- モビリティの何たるか、そして自分の関節可動域もある程度はわかったところで、早速“動けるカラダ”を目指しメソッドを実践しよう。
「一般的にカラダのモビリティを司っているのは筋肉が43%、関節が38%、残り19%が筋膜です。つまり本当の意味でモビリティを手に入れたければ、まずカラダの表面に近い筋膜を“筋膜リリース”によって緩め、静的ストレッチで筋肉の柔軟性を獲得し、そのうえで関節可動域をより広げるための動的ストレッチを行う。この3つを順番にこなすストレッチ・サーキットがおすすめ」(トレーナーの齊藤邦秀さん)
今回は「筋トレの効率をよりアップ」を目的としたストレッチサーキットを紹介する。
筋トレの効率をよりUPさせる。
「筋トレしていればストレッチする必要はない」と言う人もいるが、それは間違い。日常的に鍛えたい部位を定めて筋肉を柔軟にし、関節の可動性を高めて可動域を広げておけば、ターゲットとなる筋肉そのものが動かしやすくなるし、より正しく負荷をかけやすくなる。
ここでは背中、肩、腹、尻と4つの部位別に筋トレ効率を高めるストレッチ・サーキットをご紹介。1日ごとに部位を変えて鍛えるようなガチのトレーニーはもちろん、初心者も日常的にストレッチを!
これに追加してカラダの安定性を強化するスタビリティトレーニングで仕上げれば、以前の自分よりもさらに動けるカラダへ大きく一歩近づける。
今回使用するギア:テニスボール、短いフォームローラー
ターゲット1|背中
ステップ(1)筋膜リリース
僧帽筋リリース(左右30秒×3回)
- テニスボールを持ち、反対側の首と肩関節の真ん中あたりを軽くマッサージ。
- 「痛気持ちいい」ぐらいの刺激が目安。
- 反対側も同様に。
ステップ(2)静的ストレッチ
僧帽筋ストレッチ(左右30秒×3回)
- 背すじを伸ばし、右手を頭の上に置く。
- 手の重さを利用して首を右に傾ける。左腕は脱力して下げる。
- 左の首と肩に痛みを感じる手前で止め30秒キープ。
- 反対側も同様に。
ステップ(3)動的ストレッチ
マエケン体操(左右30秒×3回)
- 軽く中腰になり、上体をやや前傾。
- その姿勢を保ち、片肘を上げ、肩甲骨を引きつつ後ろから肩の上を通し顔の前へ。
- そのまま左右の肘を交互に回し続ける。
- 肘が先で手首が後からついてくるイメージでグルグル回そう。
ステップ(4)スタビリティ・トレーニング
オールフォー3D(各30秒×3回)
- 肩の真下に手を、腰の真下に膝をつく形で四つ這い姿勢になる。
- 肘を曲げずに30秒間胸を上げ下げする。
- 1の姿勢に戻り、胸の部分を左右にユラユラと30秒間揺らし続ける。
ターゲット2|肩
ステップ(1)筋膜リリース1
肩リリース(左右30秒×3回)
- 床にうつ伏せになり、左腕を真横に広げる。
- 左の肩の真下にローラーを置く。
- そのまま肩を使ってローラーを横に転がし、戻す。
- 反対側も同様に。
ステップ(1)筋膜リリース2
腕リリース(左右30秒×3回)
- 床にうつ伏せになり、左腕を真横に広げ、左の二の腕の下にローラーを置く。
- そのまま二の腕で横にローラーを転がし、戻す。
- 反対側も同様に。
ステップ(2) 静的ストレッチ
肩ストレッチ(左右30秒×3回)
- 立位から、腕をクロスさせて左手で右肘を抱え込む。右腕は伸ばす。
- 顔を右に向け、左手で右腕が肩より下に下がらないように引き付けて30秒キープ。
- 肩を上げず、左右の肩甲骨をなるべく離す意識で行う。
- 反対側も同様に。
ステップ(3)動的ストレッチ
