アンケートでわかった、みんなの理想の「脱げるカラダ」
どんなカラダが理想? どんなトレーニングが必要? 憧れのカラダの持ち主って誰? ターザン読者200人とトレーナー30人に訊いた、みんなにとっての「脱げるカラダ」のほんとの姿。
取材・文/門上奈央 イラストレーション/三上数馬
初出『Tarzan』No.813・2021年6月23日発売
目次
みんなが欲しいのは「大会ボディ」?
嬉しいことにボディメイクに励んでいる人が多い。大会の数を見ても、SNSヘの投稿を見ても、見事にバルクアップして、シェイプした姿が拝める。疑いようのない“脱げるカラダ”である。
でも本当に大会ボディだけが求められているのか? 本当のトコロを教えてもらおうとアンケートを実施。カラダを変えたいと思う200人の「脱げるカラダ予備軍」と、最前線で活躍する30人のトレーナー陣に、いま目指すカラダを聞いた。
「脱げるカラダ」とは?…2015年から雑誌『ターザン』が特集している夏の恒例企画。本当に脱ぐかどうかはさておき、自分自身が満足できるカラダ=「脱げるカラダ」と称して、ボディメイクのメソッドを紹介している。個人個人で理想とする「脱げるカラダ」が異なることは承知の上で、今回は読者200人のアンケート結果から、その最大公約数的なカラダを探ってみた。
1. いまどきの“脱げるカラダ”ってどんなカラダ?
フィットネスシーンの転換期にある2021年、読者が描く理想の姿とは? 35年前の創刊時に“快適なんてカンタンだ”というスローガンを掲げてからカラダについて考え続けてきた『ターザン』なりに、今の“脱げる”を定義したい。
手始めに、ジムトレ経験がなく現在脱げるカラダになりたいと考えている読者200人に抜き打ち調査を実施。我々が信頼を寄せるトレーナーたちから届いた、現場で感じる“リアルな声”もご紹介しよう。
シックスパックや細マッチョよりも、ほどよく筋肉がついたカラダが読者の憧れ。トレーナー自身が考える理想像もこの結果に近く、「バキバキやムキムキより一目見た時に“カラダに気遣ってるな”と分かる筋肉量のカラダ」(菅原順二トレーナー)との声も。
「服を着てても脱げるカラダなのを裏付けるのは姿勢で、そのために必要なのが体幹の筋力」(児玉佳奈子トレーナー)と踏まえると、アウター・インナーの両方が発達したバランスが必須条件なのは明らかだ。
また“モテ”より自分の納得感に重点を置く傾向が分かる6位と8位の結果も象徴的。
2. 現在、脱げないのはナゼ?
筋肉量や造形美にこだわる前に贅肉を落とさねば、との切実さが見て取れる。
「お客さんの中で筋肥大したい人は全体の3割程度」(田中宏明トレーナー)、「絞りたい人が圧倒的に多いです」(古岡綾子トレーナー)と実感するトレーナーが多数。
ぽっこりお腹を憂う人も多くて、「お腹が出ていない。コレが一般の方の最低ラインでは。筋肥大したいという人は増えてますが、せめてお腹だけは、という人は年齢問わず多いです」(中野ジェームズ修一トレーナー)。
3. 自分自身が変えたいと思う部位は?
脱げない理由として目の敵にされたお腹がまたも1位に。「脇腹→下腹→脇下の順に気にかける人が多いです」(神戸貴宏トレーナー)
「お腹を凹ませたいお客さんは、体重・体脂肪率を落としたいという人に匹敵するほど性別問わず多い。でもお腹が多少出ていても、サーファーのように胸や背中が鍛えられていて胸板が適度に厚ければ、外見上は問題ない。体脂肪を減らしつつメインとなる胸や背中、肩、腕、臀筋などの各部位を鍛えて、全体のバランスを取るのが理想ですね」(三浦香織トレーナー)。
4. 何を手にすれば脱げる?
シックスパックよりフラットなお腹を欲するのは達成するハードルの低さゆえ? 腕まわりと胸囲の厚みが増せば確かに服も映えそう。
一方、トレーナーの意見は若干異なる。「お客さんの指導で優先したいのは背中。大筋群を鍛えて土台をつくることが最優先です」(ジュニア オリヴェイラトレーナー)と背筋に重点を置くトレーナーが多数。
「お腹や胸など前側ばかり鍛えて、前のめりシルエットの人が意外と多く、その点でも背中は大切。全身満遍なく鍛えることが脱げるカラダへの近道です」(河村玲子トレーナー)。
5. 「脱げるカラダ」になるために頑張れる期間は?
何事も時短が求められる時代、時間をかけずにカラダを変えたいという人が多いかと思いきや、3か月以上は頑張れると考える人が全体の7割以上を占めた。筋肉が一朝一夕には増えないことや極端な食事制限ではリバウンドすることを理解する読者が多い。
取り組む運動内容によるが、「週3回運動して3か月程度で理想体型に到達するペースが最適」(坂詰真二トレーナー)、「週2回の大筋群にアプローチする運動と食事改善により2〜3か月で目標達成できると理想です」(濱磯勇介トレーナー)。今から本腰を入れれば間に合う!
6. 「脱げるカラダ」づくり、何から着手したい?
昨今のステイホームも相まって自宅トレが最多。「男性であれば変化が出やすい大筋群、女性はインナーマッスルや骨格を優先して鍛えるよう提案します」(小倉シエカトレーナー)。
ウォーキングも散歩がてら取り入れやすく、筋肉量を維持&増量しながら体脂肪を燃やすうえで効率的。食事改善も不可欠だ。「食事と運動頻度が肝心かと。運動をイベント化せず1回の運動時間が短くてもいいので日常化させることが大切」(中野ジェームズ修一トレーナー)。
7. かっこいいと感じる競技体型は?
肩と背中がガチッと広く、ウェストにかけて逆三角形を形作るスイマー体型が人気。僅差で2位となったボクサーはまさしく細マッチョの代名詞。鬼の顔ともいえる険しく鍛錬された背中や腹直筋や胸筋のキレは、体脂肪率の低さもあってこそ際立つもの。
3位にランクインしたサッカーでは上半身は比較的すらりと洗練されたシルエットだが、それとは対極に長時間のプレーやキックの反復により培われた太腿や脚、お尻などの下半身が印象的で、機能美を体現したカラダといえよう。
6位以降は陸上競技(短距離)、バスケットボール、テニス、マラソン、レスリングの順に続いた。
8. みんなの憧れのカラダの持ち主は?
トップ10のうち6人がアスリート、ないし引退後も現役時代に匹敵するほどの圧倒的なフィジカルを誇るスターたち。この結果からは造形の美しさはもちろん、競技の中で鍛錬された機能性も備えたボディを、脱げるカラダとして描く読者も多い。
またランクインした10人に共通するのはトップス越しにも存在感が伝わる広く厚みのある胸筋や、胸筋とシックスパックを隔てるくっきりとした輪郭、隆起した三角筋から上腕の筋肉にかけての深いカット。これらの要素を思えば、たしかにみんな脱げるカラダだ。やはり上半身は印象を変えやすい。