換気したいけど花粉が入ってくるのが気になる。どうすればいい?|花粉症を軽減するひと工夫②
埼玉医科大学病院アレルギーセンター長・永田真先生に聞く、「花粉症を軽減するひと工夫」シリーズ。今回はコロナ対策と花粉対策を両立させるための、室内環境の整え方について。マメな人ほど実践している、ちょっとした工夫が重要だった!
取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/killdisco
コロナ禍だからこそ、換気は最短で!
換気の悪い密閉空間は、新型コロナウイルス感染のリスク要因が上がる。しかし、花粉症患者と換気の相性は最悪。室内の換気を行うと、風に乗ってスギ花粉が室内に入り込み、花粉症状が悪化する恐れがあるからだ。
今年の花粉シーズンは自宅で過ごす時間が長くなる見込みだが、換気と花粉対策を両立するコツはあるのだろうか?
「窓を大きく開け広げるとそれだけ花粉が室内に入ってくる確率が高まるので、隙間を少しだけ空けて空気を入れ替えるほうがよいでしょう。花粉症状が出ている場合、時間はなるべく短くすること。数分程度に留めておくと良いでしょう」(埼玉医科大学病院・アレルギーセンター長の永田真さん)
こうした工夫をしてもくしゃみや鼻水などの症状が出る場合は、室内でもマスクをして花粉を体内に侵入させない工夫が必要だ。
とはいえ、外出から帰宅する際に、花粉を室内に入れてしまうリスクは高まる。花粉から家具や衣類を守るためにはどうすればいいのか。
「1日1回は掃除を心がけてください。ソファやベッドなどの布は花粉が付着しやすいため、特に念入りに掃除することが重要です。衣類も同様で、外出したら家に入る前に花粉を払いましょう。長時間外出したのであれば、髪の毛に花粉が付着している可能性もあります。そのまま寝床で就寝すると花粉が付着して、そのまま吸い続けてしまう可能性があるので、就寝前にお風呂に入り、しっかりと洗い流すようにしてください」
永田さんによれば、衣類の素材にも注意が必要だという。綿、麻、コットンなどの繊維が付着しやすい素材は花粉をひっつけてしまう。外出時はできるかぎりレーヨンやポリエステルなど、表面がツルツルとした素材の服を選ぶのが良いそうだ。
花粉症ではない人へ! あなたの手助けも必要なんです。
こうした苦労は、花粉症ではない人にとっては理解しにくいだろう。しかし、花粉症がつらい人にとっては深刻な問題。もし花粉症の人と同居している場合、花粉症ではないあなたが容易にベッドやソファにダイブしてしまうと、付着した花粉で同居人を苦しめることになる。花粉シーズンを快適に過ごすための室内環境づくりには、花粉症でない人の協力も不可欠なのだ。
「花粉症の方が身近にいらっしゃる場合は、できるだけ花粉症の方と同じ注意意識を持っていただきたいです。衣類の選び方はもちろん、外から帰宅したらお風呂に入る、家具などの花粉の付着防止を徹底するといった配慮が望ましいです。また、犬や猫などペットの毛に花粉が付着する可能性もあります。散歩などで外出した場合、屋内飼育ペットであれば、ブラッシングしたり、可能ならシャワーを浴びてもらい、花粉を落とすようにしましょう」
この時期の外出はコロナウイルスが衣類に付着している可能性も考えられる。花粉もウイルスも目に見えないものだからこそ、細心の注意が必要だ。そのためにまずは、“中に入れない”対策を心がけてほしい。