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動物性と植物性、カラダに良い食品はどちらか|疲れにくい料理はどっち?

食品の「動物性・植物性」をテーマに、どちらが疲れない食べ方かをジャッジ。「サバの味噌煮」と「大豆ミートの煮込みハンバーグ」、疲れない食事はどっちだ!

植物性も動物性も偏りなく、が正解。

最近よく耳にするのが、「プラントベース」という言葉。プラント=植物由来の食品を中心とした食材や食事法のことだ。

似た言葉にベジタリアンがある。ベジタリアンは、肉や魚などの動物性食品を避ける菜食主義者のこと。もっとも厳格なのは、肉や魚はもちろん、蜂蜜や牛乳やカツオ出汁といった動物性食品を一切口にしないビーガンで、革製品やウールまで拒絶する人もいる。このビーガンの印象が強烈すぎて、ベジタリアンをスピ系と誤解して敬遠する向きもある。そんな事情から、マイルドな呼び名として登場したのがプラントベースなのだ。

さて。ここで気になるのは、プラントベースが果たして疲れにくいカラダ作りに効くのかどうか。

「プラントベースで気をつけたいのは、タンパク質と亜鉛の不足。プラントベースの大豆製品からもタンパク質は摂れますが、肉や魚と比べると含有量が少なめ。さらに亜鉛も動物性食品に多いので、プラントベースに偏りすぎると足りなくなるケースがあります」(管理栄養士の河村玲子さん)

タンパク質が足りないと筋肉が減り、体重が支えられなくなって疲れやすい。亜鉛は代謝全般に欠かせない必須ミネラルだから、その欠乏も疲労につながる。

疲れない食事はどっち?|サバの味噌煮VS大豆ミートの煮込みハンバーグ
疲れにくいカラダ作りで大切な4つの栄養素の含有量を比較してみた。食物繊維はプラントベースにリッチだが、動物性食品には含まれない。タンパク質と亜鉛は動物性に多く、EPAはサバにしか含まれていない。
出典/『食品成分データベース』(文部科学省)

腸内環境が悪化すると脳は疲れを感じる。

ならば、動物性食品をメインに考えた方が疲れにくいカラダ作りには有利なのか。

「動物性食品ならタンパク質も亜鉛も摂りやすいのですが、不足するのが食物繊維。食物繊維は野菜や海藻などのプラントベースに多く、動物性食品からはまず摂れません。食物繊維が足りないと善玉菌が減って腸内環境が悪くなり、それが疲労を招く恐れがある」

腸と脳には「脳腸相関」という密接な関係がある。両者をつなぐ自律神経で腸の情報は脳へ伝わるため、腸内環境が悪くなると、脳はそれを疲れとして感じやすい。

腸内環境を左右する食物繊維は1日に男性で21g以上、女性で18g以上摂るべきだが、日本人は男女ともに15gほどしか摂れていない。プラントベースからもっと食物繊維の摂取を増量すべきだ。

一方、動物性食品にも腸内環境の改善に役立つ栄養素がある。それがサバなどの青魚に多いEPA(エイコサペンタエン酸)。EPAには、腸内で起こる炎症を抑えて腸内環境を整える働きがある。EPAは残念ながらプラントベースには基本的に含まれない。

動物には偏食が多く、コアラはユーカリという植物、ライオンは肉しか食べない。それに比べてヒトは雑食であり、植物でも肉でも魚でもモリモリ食べて栄養にする。その特徴をフルに活かして、植物性も動物性も偏りなく食べるのが正しい。それが疲労解消に結びつきやすいのだ。

結論
疲れない食事はどっち?|サバの味噌煮VS大豆ミートの煮込みハンバーグ

大豆ミートには食物繊維が多くて、サバにはEPAが多い。両方大事で勝負は引き分け!

取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 料理製作・取材協力/河村玲子

初出『Tarzan』No.797・2020年10月8日発売

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