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適量の20gは何杯分?「グラム」で学ぶアルコールの適量

アルコール 適量

国が推奨するアルコールの適量は1日平均20g程度。我々のよく知る「%」ではなく、グラムが指標となっている。グラムをキーワードとして、お酒との正しい付き合い方を学んでいこう。

アルコールの適量にグラムが重要な理由

日本では今、アルコールを〇%と表すのが主流だ。ただ、パーセント表示だけでは実際にどれくらいの量を摂取しているのかは把握できない。そのため低アルコール飲料だからというイメージで、つい飲みすぎてしまうと、実はテキーラショット何杯分の量を、ということもあり得る。

だが、表記がグラムとなれば話は変わってくる。一見しただけで、飲んだアルコールの量がわかるのだ。

アルコール 適量

自分にとっての適正量を理解することで、飲みすぎを防ぐことができるし、いつまでも楽しく酒と付き合っていけるというわけ。実際に多くの国ではアルコールのグラム表記が進められている

例えば、オーストラリアではアルコール10gを1ドリンクという単位で定義。お酒のラベルには〇ドリンクと書かれ、グラム数をよりわかりやすく表示している。%からの換算式は下記の通り、普段自分が何g摂取しているのか、一度計算してみよう。

日本の%表記からアルコール量を計算 アルコール 適量

日本の%表記からアルコール量を計算すれば、自分の摂取量がわかる。飲料の容量(mL)にアルコール度数(5%なら0.05、10%なら0.1)を掛けて、アルコールは水より軽いので比重0.8をさらに掛ける。

なぜ20gが目安なのか?

2013年、厚生労働省は「節度ある適度な飲酒量」として、「純アルコールで1日平均20g」という指標を示した。もちろん理由がある。それが以下のグラフ。

欧米人を対象とした14の研究をまとめて解析(メタ解析)した結果 アルコール 適量

1日平均アルコール消費量(g)/欧米人を対象とした14の研究をまとめて解析(メタ解析)した結果を示した。Jカーブを描き、底部分、つまり死亡率が低いのが19%だ。Hoiman. CD, English DR, Milne E et al.

飲酒量と死亡率の関係を表しているが、Jカーブとも呼ばれる。グラフはJの字を描いていて、底部分が一番死亡率の少ない飲酒量となるのだ。それが19gで、非飲酒者よりも死亡リスクは少なくなっている。つまり、生涯において健康的に酒を楽しむなら20gまでに抑えようということだ。

さらに、厚生労働省はもう一つの指標も示した。それが生活習慣病のリスクを高める飲酒量で、男性が40g以上女性が20g以下というもの。

だが、酒呑み諸君、倍になったとよろこんではいけない。最近では、アルコールにはリスクしかないという結果になった研究もある。やはり1日20g前後にして、週2回休肝日を設ける。缶ビールならば500mL1本だ。これぐらいで留めよう。

巷でもグラムの波が普及中?

実は日本でもアルコールのグラム表記が進んでいる。東名阪を中心にチェーン展開する〈鳥貴族〉では早々とメニューに表示した。マーケティング部の横田智一さんは語る。

鳥貴族 メニュー アルコール 適量 各アルコール飲料にグラム数が記されている

〈鳥貴族〉のメニュー。2021年の10月より各アルコール飲料にグラム数が記されている。

「若者の間では酒離れが進んでいます。どれだけ飲んでいいかわからない、という意見も多く。グラム表記を行い、分かりやすく、健康的に飲んでいただけるよう試みました」

メニューには1日20gという厚生労働省の指標も記されている。低アルコール飲料も好評で、グラム数を頭に入れて飲む若者も多いという。

また、政府も従来のアルコールの度数表記と並行して、グラムでも表示する方向で調整を進めている。大手酒造メーカーも、ウェブサイトなどで開示したり、発泡酒など一部の商品ではすでに記載されているモノもある。

キリンビール 発泡酒 淡麗グリーンラベル 350mLでアルコールは12.6g アルコール 適量

キリンビールの発泡酒《淡麗グリーンラベル》。350mLでアルコールは12.6gと表示がある。

適切な飲酒量をダイレクトに知ることができれば、アルコールによるリスクを回避でき、より快適な生活が送れるようになるだろう。

アルコールと肥満の関係は?

肥満との関係もおさらい。アルコールは1gで7キロカロリーのエネルギーを持つ。しかし、アルコールのエネルギーは主に熱源として使われて、脂肪としてカラダに蓄積されることはほとんどない。飲んで太るというのは別の原因がある。

それが、飲酒時に口にする食べ物。食べ物を摂取すると、その一部のエネルギーは熱源になる。ところが、これがアルコールでカバーされるため、摂取したエネルギーは他へと回される。その状態でいつもと同じ食事量を摂るため、肥満に繫がるのだ。

だからといって食べずに飲むのはNG。アルコールが急激に吸収されて肝臓をはじめとする臓器に深いダメージを与えてしまう。低カロリーの食品を摂りつつ、飲んでほしい。

さらに、飲酒後は空腹を感じるが、それはアルコールによって血糖値が下がるため。実際にはエネルギーが確保できていても、食欲が高まってしまうのだ。我慢するのが最善だ。

呑むときの目安に、こんな組み合わせはいかが?

最後にパターン別に「節度ある適度な飲酒量」を検証してみた。アルコール20gほどで何がどう飲めるのか、自分の飲酒量を振り返りながら確認してみてほしい。

パターン① 定番さん

ビール+ハイボール アルコール 適量

仕事が終わったら、帰りに居酒屋で一杯! そんな「定番さん」は生ビールとハイボールの組み合わせ。中ジョッキ13.3g、ハイボール1杯10.3gで計23.6g。ちょいオーバーだけど、十分に一日の疲れを癒やすことができる。今日もお疲れさまでした。

パターン② 甘~いの大好きさん

カシスオレンジ+ジントニック+カルアミルク アルコール 適量

飲み屋の雰囲気も酒に酔う気分も好きだけど味は苦手、という「甘~いの大好きさん」はジントニック9.6g、カシスオレンジ4.8g、カルアミルク6.4gで計20.8g。なんと3杯も飲めてしまう。カクテルだから味も代わる代わるで、なんだかお得な気分に。

パターン③ ちびちびっとさん

日本酒or 焼酎 アルコール 適量

酒が好き。ずっと飲みたい「ちびちびっとさん」。その想いわかります。ただ、適量は大事です。日本酒1合21.6g、あるいは焼酎90mL 18gでどう? つまみを食べながら(ちびちびっとさんはこれが重要。飲むだけはダメ)、ゆっくり飲(や)ろう。

アルコールグラム早見表
ビール 5%、中ジョッキ=320mL 13.3g
焼酎 25%、90mL 18g
日本酒 15%、1合=180mL 21.6g
チューハイ 5%、240mL 9.6g
梅酒 12%、90mL 8.6g
ハイボール 5%、240mL、うち原酒30mL 10.3g
赤ワイン 10%、180mL 14.4g
カシスオレンジ 4%、150mL、うち原酒30mL 4.8g
カルアミルク 7%、120mL、うち原酒40mL 6.4g
ジントニック 8%、150mL、うち原酒30mL 9.6g

編集部調べ(%は小数点第1位、gは小数点第2位を四捨五入した値)

取材・文/鈴木一朗 撮影/石原敦志 取材協力/樋口 進(久里浜医療センター院長)

初出『Tarzan』No.841・2022年9月8日発売

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