは、ビタミンEやマグネシウム、食物繊維といった栄養素が摂れる。ギリシャヨーグルトはタンパク質が1手のひらカップ10g前後とリッチなうえに、乳酸菌が摂れて腸内環境を整えることも期待できる。
お酒(1日分):純アルコール換算20gの分量を知る
カラダに負担の少ない適正な飲酒量は、1日に純アルコール換算(下公式参照)で20g。醸造酒と蒸留酒で飲める量は変わる。
純アルコールの計算式
ビールは指で作ったL字分のジョッキ1杯(500mL)、ワインは人差し指の深さのグラスに7分目で2杯弱、日本酒は人差し指の高さの細身のコップに1杯弱(180mL)。
焼酎などの蒸留酒はアルコール度数が醸造酒の2倍ほど。底が広めのコップで指を横に寝かせた2本分(2フィンガー)が目安だ。