カキドオシ

5月のハーブ_カキドオシ|ワンモア・ハーブvol.7

春を迎えて植物が芽吹き、活発に動き出すと〈ハーブスタンド〉の平野優太さんたちも忙しくなっていきます。人と自然の動きは当たり前ながらリンクしていて、その喜びを、ハーブを通じて享受する。平野さんにハーブとの付き合い方を訊く連載「ワンモア・ハーブ」第7回は、身近な植物である「カキドオシ」について。

取材・文/村岡俊也 撮影/ナタリー・カンタクーゾ 料理/阿部匠海

カキドオシ

カキドオシは、非常に生命力が強く、山にももちろん生えていますが、その辺の空き地や人家の足元にも普通に生えている、身近な日本の野草という感じ。地面を埋めるグランドカバーとしても活用されていますが、どんどん横に広がっていって、垣根を登ったり、石垣を越えていくので、垣根を通すという名前を持っています。シソ科の植物で、冬を除き年中収穫できますが、春の新芽は食べやすくお勧めです。

カキドオシは食材としてのポテンシャルがものすごく高いんです。お茶にしてもよし、今回ご紹介するように、ジェノベーゼにしてもめちゃくちゃ美味しい。あるいは生地を練り込んでピタサンドを作ったり、ファラフェルのような中東料理の香り付けに使ったりする人もいます。パスタもそうですが、生地ものとの相性が抜群に良い。もちろん天ぷらや素揚げにしても美味しいです。

それから、肌に直接当ててもすごく効果が高いんです。怪我や火傷をしてしまった時、それから水虫のような皮膚系のトラブルに古くから使われています。痛み止めにも効くと言われているので、捻挫をしたときに湿布のように使っても良いかもしれません。

他にも、ノコギリソウは止血効果を持っていたり、ドクダミはその名の通り毒消し効果があったり、ハーブには食べるだけではない活用法があります。古くから伝わる知恵は、先人たちの実地経験の蓄積で、それを使わないのはもったいない。少しずつ生活に取り入れると、ハーブとの付き合い方も広がっていきます。

こんなふうに使ってみるのはどう?

●「食べる」
カキドオシと芹の冷ジェノベーゼ

ー材料ー

・今回は乾燥うどん(パスタでもOK) 2束分(180g)
・カキドオシ 30g(葉)
・オリーブオイル 90g
・ケッパー10g
・芹20g
・塩1g
・魚醤or白だし5g
・ニンニク1g
・粉チーズ10g
・※飾りに大葉種漬花 各2〜3g

ー作り方ー

色落ちしないように、カキドオシと芹を茹でる。

ケッパー、鮎魚醤、オリーブオイル、カキドオシを入れる。にんにくは好みで入れてもいい。

材料をミキサーで細かくする。

チーズを加えて麺と和える。今回は和製ジェノベーゼとして、細めのうどんを使った。もちろんリングイネなどのパスタでも。塩で味を調整する。

和製クレソンとも呼ばれる大葉種漬花を散らして完成。

ジェノベーゼのバジルの代わりに、カキドオシを使っています。ポイントは色を止めるために一度、茹でてからミキサーにかけること。1週間ほどは色が保てると思います。鮎魚醤の代わり白だしを使っても美味しい。パスタではなくうどんを使うと、より和風ジェノベーゼという仕上がりに。

●「使う」
カキドオシの天然湿布

―材料―

・カキドオシ 

材料は、カキドオシのみ。

カキドオシをスリコギですり潰してペースト状に。

幼い頃からちょっとした怪我や病気なら、母がハーブを処方してくれていました。カキドオシはとても身近な植物なので、手に入りやすいこともあって、重宝します。揉んで貼っておくだけでも効果はありますが、すり潰した方が、成分が出やすい。殺菌効果があるので、虫刺されや細かな擦り傷などに使えます。

5月のハーブスタンドの様子

一足遅く、やっと富士北麓にも本格的な春が来ました。木の芽に山菜、新芽。新緑が素晴らしく綺麗な季節です。