血糖値コントロールの新指針・GL値って、いったい何?
血糖値をコントロールするためにいま注目すべきは「GI値」よりも「GL値」!? 糖質制限で話題になったGI(グリセミック・インデックス)とGI(グリセミック負荷)のことを解説します。
取材・文/黒田 創 撮影/内田紘倫 スタイリスト/高島聖子 イラストレーション/越井 隆 取材協力/麻生れいみ(管理栄養士、低糖質料理研究家)
(初出『Tarzan』No.738・2018年3月22日発売)
血糖値はなぜ上がる? そのメカニズム
食事を摂ると、その食品に含まれている糖質は十二指腸でブドウ糖や果糖などに分解され、小腸から吸収される。
それから一旦肝臓に運ばれ、必要に応じて血液中に送り出されて筋肉や脳など各臓器でエネルギー源として消費される。この血液中のブドウ糖が血糖である。
エネルギーとして体内で使われなかったブドウ糖は、肝臓で合成されてグリコーゲンとなり、いざという時のためにエネルギー源として肝臓に蓄えられる。グリコーゲンは再びブドウ糖に分解されて脳や筋肉のエネルギーに使われたり、中性脂肪となって貯蔵される。これが糖質代謝の大まかなメカニズムだ。
食事で血糖が増えると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖を全身の細胞に送り込む。しかし糖質を摂り過ぎると余ったブドウ糖が中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられるようになる。これはエネルギーとしては使われず、ひいては肥満の原因となってしまう。
また、糖質を摂り過ぎると血糖値が上がりやすくなるという問題が出てくる。カラダのエネルギー源となるのは三大栄養素と呼ばれる糖質、脂質、タンパク質の3つだが、食後の血糖値上昇のほとんどは糖質が原因とされているのだ。
実は、タンパク質も血糖値を上げるが、吸収スピードの遅さゆえ、その上昇作用は糖質ほどではない。さらに、脂質は消化にかなり時間がかかるので、食後かなりの時間を経てから血糖値をわずかに上げる程度である。
現代の日本人の食生活は全体的に糖質過多と言われている。糖質はあくまで必要な分だけ摂り、タンパク質や脂質の割合を増やすよう心がけたい。
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血糖値を上げる食べ物の新指針、GL値とは
血糖値をコントロールするにはある程度の食材の糖質量を押さえておく必要があるわけだが、特に外食が多い人にとってはこれがなかなか難しい。
そこでそのひとつの指針として用いられるのが、糖質ダイエットにもよく持ち出されるGI(グリセミック・インデックス)値だ。
GI値は炭水化物を50g含む量の食品を摂った場合の血糖値の上がり具合を、ブドウ糖を摂ったときの基準値(100)と相対化したもの。
これが70以上だと高GI食品で、血糖値も上がりやすいと見なせるが、炭水化物を50g摂るのが現実的に難しい食品もある。つまりGI値の中には、実際の食事で摂る量と乖離しているものがあるのだ。
近年、欧米などではGL(グリセミック負荷)という値を血糖値上昇指数に用いるようになっている。GL値は食品100g中に含まれる糖質量にGI値を掛け、100で割ったもの。これならば、100gというきわめて常識的な食事量にどれだけ血糖値上昇リスクが含まれているかがわかる。
たとえばGI値の高い場合でも、その食品の炭水化物の割合が低くなればGL値は低くなるのである。
下の表を見てみよう。スイカのGI値は72で高いように見えるが、その内容はほとんどが水分で炭水化物の割合は非常に低いため、なんとGL値は4という数字になる。つまりGL値はGI値よりも、より現実的な数値というわけだ。
GI値とGL値の比較表
果物 | GI値 | GL値 |
---|---|---|
比較的GI値が高い果物でもGL値に置き換えてみるとこれだけの数字の違いに。高GI食品だからと単純に敬遠していた食品も、これからはその食品が含む炭水化物の割合を考えて食べる時代だ。 |