不足しがちなビタミンB群は代謝アップに欠かせない
食事を減らせば痩せる!は大正解だけれど、それだとツラいのも事実。贅肉の浮き輪(=お腹まわりの脂肪)を取るには、普段の食事に栄養・機能をプラスする「足す食事」を取り入れたい。今回は、脱・贅肉浮き輪にビタミンB群が効く理由を解説。
取材・文/井上健二 撮影/大嶋千尋 スタイリスト/西森萌 監修・料理作製/河村玲子
初出『Tarzan』No.830・2022年3月24日発売
浮き輪ゾーンの贅肉とは?
浮き輪ゾーンとは、ヘソと左右の腰骨との間を中心に、腰まわりを贅肉が帯状にグルリと一周する部分(写真上の色で示した部分)。内部には内臓脂肪が溜まり、外側を皮下脂肪が腰まわりを一周するように囲み、溜まった体脂肪が、浮き輪をハメているように見えることから名付けた。
ダイエットというと、これまではカロリーや食事量を減らす「引く食事」が主流だった。でも、カロリーや食事量を減らす食生活は窮屈だし、辛くて長続きしない。
そこで脱・浮き輪のためにぜひ取り入れたいのは、贅肉を落とすために欠かせないものをプラスする「足す食事」(詳しくはこちらの記事:本気で痩せたいなら食事にタンパク質をプラスすべき理由)。
今回は足したい9つの栄養素と機能性成分の中から、ビタミンB群を解説。
ビタミンB群が足りないと代謝が滞る
食べてカロリーになるのは、糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素。このトリオを代謝するのに欠かせないのが、ビタミンB群。とくにB1、B2、B3(ナイアシン)、B6だ。
B1は糖質、B2は脂質、B6はタンパク質と3大栄養素の代謝を担っており、ナイアシンは3大栄養素すべてをエネルギーに変える反応をアシストする。B群が足りないと、3大栄養素の代謝が滞り、カロリーがダブついて体脂肪に変わり、浮き輪が膨らむ。
なかでも足りないのは、B1とB2。B1では摂取推奨量に対する充足率は男女ともに70〜80%台に留まり、B2でも男性の充足率は70%台。豚肉ならB1も多く手軽に食べられる。
睡眠にもコミットし、カラダを整える
睡眠不足だと自律神経とホルモンのバランスが乱れて太りやすいが、眠りにもB群は深くコミットする。
眠りのリズムを作るのは、脳の体内時計。朝日を浴びると体内時計がリセットされて、新たな気持ちで一日24時間のリズムを刻み始める。このリズムが前にズレても、後ろにズレても、睡眠障害から寝不足に陥る。
体内時計の光への感受性を高める働きを持つのがB群の末っ子、B12。B12は動物性食品に多く含まれるため、通常の食生活では欠乏の心配はほぼほぼない。ただし、ベジタリアンのように、野菜などの植物性食品ばかりを偏愛するような食生活だと、B12が不足しやすいので要注意だ。
体内時計がリセットされて14〜16時間後には、メラトニンが分泌される。メラトニンは体温を下げるなどして眠りに相応しい体内環境を整える。メラトニンは、脳内で分泌されるセロトニンから合成される。その合成に不可欠なのが、B6である。
B群は、水に溶ける水溶性ビタミンであり、体内に蓄積できない。サプリなどで多めに摂っても、オシッコから排泄されるだけ。毎日の食事から過不足がないように摂りたい。
調理法にも留意。食材に含まれているB群は調理で溶け出しやすいからだ。たとえば、B群が溶け出した茹で汁は捨てないようにしたい。
ビタミンB群の1日の摂取推奨量
男性 | 女性 | |
---|---|---|
B1 | 1.4mg | 1.1mg |
B2 | 1.6mg | 1.2mg |
B3 | 15mgNE | 12mgNE |
B6 | 1.4mg | 1.1mg |
B12 | 2.4μg | 2.4μg |