「走る映画」のプレイリスト|vol2. 走って逃げたり、追いかけたり。
映画の主人公気分で走りたい! 「走る」シーンが象徴的な数々の名画のサウンドトラックをつないで、ランニング気分を高め、鼓舞してくれるプレイリストを作る試み。第二回は主にクライムアクションの「逃げたり、追いかけたり」するシーンで印象に残った楽曲でミックス。ランニングは現実逃避のための気分転換。そんな人も多いよね?
選曲・文/渡辺克己(サントラ・ブラザーズ)
映画の主人公たちが走っているシーンを思い起こしてみると、そこには軽快で、早いリズムの楽曲が流れていることに気が付く。改めて思いついた作品を調べ、観直してみると、クライムアクション映画のチェイスシーンが多いこと……。
今回は、寒い時期に、縮こまった心身のテンションを挙げてくれるサウンドトラックから、アッパーな楽曲を選び、トラックリストを制作した。映画に登場する追う/追われる側の登場人物になりきって走ってみると、慣れたランニングコースでも、少し景色が変わって見えるので、一度試してみることをお勧めしたい。
まずは、若きユアン・マクレガー演じるレントンが街を全力疾走する『トレイン・スポッティング』からM1。パンクのゴッドファーザーことイギー・ポップが1977年に発表した、痛快すぎるR&Rが、シーンにさらなるスピードを与えている。
M2のアル・パチーノ演じる刑事『セルピコ』も、悪党を追いかけてよく走る。ギリシャ出身の音楽家、ミキス・テオドラキスが1973年に書き下ろしたファンキーなスコアは、1971年にラロ・シフリンが手掛けた同時期に手掛けた刑事(デカ)映画の金字塔『ダーティハリー』よりもスリリングで、テンションが高い。
身体が温まってきたら、トレーニングをしているすべての者にとって、理想的な肉体を持つジェイソン・ステイサムが街中を走り回る映画『アドレナリン』からM3。
さらに、主人公のベイビーが、車の運転だけでなく、華麗なランニングも見せてくれる『ベイビー・ドライバー』から、印象的なオープニングのM4。
このへんで、心身ともにすっかりクライム映画の主人公になってきたら、あの『ジョン・ウィック』からM5、そしてタランティーノのデビュー作にして傑作の『レザボアドッグス』のオープニングを飾るM6を。
聴けば、走るスピードが上がってくるはず。ここまでは、映画内で使用された聴き馴染みのある既発曲が中心だったが、ここからは映画オリジナルの劇伴でさらにスピードを加速してみよう。リュック・ベッソンの『サブウェイ』からM7、『ジェイソン・ボーン』シリーズの印象的なM8、そしてドイツのカルトムービー『ラン・ローラ・ラン』のM9。
ここで、ちょっと気持ちを宇宙へ飛ばし『エイリアン2』からM10。1986年、絶頂期を迎えていた作曲家、ジェイムズ・ホーナーが金属の打楽器を使い、トライバル感を強調した楽曲は、未確認生物とのチェイスシーンに緊迫感を与えると同時に、非常にスピーディーに聴こえてくる。
最後は、再び『トレインスポティング』のアンセム、アンダーワールドのM11を聴きながら、テンション高めに冬のランニングをしめたいところ。