腕回し(30秒×3回)
- 立位姿勢から、伸ばした腕を左右に軽く広げ、そのまま胸の前でクロスさせる。
- 腕を下から上に広げながら大きく1周回す。
- 続けて腕を大きく逆に回し、元の位置に戻す。
- 肩の力を抜き、大きく回すよう意識しながら行うこと。
ステップ(4)スタビリティ・トレーニング
トライアングルプランク3D(各30秒×3回)
- プランク姿勢から尻を上に突き上げ、横から三角に見える形に。
- 腕は前、脚は後ろに伸ばす。
- そのまま肩を前後に30秒、続けて左右に30秒揺らす。
- 背中を丸めず、頭は常に腕と腕の間に置く。
ターゲット3|腹
ステップ(1)筋膜リリース
広背筋リリース(左右30秒×3回)
- 横向きに寝て軽く仰向けに。
- 脇の下にローラーを置く。
- 上の手でローラーを支え、肩甲骨の下から背中の上部の筋肉がローラーに当たるようカラダを動かす。
- 反対側も同様に。
ステップ(2)静的ストレッチ
広背筋ストレッチ(左右30秒×3回)
- 片方の腕を高く上げる。
- 上げた腕と逆方向にカラダごと大きく横に曲げる。
- このとき体側がほどよく刺激されるまでしっかり曲げ、指先は常にしっかり伸ばしておく。
- 30秒キープしたら元に戻し、反対側も同様に行う。
ステップ(3)動的ストレッチ
サイドフレクション&ローテーション(左右30秒×3回)
- 胸の前で両手を組み、カラダの前で円を作る。膝を少し曲げて軽く中腰に。
- お腹に軽く力を入れ、腕で作った円を左横から頭上、右横へとぐるっと回す。
- 回しながら手とカラダを離していくイメージ。
- 反対回りも同様に。
ステップ(4)スタビリティ・トレーニング
シッティング3D(30秒×3回)
- 床に座り、手を交差させ肩に当てて背すじを伸ばし、上体を45度まで後ろに傾ける。
- 膝は曲げて立てる。
- そのまま上体を左右交互に捻る。
- カラダの軸がぶれないよう意識し、背中を丸めないこと。
ターゲット4|尻
ステップ(1)筋膜リリース
ハムストリングスリリース(30秒×3回)
- 床に座り脚を伸ばし、ローラーに太腿裏の下側を乗せ、手は後ろにつく。
- 腰を持ち上げ、カラダを前後に移動させ太腿の裏でローラーを転がす。
ステップ(2)静的ストレッチ
ハムストリングスストレッチ(左右30秒×3回)
- 左足を1歩前に出し、横向きに置いたローラーに爪先を乗せる。
- 右足は踵を床につけた状態で膝を曲げる。
- 両手を左膝に置いてお尻を引き、上体を前傾。
- 左のハムストリングスの伸びを感じよう。反対側も同様に。
ステップ(3)動的ストレッチ
股関節回し(左右30秒×3セット)
- 足を肩幅より広めに開いて立ち、手を腰に。
- 上体を動かさず、膝を曲げないよう意識しながら腰を左に30回回す。
- 続けて腰を右に30回回す。
- 回すときに左右の脚の付け根が刺激されるのを感じながら行うこと。
ステップ(4)スタビリティ・トレーニング
グルートブリッジ2D(各30秒×3回)
- 床に仰向けになり、膝を立てて足を腰幅に開く。
- 腕は体側に置き手のひらを上に。
- 尻を床から引き上げ、膝から肩まで一直線に。
- そのまま30秒腰を上下させ、続けて左右に30秒揺らし続ける。
スタビリティトレーニングは筋肉の柔軟性や関節の可動範囲、さらにモビリティ(可動性)が狭いままでやっても使える部位と使えない部位の差が大きくなってしまう。ストレッチ・サーキットにプラスすれば、特定の部位に負担をかけずに全身の安定性を養うことができる。