摂らなさ過ぎでもいけません。糖質OFFの7つの勘違い
最近ちょっと太り気味だから、糖質オフ。誰もが気軽にトライする今日この頃。ごはんやパンを食べなきゃいいんでしょ? 砂糖が入ってなけりゃオッケーでしょ? それ実は、大いなる誤解です。糖質の摂り過ぎはダメだけど、 摂らなさ過ぎもいけないんです。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/大久保ナオ登 取材協力/下方浩史(名古屋学芸大学健康・栄養研究所所長)
初出『Tarzan』No.783・2020年3月12日発売
目次
NG! 糖質制限と言いながら、 サラダばかり食べている。
「糖質制限しています」と言いながらサラダや鶏肉のささみ、こんにゃくなどローカロリー食材ばかりを口にしている…。ただでさえ主食を抜いているので、このような食生活では1日の総摂取エネルギーが極端に低くなる。
脳に必要なエネルギーが行き渡らないので集中力は低下し、身体的な活動量も落ちる。カラダは低エネルギー状態に適応するので代謝を低め安定にキープ。一瞬、痩せはするものの長い目で見れば太りやすいカラダに。
NG! コンビニ弁当は必ずレンチン。 ホカホカを食す。
冷えたごはんの中にはレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が含まれている。これは小腸で吸収されず、大腸まで届いて腸内細菌のエサになるでんぷんのこと。いったん加熱調理されたごはんを冷やすことででんぷんの分子が結晶化され、消化酵素が作用しにくくなるのだ。
結果的に血糖値の上昇が抑制されるのでダイエットには有効。せっかく糖質をオンするなら、この特性を生かしていただきたいもの。よってレンチンはNG。
NG! 出汁がよく染み込んだおでんの具が大好きだ。
低カロリーでお腹いっぱいになるおでんは、ダイエット中、何かとお世話になるメニュー。ただし、糖質オフの場合は汁を飲まないという条件付き。
自ら外食・コンビニ食を食べ歩き、食後血糖値の変動を調査している医師、亀川寛大先生によれば、コンビニのおでんの汁には意外と糖質が多いそう。100ミリリットル当たりの糖質量は推定8グラム。缶コーヒーのカフェオレと同等だという。汁がよく染み込んだ大根、はんぺん、がんもどきなどの具も避けたい。
NG! 甘いものが飲みたいときは0kcalドリンク。
ゼロカロリーのドリンクの甘味は人工甘味料によるもの。人工甘味料については諸説ある。たとえば、本来甘いものを摂ったときにインスリンが分泌されるが、人工甘味料では血糖値が上がらないのでインスリンが抑制される。
すると本当に甘いものを摂ったときインスリンの出が悪くなり、血糖値が上がりすぎてしまうという説も。また、腸内細菌叢が破壊されるという報告もあり。「砂糖0」「カロリー0」という文句を妄信しないこと。
NG! うどんより蕎麦。GI値が低いのでたくさん食べても安心。
ブドウ糖の血糖値上昇率を100とし、食品の血糖値上昇率を指数化したものをGI値という。この数値、白米より玄米、うどんより蕎麦の方が低い。だからといって、ざる蕎麦を2枚3枚と食べてよしというわけではない。
タンパク質や油のような吸収の遅いものと一緒に食べればGI値は下がる。蕎麦単体をモリモリ食べるより天ぷらうどんを食べた方が血糖値の上昇が低い可能性あり。またGI値は個人差もあるので目安と考えよう。
NG! 朝食の定番はヘルシーなヨーグルト&はちみつ。
はちみつは砂糖より甘いけれど低カロリー。しかもビタミンやミネラル、アミノ酸やポリフェノールなどが含まれているので健康にいい。これ、ある意味では正しいが、糖質オフという点では一概にそうとも言えない。
はちみつの甘味の正体はブドウ糖と果糖。どちらも単純糖質なので口にすれば血糖値は急上昇。ヨーグルトには牛乳由来の乳糖も含まれているのでダブルで血糖値を押し上げる。いかにもヘルシーな食材が実は太る原因に。
NG! 炊飯器は使用禁止。主食を断って糖質オフに臨む。
アメリカで25年にわたって行われた追跡調査では、糖質を1日の摂取エネルギーの20%にすると、50%の場合に比べて死亡リスクが約1.5倍高くなるという報告がある。
主食オールカットの食生活を長期間続けることが健康被害に繫がる可能性もあるということ。糖の不足が筋肉の分解を招き、セロトニン産生を低下させることも分かっている。主食の量を適度にコントロールしつつ期限を設けて実践するのが正しい糖質オフ。