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栄養素を補う「補食」の考え方
1日3食でPFCV(P=タンパク質、F=脂質、C=糖質、V=ビタミン・ミネラル・食物繊維)をバランス良く摂取するのが理想。でも、それを毎日続けるのは現実ではなかなか難しい。
そこで活用したいのは、補食。食間などに、3食でカバーしきれなかった栄養素を補う。3食以外で口にするモノは、通常は間食と呼ばれるが、間食と補食は似て非なるもの。
何も考えずに、食べたいものを、好きなだけ食べるのが間食。それでは栄養バランスが崩れたり、余分なカロリーの摂りすぎに直結したりするので、ボディメイクの足を引っ張ることにもなりかねない。
「間食と違い、補食は3食で摂りきれなかった栄養素を補うか、または最適のタイミングで栄養素を補給する目的で考えて行うものです」(管理栄養士の河村玲子さん)
栄養素によっては、補食には思わぬポジティブな作用も期待できる。
「たとえばB群やCのような水溶性ビタミンは、まとめて摂っても当座不要な分は排出されるだけ。補食などで少しずつ分割して摂取した方が、体内での利用効率を高めることができるのです」(河村さん)
P=タンパク質も、体内で一度に代謝できる量に上限がある。1食でたくさん食べるより、3食+補食でちょこちょこ摂った方が効くのだ。プロテインも、他ならぬ補食である。それでも足りない日は、プロテイン以外の補食でもタンパク質を摂ってやると、タンパク質の代謝がスムーズに回るようになり、カラダ作りにプラスだ。
「脂肪減」で活用したい補食
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「脂肪を減らす」ときに、大いに活用したいのは、PFVの補食。糖質を控えるのが鉄則だから、C(糖質)の補食は想定外としよう。
そこでPのタンパク質でも、糖質を含まないタイプをチョイスする。タンパク質を筋肉に合成するには糖質も不可欠だが、3食で摂っている最低限の糖質量ですでに十分。Pの補食で、あえて糖質を摂ることを考えなくていい。
糖質を減らす分、Fの脂質は必要以上にカットせず、摂取カロリーを落とさないのが基本ルール。むしろ3食で脂質が不足したら、補食で良質な脂質を摂ろう。Vが足りないと思ったら、低糖質で水溶性ビタミンなどが摂れるものを食間に口にしておきたい。
PFVを補うための補食の例
ビーフジャーキー
牛肉を干した保存食品がビーフジャーキー。赤身肉が原材料なので高タンパク質・低脂質・低糖質。なおかつ嚙み応えがあり、早食いによる無駄なカロリー摂取が避けられる。
鮭トバ
トバとは、秋鮭を加工して干した保存食品。1食分30gでタンパク質が14g前後摂れるので、自宅に常備したい。鮭に多いビタミンDには、筋肉量を維持し、体脂肪を減らす働きがある。
ギリシャヨーグルト(脂肪ゼロ・無糖)
プロテインソーセージ
魚肉ソーセージは砂糖を使用するものがほとんどだが、近頃は高タンパク質・低糖質・低脂質な鶏ささみなどを原料とするプロテインソーセージも登場している。
プロテインパウダー(プロテイン)
プロテインでは、甘味料などの糖質を含まないプレーンタイプをチョイス。牛乳の乳清を精製したホエイプロテインは高タンパク質・低脂質であり、トレーニング効果を最大化。
MCTオイル
糖類ゼロでヨーグルト味の、食べやすいソフトタイプのスティックゼリー。1本(15g)にMCTを6.0g配合し、日々の活動や、トレーニングに必要なエネルギーを手軽に補える。
アボカド
“森のバター”と称されるアボカドは脂質豊富なユニークなフルーツ。スーパーフードの元祖的存在でもあり、ビタミン、ミネラル、食物繊維といったVの供給源としても貴重だ。
プロセスチーズ
