しぶといコリを根本から改善。肩に効くお悩み解消ピラティス。

肩まわりの痛みや違和感。その原因を辿ると、二の腕や背骨に辿り着くケースがほとんど。スマホが普及した現代は特に顕著で、血流の悪化による二の腕や背骨の炎症が不調を引き起こす。カラダのバランスを整えるピラティスで、年中続く肩こりから解放されよう。

取材・文/オカモトノブコ 撮影/内田紘倫 スタイリスト/高島聖子 撮影/大谷亮治 監修/桑原匠司

初出『Tarzan』No.890・2024年10月24日発売

お悩み解消ピラティス 肩
教えてくれた人

桑原匠司(くわばら・しょうじ)/〈PHI Pilates Japan〉代表、同アジア局長。〈株式会社CODE7〉を設立し、4500人を超えるインストラクターを養成。ピラティスでは世界初の医学書『運動療法としてのピラティスメソッド』も上梓。

まずは肩のトラブルタイプをチェック。

理学療法や医学的なエビデンスに基づき、リハビリやコンディショニングとしてのピラティスを現代に継承するPHIピラティス。「カラダ本来の動きで正しい姿勢を取り戻すと、慢性的な不調、さらには生活の質も改善していきます」と、〈PHI Pilates Japan〉代表の桑原匠司さん。

桑原さんが定義する“理想的な姿勢”とは?

「骨格を支える筋肉がそれぞれちょうどいい長さにあって、完全に脱力できた状態です。ピラティスは硬く縮んだ筋肉を伸ばし、使われず伸び切った筋肉は正しく収縮させてバランスを整える最強のメソッド。毎日5分でも3週間続ければ、機能的なカラダが手に入ります」

肩や腕まわりの不調も姿勢を整えることで根本的に改善し、再発しにくいカラダになれるのが桑原さんのメソッド。

「腕の前側にある上腕二頭筋は特に硬く縮みやすく、巻き肩や猫背の原因に。反対に背中側では肩甲骨の間の菱形筋、僧帽筋などが伸び、また上腕につながる広背筋が硬いと腕の動きが制限されて、周辺の凝りや痛みを招きます」

ただし、姿勢をよくしようと胸を張るのはNGだ。

「改善のポイントは悩みに即したエクササイズで背骨の稼働性を高め、動きが悪くなった筋肉を正しい長さで伸び・縮みさせること。肩は“引く”でなく“横に開く”ことで胸まわりのバランスが整い、筋トレ効果も高まります」

トラブルチェック

肩のお悩み別エクササイズ。

【トラブルA・D・F】リバースプランク

リバースプランク

1.膝を曲げて座り、両足を握りこぶし1個分〜腰幅くらいに開く。両手は後ろの床につき、2でカラダを持ち上げたとき肩の真下に来るように位置を調整。

リバースプランク

2.お尻を持ち上げて膝から上体を一直線にし、手でしっかり床を押して肘を伸ばす。お尻を下ろして1に戻り、8回繰り返す。

硬く縮んだ上腕二頭筋を伸ばし、肩を開いて肩甲骨を理想的なポジションに。

【トラブルB・C】ショルダーブリッジ

ショルダーブリッジ

1.仰向けで膝を曲げ、両足を握りこぶし1個分〜腰幅くらいに開いたら、まず尾骨から骨盤を傾けていく。

ショルダーブリッジ

2.続いて背骨を下からひとつずつ床からはがすようにカラダを持ち上げ、膝から上体までを一直線に。胸の後ろから背骨をひとつずつ床に下ろして戻り、8回繰り返す。

胸椎に付く筋肉を柔軟にして姿勢を整えると、肩甲骨と腕の動きもスムーズに。

【トラブルB・C・D・F】シーテッドツイスト

 シーテッドツイスト

1.椅子の真ん中に座り、骨盤を立てて両脚は腰幅に。

 シーテッドツイスト

2.両腕を真横に上げ、人差し指をピンと伸ばす。腕を伸ばしたまま、背骨を下から順にひねるイメージで、骨盤は動かさず上体のみをツイストする。

 シーテッドツイスト

3.逆側も行い、左右交互に8セット。

上腕二頭筋から大胸筋をキモチよく伸ばしつつ、胸椎の回旋を引き出す。

【トラブルB・C・D・F】ソウ 

ソウ

1.椅子に座って骨盤を立てて両脚を腰幅に開き、足はやや遠くの床につける。両腕は真横に上げ、人差し指をピンと伸ばす。

ソウ

2.腕と骨盤の位置はキープしたまま、背骨をねじって上体をツイスト。

ソウ

3.そのまま上体を前へ倒し、伸ばした指を反対の足の人差し指につける。上体を起こして1に戻ったら逆側も行い、左右交互に8セット。

前かがみの姿勢で伸びすぎ・縮みすぎた腕の筋肉をバランスよく使い、胸椎から肩甲骨まわりを効率よくストレッチ。

フォームローラーを用いたお悩み別エクササイズ。

ここからは、フォームローラーを使ったエクササイズを紹介。まずはどのエクササイズにも共通する準備運動からスタート。

肩甲骨の外側ほぐし|準備運動

準備運動

硬くなりやすい部分がゆるむと、その後のエクササイズがラクに。横向きに寝て腕を伸ばし、肩甲骨の外側にフォームローラーを当てる。手も使いながら転がし、逆側も行おう。

【トラブルB・C・F】マーメイド

マーメイド

1.脚を開いて両膝を倒し、片手の側面をフォームローラーに乗せる。反対の手は上に向け、横から頭上に上げていく。

マーメイド

2.上体をひねって上の手を下ろし、肩幅よりやや広めでフォームローラーに置く。

マーメイド

3.肩を下げたまま、カラダがいっぱいに伸びるまでローラーを前に転がしていく。ローラーを当てたまま2、1に戻って8回繰り返し、逆側も行う。

背骨と腕をつなぐ広背筋から対角にあるお尻まで伸ばしながら、背骨の全方位的な動きを引き出せる。

【トラブルE】ロールダウン&アップ

 ロールダウン&アップ

1.フォームローラーの端に骨盤を立てて座り、両脚を伸ばして広めに開く。両手は肩幅よりやや広めで向かい合わせにし、前へ伸ばす。

 ロールダウン&アップ

2.肩と背中を丸め、背骨を下からひとつずつローラーにつけて上体を倒していく。

 ロールダウン&アップ

3.寝転がったら両腕をバンザイして伸ばす。体幹が動きにつられないよう、肋骨の下側を下げたままキープするのがポイント。腕を上げながら背骨を上からひとつずつ持ち上げ、1に戻って8回繰り返す。

本来あるべき正しい姿勢から腕を上げ、肩関節を守る動きをカラダにインプットしよう。

【トラブルA・B・C・D】W(ダブル)

W

1.壁に向かい、脇を軽く閉じつつ肘先を外に開き「W」の形に。両手の側面と壁の間にフォームローラーをはさんで立つ。

W

2.二の腕を外旋させながら両手を上げ、ローラーを転がす。動きにつられて頭や腰が前に出ないよう、姿勢はまっすぐをキープ。腕を下ろして1に戻り、8回繰り返す。フォームローラーなしでも同様にできる。

上腕を外に開く動きをクセづけて、肩関節への負担を軽減。

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