4月のハーブ_ドライミント|ワンモア・ハーブvol.6

フレッシュなハーブが収穫できない時期には、仕込んでおいたドライハーブが季節を越えて私たちを楽しませてくれます。生命力旺盛なミントは、冬のあいだ、夏を想うことのできるハーブ。植物のさまざまな可能性を追求する〈ハーブスタンド〉の平野優太さんに、ハーブとの新しいつき合い方を教えてもらう連載「ワンモア・ハーブ」。第6回は、ドライミントについて。

取材・文/村岡俊也 撮影/ナタリー・カンタクーゾ 料理/阿部匠海

ミント

春頃から芽吹き始めて、私たちの拠点がある富士吉田では6〜7月ごろから収穫が始まり、真夏に盛期を迎えます。11月には寒さで枯れてしまうので、それまでに適時、収穫して乾燥させています。冬の間はフレッシュなハーブはほぼ収穫できないので、今回はドライミントの使い方を紹介します。

ミントはペパーミント系とスペアミント系に分かれます。歯磨き粉やタバコのメンソールなどに使われているのがペパーミント系。一般的にモヒートや料理に合わせているのがスペアミント系。同じミントではありますが、少し成分が違います。

ハッカ油などに使われ、メントールが主成分のペパーミント系は、クールダウン、リフレッシュや虫よけなどに有用です。カルボンが主成分のスペアミント系は、メントールのスースーする爽快感は無く優しい爽やかさで、モヒートや菓子作りなどに食用として活用されることが多いです。知人のシェフは、系統の違う二つをミックスしてチョコミントを作ったりしています。ペパーミントのスースーする感覚も、強過ぎなければポジティブなものですから。

ミントは自然交配して、僕らの知らない間にもどんどん増えていく。その品種数はとても多く、それぞれに特徴があります。

今回のミントは、スペアミント系。モヒートの本場であるキューバのイエルバブエナという種です。キューバではハーブやいい香りの植物の総称としてイエルバブエナと呼ぶそうで、それが日本では品種名として定着しています。元々はスペアミント系の野生種をモヒートに合わせていたんですね。ハバナクラブのようなコクのあるラム酒ときび糖、そしてイエルバブエナを合わせるのが本場のモヒート。日本では、スペアミント系にホワイトラムを合わせた軽やかな印象のモヒートが多いですが、本場で飲むとまったく違う印象だとよく聞きますね。

こんなふうに使ってみるのはどう?

●「食べる」
ミント風味の旬野菜焼きびたし

ー材料ー

ベースの出汁として
・水 250cc
・白だし 20cc
・醤油 5cc
・味淋 5cc
・グラニュー糖  3g
・ドライミント 3g

野菜3〜4種

ー作り方ー

1 べースの出汁となる材料のうち、ドライミント以外を鍋に入れ、一度沸騰させる。

2 フライパンで野菜をソテー。少し焼き目をつけるイメージで。

3 ベースとなる出汁に、ドライミントを入れて戻す。

4 炒めた野菜を取り出す。

5 ドライミントを入れたベースの出汁とソテーした野菜を合わせる。フライパンに戻す場合には油を拭き取ってから。

6 完成。温かい状態で食べても美味しい。

ミントの清涼感は、意外なほど野菜にも合います。特にオススメなのが、苦味の強い山菜です。苦味と相まって、互いの良さを引き出します。温かいままでも美味しいのですが、冷まして漬け込むほど、より味と香りが野菜に移ります。数時間から1日程度、出汁に漬けてみてください。

●「使う」
ミントのスチーム

―材料―

・水
・ドライミント

ミントはたくさん育ち過ぎてしまい、使い切れないこともあるので、今回はストーブの上にやかんを置いて、ミントを入れたスチームとして使いました。部屋中がミントの香りに満たされて、寒い時期にも爽やかな印象に。ハーブの大量消費には、すごくいい使い方だと思います。

4月のハーブスタンドの様子

まだ雪景色の残る富士北麓の山のなかで、いち早く開花し春の訪れを知らせてくれる辛夷(しんい)。素晴らしい香りで、食材としても重宝する山のエディブルフラワー。 

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