今日からできる「有酸素運動ダイエット」6つの心得
痩せるためには有酸素運動をいつ、どのように、何をやるのが正解なのか。「運動不足を解消したい」と思っている初心者のあなたや、「一度はやってみたけれどいまいち効果がわからなかった…」という出直しダイエッターのあなたへ向けた、6つのベストアンサー。
取材・文/井上健二 撮影/谷尚樹 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 取材協力/白戸拓也(フージャース ウェルネス&スポーツ)
初出『Tarzan』No.795・2020年9月10日発売
目次
① ランが正解。速歩から始めて3段階でステップアップ。
有酸素の第一選択肢はラン。技術不要でシューズがあれば即始められる。ランは3ステップで進めるのが正解。
無理なく行うランの3ステップ。
ステップ1は速歩から。いきなり走るとオーバーペースに陥りやすく、挫折の元。息が切れず、笑顔で行えるペースを上限とする(ペースの目安は以下のステップ2、ステップ3も同様)。速歩で体重が落ちたら、ステップ2へ。速歩をスピードアップすると、いつの間にかランへ移行する。1km 6分(時速10km)で息が切れなくなったらステップ3へ。1km 5分30秒(時速約11km)までペースアップする。
頻度はいずれも週2〜3回。距離ではなく時間を目安に30〜40分ほど行う。距離を意識すると早く終えたくなり、オーバーペースになりやすいのだ。
② ランのゴールデンタイムは朝だ。
ランはいつやるべきか。別の記事「ダイエットのための筋トレの心得」で触れたように、夕方4〜6時は体温が高く、交感神経が優位。筋トレのベストタイミングだ。ランだって走りやすく、それだけ体脂肪も燃えやすいが、筋トレとランをセットでやるのはしんどい。順番を間違えると双方の効き目がダウンすることもある。
ならばランは朝食前にサクッと済ませる。朝イチで走ると気分爽快。その後のテレワークもオフィスワークも快適にこなせる。後述のように体脂肪を減らすなら、空腹で走るべき。朝食前は空腹で、体脂肪も燃えやすい。ただし朝は脱水気味なので、水分補給を忘れずに。また寝起きで動きが悪いから、ウォーミングアップの速歩も長めに。
③ お気に入りのプレイリストを用意する。
「ワークアウト・ミュージック」というジャンルがあるくらいで、運動と音楽の相性は抜群。とくに一定テンポで同じ動きを繰り返すランなどの有酸素は、音楽のリズムにシンクロすると、ペースを少々上げても笑顔でこなせる。
有酸素が苦手なタイプこそ、走るときに聴きたいお気に入りのプレイリストを準備すべき。1曲4分とするなら、30分のランは約7曲分。走るテンポと合うチューンを並べたプレイリストがあれば、楽しくトレーニングできる。ランニングウォッチやスマートウォッチでは、1分間当たりの自分のピッチ(SPM)がわかる。それと同じくらいのテンポ(BPM)の音楽をオンリストすれば、快走間違いナシなのだ。
④ ファスト・ カーディオで痩せる。
食べてから走るか、走ってから食べるか。悩む人もいるようだが、ランで痩せるなら、走ってから食べるべき。空腹(ファスト)で有酸素(カーディオ)を行う「ファスト・カーディオ」の方が体脂肪は燃焼しやすい。
ファスト・カーディオ成功の秘訣は2つある。第1に、汗をかいて脱水しないように事前に水分補給すること。前述のように、とくに朝の水分補給は欠かせない。第2に、運動前か運動中にBCAAをドリンクなどで補給すること。BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシンというアミノ酸の総称。体内で合成できない必須アミノ酸で、不足すると筋肉の分解が進みやすい。それを防ぐためにBCAAを摂ろう。
⑤ 1回30分。時間がないときはHIIT。
ランを続けると体重が落ちて身軽になり、スタミナもアップして走れる距離が延びる。マラソン出場を狙うなら距離をどんどん延ばしてもいいが、カラダ作りの一環なら1回30〜40分、距離にして5〜6kmに留めたい。有酸素をやりすぎると、カタボリック優位になって筋肉が落ち、基礎代謝が下がる恐れがあるからだ。
逆に30分の時間がないときは、HIIT(ヒート)を行う。これは「High-inten sity interval training(高強度インターバルトレーニング)」の略。高強度&超短時間のエクササイズを休み休み行うのだ。20秒の全力運動を10秒の休みを挟み、8セット。計4分で、30分のランと同等の刺激が入る。
わずか4分でラン30分に匹敵する、HIITのやり方。
⑥ 近所に坂を見つけておく。
走る気満々だけど、残念ながら、のんびり走る時間がない。かといって辛そうだからHIITもパスしたい…。そんな気分の日に備え、事前に近所で坂道を見つけておこう。ランは通常アップダウンがほぼない平地で行うが、途中で坂道を走って起伏を入れると強度が上がり、短時間のランでも効く。
上り坂を駆け上がると、平地を漫然とダラダラ走り続けるより、スタミナの源である心肺機能が強く刺激される。一方の下り坂では、太腿などの下半身の筋肉に着地衝撃が加わり、やや長めのランでもへこたれない足腰が作れる。適当な坂道がないなら、歩道橋でもOK。コースの途中で歩道橋を上り下りすると、短時間でも高い効果がある。