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肌ツヤも疲れやすい体も…内臓脂肪を減らすべき6つの理由

太った男女

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外側内側。どちらの脂肪が危険?

内臓脂肪と皮下脂肪

A. 内側に付く内臓脂肪です。

そう、質問の答えは左の内臓脂肪の方。画像はへその部分で腹を輪切りにしたCT画像で、上が腹側、下が背中側となる。

で、白く見える部分が脂肪。左は腹筋や背筋の内側に脂肪がたっぷり溜まり、右は筋肉の外側に脂肪がたんまり蓄積されている。黄色く着色し強調した部分が内臓脂肪であり、皮下脂肪だ。

指でぷにっとつまめるのが外側についた皮下脂肪、お腹がパツパツに張っているけどつまめないのが内側についている内臓脂肪

内側というのは筋肉の内側。具体的にどこかというと、お腹の中を蛇行している約6mもの小腸を包み込む、腸間膜という部分。なぜ外側より内側が危険かって? それを以下の項目で説明しよう。

いわゆる脂肪とはどう違う?

A. 皮下脂肪は定期預金、内臓脂肪は普通預金。

「進化の過程で植物から動物になったとき、動くためのエネルギーをどこかに蓄える必要がありました。その貯蔵庫として動物は脂肪を選んだと考えられます」と言うのは肥満治療の専門家、関西医科大学の木村穣教授

最も手っ取り早くエネルギーになるのは糖質だが、残念なことに糖はカラダに大量にプールすることができない。その点、脂肪ならばその気になればいくらでも蓄積可能。いわば、超便利なお弁当箱。

「皮下脂肪もエネルギーにはなりますが、より素早く溜めたり出したりできるのが内臓脂肪。皮下脂肪が定期預金なら内臓脂肪は手軽に出し入れできる普通預金です」

獲物を見つけたら速攻で狩りをし、生き延びてこられたのも内臓脂肪のおかげだったという話。

内臓脂肪が溜まったという目安は?

A. 面積100平方cm、ウェスト周径85cm。

長時間獲物を追って狩りをして、たらふく食べてお腹が減ったらまた狩りに出る。こうしたライフスタイルであれば、内臓脂肪は必須のエネルギー源。適度に出し入れするため、お腹パツパツのホモ・サピエンスはいなかったはず。

でも時代が下って1日24時間、いつでも食べ物にありつける環境になった今、余ったエネルギーが内臓脂肪として過剰に蓄積されるようになってしまった。

で、過剰蓄積が進むとさまざまな健康被害が生じることが分かってきた。いわゆるメタボというヤツだ。健康と不健康のボーダーラインは、ウェスト周径にして85cm(女性は90cm)、CT画像の内臓脂肪面積にすると100平方cm。上の内臓脂肪画像は完全にアウトの状態。

腹囲はへその高さのウェスト周径。CT画像の内臓脂肪面積との相関からメタボ基準の目安となった。出典/Cric J 2002; 66: 987-992より

内臓脂肪が溜まると何が怖い?

A. 生活習慣病のリスクが高まる。

内臓脂肪がメタボを引き起こすメカニズムは以下の通り。

「脂肪細胞はレプチンなどのホルモンを分泌します。こうしたホルモン活性は内臓脂肪の方が断然高く、蓄積するとインスリンの効きを悪くするといった悪玉のホルモンを出すようになります」

内臓脂肪がメタボを引き起こすメカニズム

内臓脂肪面積が100平方cm以上になると、善玉のホルモンを出していた内臓脂肪が不良化し、悪玉のホルモンを分泌する。

適量ならカラダにいい作用をもたらすホルモンを出し、溜まりすぎるとメタボを引き起こすホルモンを出し始める。つまり、不良化する。

「活性度が高い理由は腸間膜には毛細血管が多数あるということと、内臓脂肪は皮下脂肪より水分が多く、分解されやすいからです。だから短期間で溜まった内臓脂肪は短期間で落とすことが重要

溜まりやすいのは遺伝のせい?

A. 遺伝子の修飾の影響もある。

おじいちゃんもメタボ、父親もメタボ、自分も内臓脂肪を溜めやすい体質だから仕方ない、と諦めるのはまだ早い。最新の研究では遺伝的に太りやすい体質も変えられる可能性があることが分かってきた。

「私たちが持っている遺伝子はほぼ全員共通。外見や体質の違いは働いている遺伝子が一人ひとり違うからです。でも運動によって今まで働いていなかった遺伝子が活性化されて痩せやすくなる可能性もあります」

遺伝子にはスイッチのようなものがあり、環境や運動などの刺激によってスイッチをオンにすれば代謝を高めたり血糖値を下げる遺伝子が活性化する。こうした遺伝子スイッチの制御を遺伝子の修飾、これを解明する学問をエピジェネティクスという。たとえ1回の運動でもその作用が期待できるという報告もある。希望を捨てるべからず。

