症状別で互いにいたわる大人のペアストレッチ
ストレッチは、在宅勤務による運動不足で固まったカラダを心地よくほぐしてくれる。さらにペアなら、触れ合うことで愛情ホルモンとして知られるオキシトシンの分泌も促されるから、パートナーとの関係も良くなりそう!
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.793・2020年8月6日発売
目次
肩、腰、股関節の症状別に。
テレワークなどでじっと坐っている時間が長くなると、筋肉があちこち強張り、肩こりや腰痛といった慢性的な痛みが悪化する。
その軽減に、ペアストレッチが有効。ストレッチはセルフでも行えるが、強張った筋肉を自分でほぐすのは、なかなか難しい。硬いパーツを無理して伸ばそうとすると、逆に力んで緊張してしまい、筋肉が緩みにくくなるためだ。
その点、ペアストレッチなら、伸ばしてもらう側は脱力してリラックスできるから、筋肉が伸びやすく、ストレッチの効果がより得られやすい。
ここでは肩、腰、股関節という3つのエリアにフォーカスした症状別のペアストレッチを紹介。おうち時間の合間に二人で仲良くトライして。
肩まわり|デスクワークの肩ストレスを解消(3種目・各30秒)
デスクワークでとにかく凝りやすいのが、肩まわり。何も手を打たないと、肩こりはひどくなる一方だ。
肩こりのおもな原因となるのは、パソコン作業などでクセになった前屈み&猫背の不良姿勢。ことに他人の目が気にならないテレワークだと、知らない間に不良姿勢が固定化して、肩こりがひどくなる。在宅勤務中はちょくちょくブレイクを入れて、そのたび背すじを伸ばして前屈み&猫背をリセット。併せて気分転換を兼ねたペアストレッチにトライして。
① 首すじのストレッチ
相手:あぐらをかいて床に坐り、両腕を肩の真下で下げ、両手で床にタッチ。首すじの力を抜いてリラックス。
自分:パートナーの真後ろで膝立ちになり、左手を相手の左肩、右手を頭に添える。相手の右耳を右肩に近づけるように、頭を右側に倒し、左側の首すじをストレッチする。左右を変えて同様に行う。
② 背中のストレッチ
相手:両脚をまっすぐ伸ばして床に坐り、両腕を前に出す。上半身の力を抜いてリラックスする。
自分:相手の両足を固定するように、向かい合ってあぐらをかいて坐る。両腕をクロスさせて相手の手首を持つ。上体を後ろに倒して体重をかけながら、相手の両腕を引っ張って上体を深く前傾させ、左右の肩甲骨を離して背中をストレッチする。
③ 胸と肩のストレッチ
相手:あぐらをかいて床に坐り、両腕を肩の真下で下げ、両手で床にタッチ。上半身の力を抜いてリラックスする。
自分:相手の真後ろで中腰になり、片膝を相手の肩甲骨の間に入れ、上腕を摑む。膝で相手の上体のポジションを固定したままで、上腕と両肩を後ろに引いて、胸を反らせてストレッチ。
腰まわり|骨盤、背骨、股関節の協調を高めて腰痛改善(3種目・左右各30秒)
デスクワーク続きだと腰まわりもカチコチになる。加えてトレーニング不足で体幹から力が抜けていると、コアが蛇腹を潰したような状態となり、背骨のナチュラルなS字カーブが乱れる。すると骨盤、背骨、股関節の連携が崩れて腰に加わるストレスが増えた結果、腰痛が起こる。
ストレッチで腰をねじったり、倒したりしながら、コアの蛇腹を伸ばし、自然なS字カーブを取り戻す。そして骨盤、背骨、股関節のスムーズな連携を高めて腰痛を防ぎたい。
① 体側のストレッチ
相手:あぐらをかいて床に坐り、左脚を斜め前に伸ばす。右手を床と垂直に上げ、左手を床につける。体幹の力を抜いてリラックス。
自分:相手の真後ろで膝立ちになり、左膝で相手の左脇腹を押さえる。左手で相手の左肩、右手で右肘を持つ。右手で押しながら相手の上体を左側へ倒し、右側の体側をストレッチ。左右を変えて同様に行う。
② 回旋ストレッチ
相手:床で仰向けになり、両腕を肩のラインで左右に開き、手のひらを上に向ける。両膝を揃えて立て、左側へ倒す。腰から下の力を抜いてリラックス。
自分:相手の右側で膝立ちになり、右手を相手の右膝に差し入れ、左手で右肩を押さえる。上体を前屈させながら、相手の右膝と右肩を遠くへ引き離すように力をかける(それと同時に、相手は顔を右側へ向ける)。左右を変えて同様に行う。
③ スコーピオン・ストレッチ
相手:床でうつ伏せになり、右腕を斜め前に伸ばし、左腕を体側で伸ばす。両脚を腰幅で伸ばし、腰から下の力を抜いてリラックス。
自分:相手の左側で膝立ちになり、左手で右側の骨盤、右手で右膝をそれぞれ下から持つ。サソリが尾っぽを反るように、相手の右膝を後ろに引いて体幹と股関節をツイストさせる(それと同時に、相手は右手の手のひらを天井へ向ける)。左右を変えて同様に行う。
股関節まわり|坐りっ放しで固まる股関節を解凍する(3種目・左右各30秒)
日本人は世界でもっとも坐っている時間が長く、股関節も固まりやすい。坐っている間、股関節は屈曲したまま。おかげで腸腰筋、大臀筋、大腿四頭筋などが硬くなるのだ。
ほとんどの運動は股関節の動きを伴うため、運動から遠ざかるとさらに股関節の出番が激減し、余計サビつきがち。すると股関節そのものの痛みだけではなく、前述のように腰痛にも陥りやすくなる。股関節を快適に伸ばす動きにペアで励み、固まった筋肉を緩めてやろう。
① 股関節のモビライゼーション
相手:仰向けになり、両脚をまっすぐ伸ばす。両腕は体側で伸ばす。腰から下の力を抜いてリラックス。
自分:相手の足元で膝立ちになり、両足の踵を持つ。相手の爪先をワイパーのように左右交互に倒し、股関節を緩める。
② 股関節のストレッチ
相手:左側を下にして横向きに。左腕を床で伸ばし、右手を左上腕に添えて頭を乗せる。両膝を曲げて前に出す。腰から下の力を抜いてリラックス。
自分:相手の後ろで膝立ちになり、左手で相手の右の骨盤を押さえ、右脚を右膝に乗せ、右手で下から右膝を持つ。左手を支点として相手の右膝を後ろに引き、股関節をストレッチ。左右を変えて同様に行う。
③ フィギュア4ストレッチ
相手:床に仰向けになり、4の字を作るように左足の足首を右脚の膝に乗せる。両腕は体側で伸ばす。腰から下の力を抜いてリラックス。
自分:相手の足元に膝立ちで坐り、左手で相手の右の骨盤、右手で左膝を押さえる。相手の右の骨盤と左膝を遠くへ引き離すように力をかけ、左側の股関節をストレッチ。左右を変えて同様に行う。
実演してくれた人
- 父・齊藤邦秀さん/スポーツトレーナー。ウェルネススポーツ代表。
- 母・里子さん(44歳)/学生時代はバスケットボールの選手として活躍。
- 長女・優歩さん(14歳)/中学3年生。特技はソフトテニスと楽器の演奏。
- 次女・楓歩ちゃん(7歳)/かほ 小学校2年生。体操スクールに通う。おしゃれが大好き。
- 三女・実歩ちゃん(5歳)/みほ 保育園の年長さん。次女と同じ体操スクールに通っている。