腸の不調は「お腹の筋膜」を整えて改善!
カラダに起こる不快な凝りや痛みには筋膜の乱れが隠れているかも。現代人が悩む8つの症状別に、“トリガーゾーン”となっている筋膜をケアして症状を改善する方法を紹介していく。今回は、腸内環境を良好に保つためのトリガーゾーンケアを伝授!
取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/Hi there 監修/滝澤幸一(ソル・エ・マーレ鍼灸治療院主宰)
初出『Tarzan』No.830・2022年3月24日発売
筋膜をリリースして腸の不調をケア
腸内環境を左右するのは、総勢40兆個の腸内細菌。その腸内細菌が快適に働けるコンディションを整えてやれば、腸内環境が改善できて快腸につながる。そこで大切なのは、お腹の筋膜を整えて動きを良くすること。
腹部の筋膜と筋肉の動きが悪くなると、血流が低下して腸管に必要な酸素と栄養が届きにくくなり、腸内環境に悪影響を与えかねない。腹部の筋膜と筋肉への適度な刺激は、頑固な便秘から脱却するチャンスでもある。
「部位別・トリガーゾーンケア」のやり方
- ゆっくり沈み込ませるような強さ・感覚で部位を押しながら、
- 「3秒で吸い+5秒で吐く」という呼吸を、
- 3〜5回(30〜40秒)繰り返して行う。
- 風呂上がりなどに全種目を毎日続ける。
- 症状が治まったら、週3回前後に減らしてもOK。
お腹(腹筋群)のリリース
床でうつ伏せになり、お腹の下にポール(作り方は後述)を横にしてあてがう。両脚を伸ばし、両腕を床でクロスさせて頭を乗せる。体重をかけて、ポールがお腹に沈み込む感覚が得られるまで押し伸ばす。みぞおちから下腹部までトリガーゾーンを探しながら行う。
脇腹(腹筋群、腰方形筋)のリリース
右向きで横になり、右の脇腹にポールを横にしてあてがう。右腕を伸ばし、頭を乗せる。左手はラクな位置に置く。左膝を前に出してカラダを右側へ傾け、体重をかけてポールが脇腹に沈み込む感覚が得られるまで押し伸ばす。脇腹の上から下までトリガーゾーンを探しながら行う。左右を変えて同様に。
「トリガーゾーンケア」とは?
肩こりや腰痛、脚のむくみやスポーツ障害といった慢性的な悩みには、筋膜の乱れが隠れているケースも多い。特に乱れが生じている場所には、筋膜や筋肉に毛玉のようなシコリが見つかる。筋膜が厚く硬くなり、滑りが悪くなって周りの血の巡りを遅らせ、低酸素状態に陥っているのだ。これが、いわゆるトリガーポイント。
「トリガーポイント=点と誤解されがちですが、実際は点ではなく面。ある程度の広がりがある“トリガーゾーン”です。だから、指圧のようにピンポイントで強い刺激を加えるのではなく、じっくり時間をかけて面で押し伸ばすのが正解。指圧がプッシュなら、このケアはプレス&ストレッチが合言葉。患部にゆっくり沈み込ませるような感覚が大事です」(鍼灸師の滝澤幸一さん)
プレス&ストレッチには手製のポールと硬めのボールを準備しておくと便利なのでオススメだ。
トリガーゾーンとは?
触るとコリコリと硬く、軽い痛みが走るところ。周辺に響くような痛み=放散痛を伴うことも。これは神経系の誤作動などによるもの。患部から離れた部位に原因のある可能性もゼロではないが、まずは元のトリガーゾーンとその周辺を攻めた方が症状は解消しやすい。
「トリガーゾーンケア」のためポールとボール
ポールは、食品用ラップの芯にフェイスタオルを巻いて、輪ゴムで数か所固定して作る。ボールはある程度硬さがあるものを選ぼう。