内臓脂肪を減らすべき6つの理由

理由① 疲れにくくなる

不良化した内臓脂肪からは血管や神経の炎症を促す物質が分泌される。これによってカラダは慢性的な炎症状態に。

「内臓脂肪を減らすことによって血流が改善され、神経の活動も高まります。その結果、持久的な能力が上がると考えられます」

ちょっと動くとすぐ疲れる→不活動になる→内臓脂肪がますます溜まる→ちょっと動くだけでとても疲れる。短期間で溜まった内臓脂肪を速やかに落とすことで、こうした悪循環を断ち切る。

疲れにくくなれば、洗濯や掃除、買い物など日常生活で行う活動、NEATが増えてエネルギー消費量が底上げされる→内臓脂肪がますます減るという好循環のループにシフトできるのだ。

理由② 痩せやすい遺伝子のスイッチが入る

筋トレを導入して筋肉を活性化させると、エピジェネティクス効果で今まで働いていなかった抗肥満遺伝子がオンになるという。

「筋トレという運動自体のエネルギー消費は低いのに体重が減少する理由は、抗肥満遺伝子の働きによるものも考えられます。最近の研究では、筋トレのみを行ったグループと普通のダイエットをしたグループでは前者の方が体重が減り、抗肥満遺伝子のスイッチが入ることが分かっています」

筋トレ以外の軽い運動でも効果は期待できるという。食事コントロールと運動の併用で内臓脂肪はより減らしやすくなり、ついでに痩せ体質に変身できる可能性は高い。

理由③ 肌つやがよくなり表情が若返る

内臓脂肪が適正量になり、末梢の循環が改善されるとカラダのすみずみにまで血液や酸素が行き渡る。

「それに伴って肌つやがよくなったり、アンチエイジングの分野から顔つきや表情全体が若返るという話も聞いています」

加えて腸を包んでいる腸間膜の脂肪が取れることで腸自体の動きもよくなり、排便もスムーズになるという。腸の蠕動運動が滞ると内容物が停滞し、腸内に腐敗物質が長時間留まることになる。

それらが腸壁から体内に吸収されて肌荒れの原因に。暴飲暴食をした後に鏡を見て「老けたな」と感じたら、それは年齢のせいだけではないかもしれない。即、内臓脂肪を減らす対策を。

理由④ 認知機能が高まる

過剰に蓄積された内臓脂肪が分泌する物質に、TNF-αレジスチンといったホルモンがある。これらは糖質を細胞に取り込むインスリンの働きを低下させる「インスリン抵抗性」を促す悪玉ホルモン。

食事で取り入れた糖をエネルギーとして変換させる能力が低下するので、カラダは当然疲れやすくなる。それだけではなく、最近ではインスリン抵抗性と認知機能低下との関連が指摘されるようになってきた。高血糖による慢性的なストレスや炎症で、脳に十分な血液をデリバリーできなくなることが主な原因と考えられている。

まだ若いから認知機能なんて無関係? いやへそ回り90cmのかつてのあなたより、85cm切りの今のあなたの方が頭はキレキレのはず。

理由⑤ むくみにくくなる

ヒトの体液は絶えず全身を循環している。心臓から動脈経由で運ばれる血液は酸素と栄養を各組織に届け、代わりに受け取った用済みの老廃物とともに静脈に回収されて心臓へと戻っていく。

酸素と栄養、老廃物の受け渡しは毛細血管で行われるが、インスリン抵抗性が高まると、こうしたやりとりがスムーズにいかなくなる。で、起こってくるのがカラダのむくみ。血液と老廃物が回収されずに各組織の周辺に溜まり、とくに心臓から遠い下肢がむくみやすくなる。

内臓脂肪を減らすことで、体質で片付けていたむくみの症状にも必ず変化が表れる。夕方の革靴キツい問題も解決だ。

理由⑥ ボディラインがすっきりする

内臓脂肪型肥満の特徴はリンゴのようなぽっこり腹。ウェストサイズ90cmではベルトがパツパツ、それどころか、以前は難なく入っていたパンツがすでに入らない状態かもしれない。

でも自助努力で内臓脂肪を減らし、ウェストサイズを84.5cmの正常範囲までもっていけば、以前に比べて見た目もスッキリ。周囲に「スマートになった?」と指摘されることが、今後のモチベーションに繫がる。健康は大事だが、とくに不調がなければ人は油断する。見た目のボディラインの改善は、さらにカッコよくなりたいという向上心のブースターになるはず。

取材・文/石飛カノ 取材協力/木村 穣(関西医科大学附属病院教授)

初出『Tarzan』No.825・2022年1月4日発売

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