本気で痩せたいなら食事にタンパク質をプラスすべき理由
食事を減らせば痩せる!は大正解だけれど、それだとツラいのも事実。贅肉の浮き輪(=お腹まわりの脂肪)を取るには、普段の食事に栄養・機能をプラスする「足す食事」を取り入れたい。今回は、脱・贅肉浮き輪にタンパク質が効く理由を解説。
取材・文/井上健二 撮影/大嶋千尋 スタイリスト/西森萌 監修・料理作製/河村玲子
初出『Tarzan』No.830・2022年3月24日発売
浮き輪ゾーンの贅肉とは?
浮き輪ゾーンとは、ヘソと左右の腰骨との間を中心に、腰まわりを贅肉が帯状にグルリと一周する部分(写真上の色で示した部分)。内部には内臓脂肪が溜まり、外側を皮下脂肪が腰まわりを一周するように囲み、溜まった体脂肪が、浮き輪をハメているように見えることから名付けた。
「栄養」と「機能」の足し算で脱・浮き輪!
ダイエットというと、これまではカロリーや食事量を減らす「引く食事」が主流だった。でも、カロリーや食事量を減らす食生活は窮屈だし、辛くて長続きしない。しかも、筋肉が減って代謝が下がり、太りやすくなり、リバウンドで終わるケースも少なくない。
そこで脱・浮き輪のためにぜひ取り入れたいのは、贅肉を落とすために欠かせないものをプラスする「足す食事」。そもそも食事には、好きなものを食べる「嗜好」、カラダに必須の成分を摂り入れる「栄養」、栄養以外に重要な働きを持つものを補う「機能」という3つの要素がある。
浮き輪がなかなか落ちない人には、この3要素のうち、「嗜好」に偏っている人が多い。大切なのは、「嗜好」だけに走るのではなく、「栄養」と「機能」を意識した食事を心がけること。「栄養」と「機能」に配慮した食事を続けていれば、食べすぎが自然に抑えられるし、浮き輪を絞るためのスイッチがオンになる。
今回は浮き輪退治に効果的な9つの栄養素と機能性成分の中から、特に優先的にプラスしたいタンパク質の効果を解説する。「足す食事」を味方につけて浮き輪とは無縁な体質に変身しよう。
食の3要素を覚えておこう
【パスタが好きすぎる人の場合】
ペペロンチーノだけだと摂れるのは糖質とカロリーのみ。そこに前菜でタンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を足し、赤ワインから抗酸化作用がある機能性成分をプラス。
タンパク質を摂らないと筋肉が減って、基礎代謝が下がる
減量中は、脂質がそこそこ多くて、カロリーもやや高めの肉類や魚類や卵といったタンパク源を避けがち。でも、本気で痩せたいなら、タンパク質はむしろ優先的にプラスすべし。浮き輪退治に、タンパク質を足し算する理由は大きく3つある。
第一に、タンパク質の摂取が足りないと、筋肉が減る一方だから。水分を除くと、筋肉を作るのは、ほとんどタンパク質。そのタンパク質は、つねに分解と合成を繰り返す新陳代謝を行う。
タンパク質は20種類のアミノ酸からなり、そのうち9種類は体内では合成できない必須アミノ酸。タンパク質≒必須アミノ酸が足りないと、筋肉の合成は滞る。
筋肉は、じっとしているときでも消費している基礎代謝の20%ほどを担う。筋肉の合成が減ると基礎代謝が下がり、浮き輪が生じやすい。それを避けるために、1日で体重1kg当たり1.0〜1.2gのタンパク質を摂るべき。
60kgなら60〜72g、70kgなら70〜84gだ。肉類、魚類、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆食品という5大タンパク源を1日で網羅するように心掛けていると、必須アミノ酸がバランスよく摂れる。
タンパク質は食欲を抑え、代謝を上げる
タンパク質がダイエットに効く第二の理由は、食べすぎないから。肉類や魚類などのタンパク源には、お約束のように脂質も含まれる。タンパク質と脂質を摂ると消化管から、脳に働きかけて食欲を抑えるホルモンが分泌される。
この消化管ホルモンにより、食べすぎがセーブされるので、減量中こそタンパク源は恐れず積極的に足すべきなのだ。
第三に、タンパク質を多めに摂ると食後の代謝も自然に高まる。食事をすると、体内に吸収された栄養素が分解される際、一部が熱に変わる。食後、カラダがポカポカするのは、このため。これをDIT(食事誘発性熱産生)と呼ぶ。
DITは3大栄養素で異なり、糖質は約6%、脂質は約4%だが、タンパク質はなんと30%にも達して、食後の代謝を押し上げてくれる。筋肉が増えるほど、DITは総じて高くなる。筋トレ+タンパク質の足し算でDITを促し、代謝が高くて浮き輪と無縁の体質に変身したい。