3月のハーブ_ローズマリー|ワンモア・ハーブvol.5

真冬には収穫できる植物はほぼなくなり、そのフレッシュな恵みを楽しむことは難しくなってしまいます。けれど、冬に備えて用意しておいたドライ・ハーブを使えば、室内を爽やかな空気に満たすことできます。〈ハーブスタンド〉平野優太さんによる連載の第5回は、馴染み深いハーブであるローズマリーについて。

取材・文/村岡俊也 撮影/ナタリー・カンタクーゾ 料理/阿部匠海(Stage)

ローズマリー

ローズマリーは地中海原産の植物で、いわゆるハーブと聞いてイメージするような伝統的なもの。肉や魚の臭み消しとして活用されています。

僕らが出荷する際に気をつけているのは、枝付き、葉付きのホールの状態で届けること。乾燥が終わった段階で葉がポロポロと分離してしまうので、きちんとドライにするのはなかなか難しいんです。どのハーブでもそうですが、自然乾燥でドライにする際には竹ざるや干物用の網などを使って、直射日光が当たらずに風通しの良いところで乾燥させます。乾燥機を使う場合には、低温でなるべく蒸れないようにすることが大切です。乾燥させた後は、瓶などに入れて乾燥剤を入れておくと良いでしょう。

僕らが好んで使うのは、アープローズマリーという品種。耐寒性もものすごく強く、香りも良い。ローズマリーは都内のビルのエントランスにもよく植えられていますが、富士吉田の厳しい冬を越せない品種も多いんです。中には匍匐性の種もあり、立性のものも同じように使えますが、高いところから下ろして育てると綺麗なので、鑑賞の観点で使い分ける事もあります。

一度、知り合いの農家さんに樹齢40年というローズマリーを嗅がせていただいたことがあります。若いものはフレッシュで爽やかですが、その40年ものは、まるでウィスキーのようなスモーキーさがありました。ローズマリーひとつとっても600種類以上の品種があり、さらに樹齢によって香り、味わいも変わる。さらにはテロワール的な産地の違いもあって、本当に奥が深い。植物は面白いんです。

こんなふうに使ってみるのはどう?

●「食べる」
ローズマリーのフロランタン

ー材料ー
ショートブレット 1pc

・ローズマリー 2枝分 刻む
・バター 40 g
・砂糖 40 g
・はちみつ 20g
・生クリーム 50g
・好みのナッツ70g

仕上げ
・塩(荒目)
・ローズマリー散らす

ー作り方ー

1クッキングシートを敷いたバットにショートブレッドを並べる。

2生クリーム、バター、はちみつ、砂糖、さらに刻んだローズマリーを入れて、火にかける。今回はフレッシュなローズマリーを使ったが、ドライでも可。

3煮詰まって茶色くなってきたら火を止め、ローズマリーの枝の部分を取り除き、好みのナッツを入れて混ぜ合わせる。

4ショートブレッドに乗せ、均等に広げて、オーブン170℃で10分焼く。

5仕上げに、好みで粗塩、ローズマリーを散らして完成。

ホワイトデーのお返しとして、ローズマリーが香るフロランタンはいかがでしょう? 市販のショートブレッドを使えば、簡単に作れるはずです。刻んだ葉が入ることで、ローストした香りも楽しめるかと思います。
しょっぱいクッキーやキャロットケーキの隠し味にもお勧めです。あるいは、ローズマリーで煮出したミルクティをクッキーと合わせても美味しいです。

●「使う」
バンダル

―材料―

・ドライローズマリー ひと束
・凧糸

1ドライにしたローズマリーを、ある程度、同じ長さに揃える。

2たこ糸、麻紐など可燃性のものでまとめる。

3火をつける。リフレッシュしたい時に。

同じ長さに切り揃えて凧糸で結ぶだけで簡単に作ることできます。バンダル、あるいはスマッチングと言われるお香のように使うものですが、殺菌効果があるので、空間浄化に用います。セージのバンダルが有名ですが、ローズマリーもおすすめで、とても良い香りです。この煙は密閉して肉やじゃがいもに纏わせて、燻製のような香り付けにも使えます。

3月のハーブスタンドの様子

まだまだ厳しい寒さが続く富士北麓。植物の冬芽がほんの少し膨らみ、春の兆しを感じさせてくれます。

Loading...