「走る映画」のプレイリスト|vol1. オールタイムベスト『ROCKY』
映画の主人公気分で走りたい! 「走る」シーンが象徴的な数々の名画のサウンドトラックをつないで、ランニング気分を高め、鼓舞してくれるプレイリストを作る試み。初回はご存知シルヴェスター・スタローン脚本・主演の歴代『ロッキー』シリーズだけでミックス!
選曲・文/渡辺克己(サントラ・ブラザーズ)
ランニングに限らず、トレーニングの前。身体と心を奮い立たせるために聴きたい曲といえば、映画『ロッキー』のメインテーマ「Gonna Fly Now (Theme From “Rocky”)」ではないだろうか。イントロのファンファーレが聴こえただけで、腿上げでもしたい気持ちになる。
しかし、筆者を含めた、ランニングビギナーに注意したいのが、いきなり「Gonna Fly〜」を聴きながら走ろうものなら、曲のテンションと昂る気持ちから、一曲聴いただけで走り尽きてしまう可能性がある。
そこで今回は、きちんと長く走れることを念頭に、不朽の名作『ロッキー』シリーズのオリジナル・サウンドトラックの中から、ランニング用の曲をセレクトした。ビギナーに限らず、ランニング上級者の諸先輩たちにも、新たな発見があると思うので、試しに聴きながら走って欲しい。
まず、超名曲M1。こちらはイメトレ用として、家を出る前、テンションを上げるために聴くこと。
最初は、緩やかに走り始めることを考えれば、記念すべき一作目『ロッキー』のオープニングテーマにもなっているアカペラグループによるM2がいいだろう。「イタリアの種馬」と呼ばれ、イタリアをルーツに持つロッキー(脚本・主演をつとめるシルベスタ・スタローン自身も同じくイタリア系)にぴったりだ。
ロッキー自身の愉快な人柄に加え、映画の舞台となるフィラデルフィアは、ディスコ生誕の地でもあり、明るくファンキーなブラックミュージックを愛する男である。そんなロッキーだってiPhoneやiPodsがあれば、M2〜M6のような横ノリのリズムの曲を聴きながら走り始めたことだろう。この辺りで、汗が吹き出し、身体共に疲れが出てきた頃ではないだろうか。
試合中のクライマックにかかるM7で、再び気合を入れ直したい。70年代に始まった『ロッキー』シリーズだが、『ロッキー3』からは80年代に突入。意外とミーハーなスタローンは、当時ヒットチャートを席巻していたヘヴィメタル〜ハードロックを惜しげもなく劇中で使用。これが見事にマッチし、映画とサントラ盤共々大ヒットを記録する。中でも、M8は、現在でも格闘番組で使用されるほどの名曲。聴けば闘士が蘇ってくるはずだ。
そして、最後はロッキーの宿敵だったアポロ・クリードが、密かに残した息子がロッキーのサポートを伴ってボクサーとして奮闘する『クリード』のメインタイトルM12。
現在、映画音楽界で最も注目を浴びる若き天才、ルドウィッグ・ゴラッソンは、ビル・コンティが手掛けてきた『ロッキー』の名テーマの数々を再編集。さらに、最新のテクノロジーとトレンドを加えてアップデートした最強のトレーニングチューンを作り上げた。
ゴール間近、思わず「エイドリアーン!」と叫びそうな気持ちをグッと抑え、早々にシャワーで汗と昂る気持ちを流して、明日のランニングにそなえて欲しい。