インドのヨガの先生が、こんなことを言っていました。
「日本ではヨギー(ヨガの神様)は細いと思われがちだけど、インドでは、ヨガの神々は力強い英雄の姿をしています」
その先生が見せてくれた神「シヴァ」の姿は、確かに青い肌に筋肉質な身体で、肩には蛇をまとっていました。この言葉を聞いて、僕のヨガに対する見方は少し変わりました。現代では多くの場合、ヨガはスリムな身体で静かにポーズを取るもの、と紹介されがちです。でも実際は、もっとさまざまなルーツがある。
ヨガには「強さ」や「信仰」、そして「瞑想」や「儀式」といった多面的な要素が含まれていますが、シヴァのことを思い出すと、ヨガはひとつのイメージではなく、いろいろな姿を持っているのだとあらためて気づかされます。
先生のコメント
シヴァ神とは、ヒンドゥー教における三大神の一柱で、破壊と創造、再生、芸術、そしてヨガの神だといわれています。
日本のお寺で目にする「大黒天」は、このシヴァ神を仏教に取り入れた際の異名です。出雲大社などで祀られている神道の神「大国主神(おおくにぬしのかみ)」も、ルーツは異なるようですが同じく「だいこく」と音読みできることで、大黒天やシヴァと同一視されることがあります。
また、シヴァ神は、別名マハーヨーギ(偉大なヨガ修行者)とも言われます。
神々は、鍛錬を積むことで自らの心の中の不純性を取り除き、自分の心や社会が生み出す幻想に対し、意志の強さで打ち勝ちます。修行では禁欲も行うので、芯のブレない力強さが身につきます。
ヨガの神々が鍛錬を経て変化していくように、私たちもまた、自分次第でいかようにも変化することができます。穏やかに瞑想し、静かに動きやポーズに没頭できればできるほど、芯のあるエネルギーを感じることができるはずです。