加齢や運動不足による「筋量低下」で注目すべきは、下半身の筋肉、特に太腿の筋肉だ。太腿前面の筋量は50歳を境に急激に少なくなる。さらに「体重1kg当たりの太腿の筋肉量」が10gを切ると、歩けない状況にまで陥るという。
筋量低下に関する詳しい解説はこちら:
目次
下肢を中心とした、6部位を鍛えて筋量低下ストップ!
メインターゲットは下肢の筋肉。加齢によって衰えやすい大腿四頭筋、そして股関節を屈曲させる大腰筋、歩行の蹴り出しに不可欠な下腿三頭筋、歩行の推進力となる大臀筋、さらに骨盤を安定させる中臀筋。加齢によって最も衰えやすいコアの筋肉も漏れなく鍛えておきたい。
目的は筋肥大ではなく、衰えがちな筋肉を底上げして加齢による右肩下がりにブレーキをかけること。強度はあまり高くないので、なんなら毎日行っても構わない。3種目ずつ分けてテレコで行ってもよし。下のような組み合わせで週2回ずつ行う手もありだ。
すべて15回×3セット(左右あるものは各15回)。早速今日からスタートを。
部位別に種目を組み合わせ、週に各2回行ってみよう!
- 月曜:スクワット、カーフレイズ、ヒップアブダクション
- 火曜:レッグレイズ、ヒップリフト、ダイアゴナル
- 水曜:お休み
- 木曜:スクワット、カーフレイズ、ヒップアブダクション
- 金曜:レッグレイズ、ヒップリフト、ダイアゴナル
- 土曜:お休み
スクワット(大腿四頭筋)
体重を受け止め、立ち上がったり歩くための筋肉
大腿四頭筋は膝を伸展させる筋肉。膝をしっかり伸ばせなくなると、正しい姿勢で立てないし歩けない。膝が曲がったトボトボ姿勢は大腿四頭筋の衰えが原因だ。
体重をしっかり受け止めて立ち上がったり階段を下りるときに体重を受け止めるのもこの筋肉。しっかり貯筋しておかないと、後々ヤバいことになる。
畳の上での生活から離れて久しくなってからは膝関節を大きく曲げ伸ばしする機会が減り、放っておけば大腿四頭筋は衰えるばかり。スクワットで下げ止めを。
レッグレイズ(大腰筋)
階段を上ったり、何かをまたぐときに稼働する筋肉
股関節を屈曲させ、脚を引き上げるときに必要不可欠なのが大腰筋。何かをまたいだり、階段を上る動作で稼働する。また、骨盤の前を覆う筋肉なので、衰えると骨盤が後ろに傾きやすくなり、正しい姿勢維持ができなくなる。
エスカレーターやエレベーターを選びがちで階段を上る機会が減っている昨今、大腰筋の衰えは著しい。リモートワークが当たり前になり、通勤時間が省かれている今はなおさらのこと。最近、躓きやすくなったという人は、とくにこまめに鍛えるべし。
カーフレイズ(下腿三頭筋)
歩くときの、力強い蹴り出しのパワーを生み出す
下腿三頭筋はふくらはぎのアウターの腓腹筋とインナーのヒラメ筋の総称。歩くときに後ろ足での蹴り出しを行うのはこの筋肉。衰えると歩幅が狭くなり、足裏全体で着地するペタペタ歩きになりやすい。また、坂道を上るときに使われるのもこの筋肉。坂道を避けがちな生活ではやはり衰えやすくなる。
で、腓腹筋とヒラメ筋のうち、運動不足や加齢によって衰えやすいのは瞬発的なパワーを発揮する前者。爪先立ちトレで日常的に鍛錬のこと。
ヒップリフト(大臀筋)
立ち上がり動作や、歩くときにカラダを押し出す筋肉
大臀筋は座った状態から立ち上がるとき、カラダを起こすとき、また歩くときに前に進む推進力を生み出す。年齢を重ねるといつの間にかお尻のシルエットがのっぺり平らになっていくが、あれはまさに大臀筋の量が減少している証拠。
リモートワークで座っている時間が長くなると、ますます大臀筋は衰えていく一方。筋トレを行うとともに、普段の生活でもゆっくり椅子に座る、机に手をつかずにスッと立ち上がるなどの習慣を身につけよう。
ヒップアブダクション(中臀筋)
骨盤を安定させ、歩行効率を上げる役割を果たす
中臀筋はお尻の横に位置する筋肉。よって骨盤の左右方向のブレを防ぎ、安定させるという役割を果たしている。歩くという動作は左右交互に片脚立ちになるという動きだが、中臀筋が衰えると片脚で体重をしっかり支持することが難しくなる。
その結果、1歩ごとに横ブレを起こすので、歩行の効率が非常に悪くなってしまう。しゃがんで物を持ち上げて別の場所に移す。高いところにある荷物を取る。こうした日常動作の機会が減ることも衰える原因に。
ダイアゴナル(コア)
コアの筋肉群は、体軸を保ち正しい姿勢を維持
二足歩行のヒトはコアの筋肉なしにはまっとうに姿勢を保てないし、動けない。重力に逆らいながら体軸を支えているのは、腹直筋の深層にある腹横筋、肋骨の下部をドーム状に覆う横隔膜、骨盤の下部を覆う骨盤底筋群、そして背骨の深層に走っている多裂筋、インナーユニットと呼ばれるこれらコアの筋肉群だ。
電車の揺れに耐えて姿勢をキープできない、遠くのものを取ろうとしてカラダがふらつくことが多くなったという場合、コアの筋肉が衰えている可能性大。鍛えよう。
慣れてきたら、サーキットトレで6部位を一気に刺激!
基本6部位の筋トレで衰えた筋肉の底上げをしたら、次に挑戦してほしいのは6部位を連続的に鍛えるサーキットトレーニング。トレーニング種目だけでいえば6分間、インターバルを入れても8分半で必要な筋肉すべてに刺激を入れることができる。
各種目、途中で動きを止めず1分間リズミカルにカラダを動かし続けるのがポイント。1日おきの習慣に。