CONDITIONING
2021.09.15

正常な「股関節の動き」とは? 最重要関節の6方向の可動域

解剖学的に学ぶ、「股関節の動き」

カラダの要である股関節。どんな構造をしていて、どんな動きをするのか、知っておこう。

多彩な動きを可能にする構造。

股関節を整え、鍛えるとどのような御利益があるかはこちらの記事で紹介した。ここでは人体でもっとも重要な関節、股関節について、その「構造と機能」を解説する。まずはその作りをチェックする。

下の写真でまず目を向けてほしいのは、骨盤

股関節周辺の骨格

骨盤は、カラダの真ん中にあり、上半身と下半身の境目。その中央あたりには、重心がある。そこへ両脚を連結するのが、股関節。骨盤の横にある凹み(寛骨臼)に、太腿の大腿骨の球状の先端(大腿骨頭)がハマったものだ。このフォルムから、臼状関節と呼ばれている。その動きは基本的に、大腿骨頭と膝関節の中心を結ぶラインを軸に行われる。

股関節の構造
股関節の構造
  1. 骨盤
  2. 寛骨臼  
  3. 関節唇
  4. 大腿骨頭
  5. 関節包
  6. 大腿骨

骨盤の臼状の凹みである寛骨臼に、丸みを帯びた大腿骨頭の約3分の2が入り込む。寛骨臼と大腿骨頭の表面を関節軟骨が覆い、寛骨臼の縁は関節唇という軟骨が取り囲む。股関節全体を袋状の関節包が包み、多くの靱帯が走る。

大腿骨の頸体角
大腿骨の頸体角
大腿骨の前捻角
大腿骨の前捻角

股関節の運動軸は垂直線から6度ほど外側に傾いている。これは大腿骨頭が120〜130度の角度(頸体角)で寛骨臼にハマるから。さらに真上から見ると(下の図)大腿骨頭は10〜30度の角度(前捻角)で前方へねじれている。

作りを知ると、両脚で立って動き回るように作られたヒトという動物にとって、股関節がいかに大事なジョイントかが改めてわかるのだ。

股関節の機能とそれを担う筋肉。

続いてその機能にフォーカス。

股関節は、前後、左右、上下という3次元で稼働するアクティブな関節。この股関節だから可能になる、対となる6方向の動きがある。具体的には、屈曲伸展外転内転外旋内旋である。

それぞれがどういう動きでどの程度の可動域があるのか、下の写真で確かめてほしい。一般的に妥当と考えられる可動域(参考可動域)は、重力の影響を受けないように、床で寝て測るべきだが、ここではわかりやすく立った姿勢で説明しよう。

6つの動きと、関わる筋肉。

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① 屈曲=脚を曲げる

屈曲

膝を高く上げるような動き。椅子に坐っているとき、股関節は屈曲したままになっている。

  • 可動域:125度(膝関節の伸展位では90度)
  • 関わる筋肉:腸腰筋(大腰筋)、大腿四頭筋(大腿直筋)、大腿筋膜張筋、縫工筋、恥骨筋

② 伸展=脚を伸ばす

伸展

脚を後ろに上げるような動き。走るときの推進力を生む。日常生活ではあまり行わない。

  • 可動域:15度(膝関節の屈曲位では10度未満)
  • 関わる筋肉大臀筋ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)

③ 外転=脚を外に広げる

外転

脚を開く動き。外転させる筋肉が弱いと、歩くときに上体がブレる。床に坐って脚を広げる開脚に不可欠。

  • 可動域:45度
  • 関わる筋肉:中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋

④ 内転=脚を内に閉じる

内転

脚を閉じる動き。サッカーのインサイドキックで働く。この機能が弱いとガニ股・O脚になりやすい。

  • 可動域:20度
  • 関わる筋肉内転筋群(大内転筋、長内転筋、短内転筋、薄筋、恥骨筋)

⑤ 外旋=脚を外向きに捻る

外旋

脚を外向きにツイストする動き。床に坐って脚を広げる開脚に不可欠。

  • 可動域:45度
  • 関わる筋肉:大臀筋、深層外旋六筋(梨状筋など)

⑥ 内旋=脚を内向きに捻る

内旋

脚を内向きにツイストする動き。野球のバッティングの前脚の動き。

  • 可動域:45度
  • 関わる筋肉:中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋
股関節の機能を担う筋肉

加えて頭に入れたいのは、6方向の動きを、いかなる筋肉が担っているのか。股関節の多彩な動きを支えるために、下半身の多くの筋肉がサポートしている。どんな筋肉がどう関わるかを整理しておこう。

取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 監修/澤木一貴(SAWAKI GYM)

初出『Tarzan』No.814・2021年7月8日発売

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