チーズは糖質が少なく脂質とタンパク質が摂れる。この他、日本人に足りない栄養素の筆頭に挙げられるカルシウムも効率的に補える。プロセスチーズはコンビニでも買えて重宝。
アーモンドミルク(砂糖不使用)
アーモンドは、不足しやすいビタミンEが補える貴重な食品。脂質が多いのが玉に瑕だが、アーモンドを搾ったアーモンドミルクなら、低脂質なのにビタミンEがしっかり摂れる。
茎ワカメ
サラダや味噌汁の具になっているワカメは葉の部分。その茎部分を加工したのが茎ワカメ。低カロリーながら、ビタミンK、マグネシウム、食物繊維といった栄養素が含まれている。
ヘルシー麺
小麦粉ではなく、おからパウダーやこんにゃく粉などを原料として糖質量を抑えたヘルシー麺が、コンビニなどでも手軽に手に入るようになった。食物繊維が多くて、腸活にもよさそう。
野菜スティック+味噌
野菜はVの宝庫。コンビニでも買える野菜スティックならニンジンなどの緑黄色野菜と大根などの淡色野菜がダブルで摂れる。発酵食品の味噌をつけて食べると腸活にもプラスだ。
「筋肉増」で活用したい補食
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「筋肉を増やす」ときに用いたいのは、PCVの補食。Pではタンパク質とともに、Cの糖質を摂る。とくに筋トレ直後にP+Cを摂取すると、筋肉の合成が加速されること請け合い。
Cを摂るなら、食間の空腹時。お腹が空いたときは、筋肉の分解が始まっていると覚悟すべき。P+CでもOKだが、食べ応えのあるC単独でお腹を満たすのもアリ。お腹に溜まる食事をしたという刺激が、筋肉の分解を抑えるのだ。
Cはストイックに制限しないので、Vを補う際も、野菜ジュースのように多少糖質が入っているものを選んでも問題ない。
PCVを補うための補食の例
笹かまぼこ
仙台発祥の笹かまぼこは、その名の通り、笹の葉の形をした焼きかまぼこ。タラやタイといった白身魚が原料で、4枚で17g前後のタンパク質と15gほどの糖質が補給できる。
ギリシャヨーグルト(普通脂肪、加糖)
プロテインバー
こちらも人気を集めているプロテインバー。タンパク質とビタミン5種、必須アミノ酸9種を摂れる。喉越しの良いプロテインドリンクと比べるときちんと食べ応えがあり、小腹も満たせる。
プロテインドリンク
巷で人気急上昇中のプロテインドリンクは、パウダーのように水などに溶く手間が不要。運動直後や食間など、タンパク質が欲しいときにサッと美味しくタンパク質をチャージ。
プロテイン入りチョコレート
高カカオタイプをはじめとして、最近のチョコレートはかなり多様化している。なかには、おやつ感覚で思い立ったときに気軽に良質のタンパク質が摂取できるものも出てきた。
ケーキバー
洋菓子店で買い求める本格的なケーキは糖質も脂質も多すぎるが、コンビニなどで手に入るケーキバーは糖質を補うのに最適な食品。ビタミンなどの栄養素も摂れるものを選ぼう。
バナナ
バナナの糖質量は1本当たり20g強。でんぷんやショ糖といった複数の糖質を含み、食物繊維が血糖値の急上昇を抑える。トレーニング前に摂ると長く運動のエネルギー源となる。
団子
もち米を加工した上新粉で作られる団子は、1本でおにぎり1個分の糖質が摂れる。団子の糖質は消化吸収がゆっくり、餡やタレの糖質は消化吸収が早く、体内で長く利用される。
冷凍ベリー
ベリーは糖質が少なめなのに、ビタミンとミネラルが豊富。運動時に放出される有害な活性酸素を無力化するポリフェノールも含んでいる。冷凍食品なら好きなときに使えて便利。
大豆バー
大豆バーは、糖質の吸収が穏やかで太りにくいといわれる低GI食品でありながら、大豆由来の植物性タンパク質も摂れるのがメリット。在宅勤務の合間にもどうぞ。
野菜飲料
ビタミン入りグミ
サプリメントでビタミンを摂るのもいいけれど、どうせなら美味しく食べてお腹を満たしながら、賢く栄養補給したいもの。食べ応えのあるグミスタイルのサプリを試してみて。