花粉症を悪化させる、NGな4つの生活習慣|花粉症を軽減するひと工夫⑥

埼玉医科大学病院アレルギーセンター長・永田真さんに聞く、「花粉症を軽減するひと工夫」シリーズ。今回は花粉症を悪化させる生活習慣について。薬を飲んでいるのに症状がよくならない…という人は、自分の行動を見直す必要があるかも。

取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/killdisco

悪化させる行動① 喫煙・受動喫煙。

タバコ自体にアレルゲンが含まれているわけではないが、世界各国でタバコとアレルギーの関連について多くの研究がなされている。

たとえば米国では、同じアレルギーを持つ患者を非喫煙者と喫煙者に分け、「IgE抗体(アレルギーをおこす免疫抗体)」の値を比較したとき、男性のアクティブな喫煙者のIgE値の方が高かったという研究結果が存在している。

※参考/喘息、気管支過敏症、アトピーの遺伝および環境の疫学研究における成人の能動・受動喫煙と総IgEとの関係

悪化させる行動② 過度なアルコールの摂取。

アルコールの代謝産物であるヒスタミンは、花粉症状のかゆみの原因となる。永田さんによれば、アルコールを飲むとアレルギー反応が出やすくなるという患者さんが多いという。これはヒスタミンというアレルギー症状を起こす物質が、アルコールの代謝産物によって体内で増加しやすくなることなどが大きく影響しているそうだ。

また、抗アレルギー薬を服用したあとの飲酒にも注意。アルコールによる中枢神経抑制作用を薬剤によって増強させてしまい、意識障害やめまいを引き起こすおそれがあるとされているからだ。花粉シーズンはお酒を控えるのがベスト。

悪化させる行動③ 過労や睡眠不足。

過労や睡眠不足によるストレスにも気を付けたい。ストレスは花粉症に限らず、さまざまな病気を悪化させる原因となる。しっかりと休養を取り、心身に負担がかからない生活スタイルを心がけよう。

特にリモートワーク環境は、際限なく仕事をしてしまうことも多く、またしっかり自己管理をしないと生活リズムを崩しやすい。持病を抱えている方はなおさら注意が必要だ。

悪化させる行動④ 不要不急の外出。

花粉が飛び交う時期は、外に出るだけで全身に花粉が付いてしまう可能性がある。外出したら、家に入る前にしっかりと花粉を落とし、できるならば顔や髪を洗うようにしよう。くれぐれも花粉をカラダにまとったまま布団やベッドにダイブしないように。

この時期は新型コロナウイルスの感染予防も一般化しているため、外に出ない理由は作りやすい。ちょっとした用事はリモートで片付けるようにしたい。


これらの行動はあくまでも花粉症による症状を悪化させないよう、補助的にできる一工夫であり、花粉に対するアレルギー反応には個人差がある。日常生活に支障をきたすほど症状が悪化してしまった人は、我慢せずに必ず病院で診てもらうように。

教えてくれた人
永田真_プロフィール写真_花粉症-1
永田真(ながた・まこと)/埼玉医科大学教授・アレルギーセンター長。埼玉医大大学院卒業後、米国ウイスコンシン大学病院アレルギー科でアレルギー学を学ぶ。日本アレルギー学会理事と関東支部長を務め、2020年度の日本アレルギー学会学術大会会長に。