
教えてくれた人
山田 悟(やまだ・さとる)/北里大学北里研究所病院院長補佐、糖尿病センター長。慶應義塾大学医学部卒業。日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医。カロリー制限中心の食事療法から、緩やかな糖質制限食への大転換を図るパイオニア。医学博士。
食後にどうしても眠い! 原因はインスリン分泌にあり。
食後に強い眠気があり、糖質疲労が疑われるタイプに多く見受けられるのは、太っていないのに血糖値が高いこと。
「インスリン分泌量は少なめなので太りにくいのですが、おそらくインスリンの分泌が遅れる“インスリン遅延分泌”があるため、食後に血糖値が上がりやすく、それが食後の眠気や疲労感につながります。日本人には体質的にインスリン分泌が少ないうえに、インスリン遅延分泌型も多いのです」
有効なのは、脂質を先に摂るオイルファーストと、糖質を最後に食べるカーボラストの徹底だ。主菜や副菜から脂質を先に摂ると、インスリン分泌を促すGIPというホルモンが分泌される。
インスリン遅延分泌型では、糖質を本格的に摂取するのに先立ち、GIPで先回りしてインスリン分泌が促せたら、食後の血糖値上昇がセーブされる。
血糖値を上げるのは糖質のみなので、カーボラストなら食後高血糖を免れる。GIPが効き始めるまでの助走タイムを踏まえると、脂質を摂って20分ほどしてから糖質を摂るのがベスト。
こんな人は要注意!
- 食後に強い眠気を感じる。
- 太っていないのに血糖値が高い。
- 白いご飯から先に食べる。
- 早食いが癖になっている。
食べるときは順番とスピードを意識する。
振り返ってみると、日本の学校給食では「三角食べ」が推奨されていた時期があった。給食の典型的な献立のパン(ご飯)、おかず(主菜と副菜)、汁物(牛乳)を、三角形を描くようにひと口ずつ順序よく食べるというものだ。
だが、血糖コントロールが喫緊の課題である大人は、三角食べはやめるべき。これだとご飯やパンといった糖質を、他のおかずとほぼ同時に食べ始めるため、食後高血糖が起こり、眠気も疲労も生じやすい。オイルファースト、カーボラストを改めて肝に銘じよう。
カーボラストで血糖値上昇が抑えられる。
糖尿病患者16人が3日間、同じ食事をランダムな順に摂取。糖質を最初に食べるカーボファースト、糖質を最後に食べるカーボラスト、同時に食べるサンドイッチで食後血糖値を比較。カーボラストがもっとも上昇が抑えられた。
出典/BMJ Open Diabetes Res Care 2017; 5(1): e000440
もう一つルーティン化したいのは、早食いをせず、ゆっくりよく嚙んで食べること。早食いだとGIPが効き始める前に食事を終えたり、ラストに糖質を食べ始めるまでの時間が短くなったりする。その結果、食べすぎたり、血糖値が上がりやすくなったりするのである。
こうした工夫でランチ後も集中力高く仕事がこなせたら、アフター5も充実。ヨガなどに通う余裕が生まれて美ボディへ一直線だ。
POINT
- 脂質から先に摂るオイルファースト。
- 糖質を最後に摂るカーボラスト。
- 「三角食べ」をしない。
- よく嚙んで食べる。