正常な「股関節の動き」とは? 最重要関節の6方向の可動域
カラダの要である股関節。どんな構造をしていて、どんな動きをするのか、知っておこう。
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 監修/澤木一貴(SAWAKI GYM)
初出『Tarzan』No.814・2021年7月8日発売
多彩な動きを可能にする構造。
股関節を整え、鍛えるとどのような御利益があるかはこちらの記事で紹介した。ここでは人体でもっとも重要な関節、股関節について、その「構造と機能」を解説する。まずはその作りをチェックする。
下の写真でまず目を向けてほしいのは、骨盤。
骨盤は、カラダの真ん中にあり、上半身と下半身の境目。その中央あたりには、重心がある。そこへ両脚を連結するのが、股関節。骨盤の横にある凹み(寛骨臼)に、太腿の大腿骨の球状の先端(大腿骨頭)がハマったものだ。このフォルムから、臼状関節と呼ばれている。その動きは基本的に、大腿骨頭と膝関節の中心を結ぶラインを軸に行われる。
股関節の構造
- 骨盤
- 寛骨臼
- 関節唇
- 大腿骨頭
- 関節包
- 大腿骨
骨盤の臼状の凹みである寛骨臼に、丸みを帯びた大腿骨頭の約3分の2が入り込む。寛骨臼と大腿骨頭の表面を関節軟骨が覆い、寛骨臼の縁は関節唇という軟骨が取り囲む。股関節全体を袋状の関節包が包み、多くの靱帯が走る。
大腿骨の頸体角
大腿骨の前捻角
股関節の運動軸は垂直線から6度ほど外側に傾いている。これは大腿骨頭が120〜130度の角度(頸体角)で寛骨臼にハマるから。さらに真上から見ると(下の図)大腿骨頭は10〜30度の角度(前捻角)で前方へねじれている。
作りを知ると、両脚で立って動き回るように作られたヒトという動物にとって、股関節がいかに大事なジョイントかが改めてわかるのだ。
股関節の機能とそれを担う筋肉。
続いてその機能にフォーカス。
股関節は、前後、左右、上下という3次元で稼働するアクティブな関節。この股関節だから可能になる、対となる6方向の動きがある。具体的には、屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋である。
それぞれがどういう動きでどの程度の可動域があるのか、下の写真で確かめてほしい。一般的に妥当と考えられる可動域(参考可動域)は、重力の影響を受けないように、床で寝て測るべきだが、ここではわかりやすく立った姿勢で説明しよう。
6つの動きと、関わる筋肉。
加えて頭に入れたいのは、6方向の動きを、いかなる筋肉が担っているのか。股関節の多彩な動きを支えるために、下半身の多くの筋肉がサポートしている。どんな筋肉がどう関わるかを整理しておこう。