
教えてくれた人
桑原匠司(くわばら・しょうじ)/〈PHI Pilates Japan〉代表、同アジア局長。〈株式会社CODE7〉を設立し、4500人を超えるインストラクターを養成。ピラティスでは世界初の医学書『運動療法としてのピラティスメソッド』も上梓。
まずは肩のトラブルタイプをチェック。
理学療法や医学的なエビデンスに基づき、リハビリやコンディショニングとしてのピラティスを現代に継承するPHIピラティス。「カラダ本来の動きで正しい姿勢を取り戻すと、慢性的な不調、さらには生活の質も改善していきます」と、〈PHI Pilates Japan〉代表の桑原匠司さん。
桑原さんが定義する“理想的な姿勢”とは?
「骨格を支える筋肉がそれぞれちょうどいい長さにあって、完全に脱力できた状態です。ピラティスは硬く縮んだ筋肉を伸ばし、使われず伸び切った筋肉は正しく収縮させてバランスを整える最強のメソッド。毎日5分でも3週間続ければ、機能的なカラダが手に入ります」
肩や腕まわりの不調も姿勢を整えることで根本的に改善し、再発しにくいカラダになれるのが桑原さんのメソッド。
「腕の前側にある上腕二頭筋は特に硬く縮みやすく、巻き肩や猫背の原因に。反対に背中側では肩甲骨の間の菱形筋、僧帽筋などが伸び、また上腕につながる広背筋が硬いと腕の動きが制限されて、周辺の凝りや痛みを招きます」
ただし、姿勢をよくしようと胸を張るのはNGだ。
「改善のポイントは悩みに即したエクササイズで背骨の稼働性を高め、動きが悪くなった筋肉を正しい長さで伸び・縮みさせること。肩は“引く”でなく“横に開く”ことで胸まわりのバランスが整い、筋トレ効果も高まります」
肩のお悩み別エクササイズ。
【トラブルA・D・F】リバースプランク
硬く縮んだ上腕二頭筋を伸ばし、肩を開いて肩甲骨を理想的なポジションに。
【トラブルB・C】ショルダーブリッジ
胸椎に付く筋肉を柔軟にして姿勢を整えると、肩甲骨と腕の動きもスムーズに。
【トラブルB・C・D・F】シーテッドツイスト
上腕二頭筋から大胸筋をキモチよく伸ばしつつ、胸椎の回旋を引き出す。
【トラブルB・C・D・F】ソウ
前かがみの姿勢で伸びすぎ・縮みすぎた腕の筋肉をバランスよく使い、胸椎から肩甲骨まわりを効率よくストレッチ。
フォームローラーを用いたお悩み別エクササイズ。
ここからは、フォームローラーを使ったエクササイズを紹介。まずはどのエクササイズにも共通する準備運動からスタート。
肩甲骨の外側ほぐし|準備運動
硬くなりやすい部分がゆるむと、その後のエクササイズがラクに。横向きに寝て腕を伸ばし、肩甲骨の外側にフォームローラーを当てる。手も使いながら転がし、逆側も行おう。
【トラブルB・C・F】マーメイド
背骨と腕をつなぐ広背筋から対角にあるお尻まで伸ばしながら、背骨の全方位的な動きを引き出せる。
【トラブルE】ロールダウン&アップ
本来あるべき正しい姿勢から腕を上げ、肩関節を守る動きをカラダにインプットしよう。
【トラブルA・B・C・D】W(ダブル)
上腕を外に開く動きをクセづけて、肩関節への負担を軽減。