ボディメイク目的の「筋トレ×ラン」両立の注意点と、減量トレ4つのポイント
脂肪燃焼の場合も、筋肥大の場合も、基本的に取るべき筋トレ戦略は同じだとこちらの記事(肪燃焼も筋肉増量も筋トレ方法は変わらない!)で解説した。今回は脂肪燃焼を加速しようと「筋トレとランニング」を併用する場合の落とし穴について。
取材・文/神津文人 撮影/山城健朗 ヘア&メイク/天野誠吾 スタイリスト/高島聖子 取材協力/パーカーフィットネス
初出『Tarzan』No.819・2021年9月22日発売
パーカーフィットネス氏
教えてくれた人
パーカーフィットネス/自身の経験から、筋トレで努力している人が時間もお金も無駄にしないための正しい情報を発信したいとYouTubeを始める。サプリメントやおすすめの筋トレメニューなどがエビデンス豊富に語られる。
脂肪を燃やしたいなら、とことん走るべき。これはある意味で正しく、ある意味で正しくない。確かに有酸素運動には優れた脂肪燃焼効果があるが、同時に干渉効果によって筋トレの効果を下げてしまうのだと、YouTubeで科学的な筋トレを推奨しているパーカーフィットネス氏は言う。
「はっきりした原因は不明ですが、干渉効果は多くの研究で示されています。有力な原因と考えられているのがカラダの適応。中強度のランニングをすると、マラソンランナーのようなカラダに適応しようとして筋肥大を妨げてしまうのです。筋トレ後の有酸素運動は避けるべきでしょう」(パーカーフィットネス氏)
目次
ポイント① 筋トレと組み合わせるならランよりHIIT
筋トレで筋肉量増加と基礎代謝量アップを狙いつつ、少々きつくても脂肪をバンバン燃やしたい。そんな人には、HIIT(High Intensity Interval Training)がおすすめだ。HIITは、ランニングやサイクリングなどの有酸素運動と比較すると、干渉効果が小さいことが研究で明らかになっている。
短時間で効率よくカラダを鍛え、脂肪燃焼も狙えるHIITだが、万能というわけではない。HIITの先駆けとされるタバタプロトコルでは、最大酸素摂取量の170%の強度で行うと定義されている。
たとえば、会話ができるペースのジョギングは最大酸素摂取量の50%程度の運動だ。HIITの定義に当てはまる強度に到達し、それを継続するのはなかなか大変なのだ。
ポイント② EPOCに過剰な期待をしてはいけない
EPOC(Excess Post-exercise Oxygen Consumption)という言葉を聞いたことがあるだろうか。運動後過剰酸素消費量と訳されるのだが、簡単に説明すると、激しい運動をして酸欠状態になったカラダは、通常よりも多くの酸素を摂取して消費する。これがEPOCだ。
EPOCで酸素消費量が増えている間は、エネルギー消費量も増える。それがHIITのような強度の高い運動をすると、アフターバーン効果があるといわれる理由だ。
確かにEPOCや、それに伴うアフターバーンは存在するが、大きなカロリー消費が生まれるわけではないので、過剰に期待するのは禁物。アフターバーンに期待するくらいなら、運動時間を延ばしたり、ご飯の大盛りを控える方がよほど効果的。
ポイント③ どうしても走りたいなら筋トレと別日に走る
脂肪燃焼だけが目的ではなく、コンディション維持やストレス発散のため、あるいはレースへの出場を検討しているため、とにかく走りたいという人もいるだろう。どうしてもランニングをしたいのならば、干渉効果を小さくするため、筋トレとは別日に行うのがおすすめだ。
「筋トレ(上腕二頭筋)を行ってすぐにトレッドミルでランをしたグループと、筋トレとランを別日に行ったグループを比較すると、前者の筋肥大効果が後者のおよそ半分だったという研究報告があります。それだけランニングの干渉効果は強いので、注意が必要です」(パーカーフィットネス氏)
ジムでトレーニングを続けているのに筋肥大しない、理想の体型にならないという人は、有酸素運動の取り組み方を見直して。
ポイント④ 減量中は筋トレを高頻度にするのがベター
しっかりと食事管理をして、脂肪の大幅減を目指すとなると、少なからず糖質や脂質といったエネルギー源が制限されることになる。無理をする必要はまったくないのだが、改善された食生活にカラダが慣れないうちは、筋トレを何セットもこなすのがキツいと感じたり、疲れやすさを感じることもあるだろう。
減量に注力しながら、筋肥大に十分なトレーニングのボリューム(重さ×回数の総負荷量)を確保するためには、1日にたっぷりとセット数をこなすのではなく、高頻度でトレーニングをし、なるべく負荷を分散させるように心がけたい。
時間が確保できるのであれば、週2よりも週3、週3よりも週4の方が望ましい。各部位の1日当たりのセット数を下げて、身体的、精神的な余裕を持たせよう。