あの人に訊く。「あなたがピラティスをする理由は?」

アスリートから俳優、さまざまな分野で活躍する4人になぜピラティスを続けるのかを聞いた。そこには、ただカラダを鍛えるだけでないそれぞれの理由があった。

【大政絢】取材・文/間宮寧子 撮影/内田紘倫 スタイリスト/髙野夏季 ヘア&メイク/河嶋 希 ピラティス監修/菅原順二【野村忠宏】取材・文/神津文人 撮影/五十嵐一晴 スタイリスト/ヤマウチショウゴ ヘア&メイク/村田真弓 ピラティス監修/辻 茜 撮影協力/Aulii 銀座【森香澄】取材・文/間宮寧子 撮影/岩澤高雄 スタイリスト/木津明子 ヘア&メイク/福岡玲衣 ピラティス監修/Eriko 撮影協力/Pilates Mirror【片岡保幸】取材・文/山梨幸輝 撮影/内田紘倫 ピラティス監修/菅原順二

初出『Tarzan』No.890・2024年10月24日発売

大政絢 野村忠宏 森香澄 片岡保幸

大政 絢|レッスンのたびに発見がある。奥深い世界の虜になりました。

ピラティス 大政絢

視線を惹きつける引力のある大政絢さんの健康的な美しさ。それを支えているのが、長年続けているピラティスだ。

「7年前からレッスンに通い、基本は週1〜2回、集中して鍛えたい時には週4回行くことも。本来は飽き性なのに継続できているのは、無限のメニューがあって奥深く、毎回違う発見があるから。集中しないとできないような難度の高いムーブメントも多く、没頭して無になれる。心とカラダが繫がるからか気持ちも前向きになります」

椅子型のマシン「チェア」を保有し、家でもピラティスに励んでいるとか。

「ピラティスを続けてカラダの歪みに敏感になり、こまめにリセットしたいと思うように。1日10分でもチェアを使って動くと整うから、疲れていても欠かせません。どこかが凝っていたり違和感があったりすると以前はマッサージを受けていましたが、ピラティスでかなり直るんですよ。最近はトレーナーの資格取得にも興味があって。もっと知識を深めて、自分のカラダを自分で調整できるようになりたいです」

大政さんのピラティス愛は、周りにも伝染しているよう。

「私の勧めで母が始めて、転びにくくなったとか。ピラティスで体幹はもちろん、骨まで変わる。健康体で豊かな人生を送るためにも、ライフワークとして続けていきたいです」

大政 絢(おおまさ・あや)/俳優・モデル1991年生まれ。ドラマやCMに出演するほか、雑誌のカバーモデルなど幅広いジャンルで活躍している。『日曜日の初耳学』(TBS系)にはMCとして出演中。

野村忠宏|アンバランスなカラダが整い、カラダへの意識が高まった。

ピラティス 野村忠宏

2024年12月に50歳の誕生日を迎える野村忠宏さん。節目に向けて、カラダづくりを見直そうと考えていた1年ほど前に出合ったのがピラティスだった。

「40歳で引退するまでたび重なるケガがあり、肩と膝はまだ手術をする必要があるんです。今後の人生を考えたとき、今まで以上にケアが必要だろうと。現役時代にカラダを見てもらっていたトレーナーの助言もあってピラティスを始めました。ピラティスのゆっくりした動作、呼吸によって、カラダへの意識が高まったように感じています。僕はアンバランスが生む強さもあるという考え方で、柔道特有のアンバランスをあえてそのままにしていたのですが、それも整っていきそうです」

インナーマッスルの強化、柔軟性の向上、リラックス効果など、身をもってピラティスの魅力を実感した野村さん。なんと、ピラティススタジオを併設した鍼灸接骨院を東京・目黒区にオープンする(12月予定)という。

「スポーツや日常生活でカラダを痛めたとき、まずは痛みを取り、癒えた後はケガをしにくいカラダを作っていくことが大切です。カラダのバランスが整い、使い方も上達するピラティスは、ケガ予防に向いていると思います。スポーツを楽しんでいる方に、日々のコンディショニングとして、ぜひ取り入れてほしいですね」

野村忠宏(のむら・ただひろ)/柔道家・経営者(株)Nextend代表取締役。ミキハウス スポーツクラブGM。野村道場プロデューサー。オリンピック3連覇(柔道史上初、全競技を通してアジア人初)の偉業を達成。

森香澄|楽しくてスッキリするから、忙しい時こそピラティスが必要。

ピラティス 森香澄

「私が通っているピラティススタジオでは、最初にトレーナーさんが整体を施してくれるんです。しっかりほぐされてから動くので、カラダが最大限まで伸びる。それがとても幸せな時間で、集中したままあっという間に終わってしまいます。運動は面倒になることもあるけれど、ピラティスは気持ちいい、楽しいというプラスの面が多いから忙しくても行きたくなるんです」

以前はパーソナルトレーニングに通っていたが、理想のカラダを求めてピラティスにシフトしたとか。

「きれいな曲線を描くカラダが理想ですが、体質的に筋肉がつきやすくて。しなやかになりたいならインナーマッスルを鍛えた方がいいとトレーナーさんに勧められ、ピラティスを始めました。もともと姿勢が悪く、変なところに筋肉がついてしまうのが悩みだったのですが、全身のバランスが改善され、ラインが整ったと実感しています」

気持ちよく動いてなりたいカラダに近づくことで、メンタルにも変化が。

「もともと前向きですが、よりポジティブになれたと思います。嫌なことがあっても“カラダきれいだし、盛れてるし、いっか!”と乗り越えられる(笑)。疲れにくくなり風邪もひかなくなったんですよ。今、心身ともに元気でいるのはピラティスのおかげかも!」

森 香澄(もり・かすみ)/フリーアナウンサー・タレント。1995年生まれ。『森香澄の全部嘘テレビ』(テレビ朝日)、ドラマ『3年C組は不倫してます。』(日本テレビ系)などに出演。写真集『すのかすみ。』(幻冬舎)が発売中。フリーアナウンサー、タレント、俳優。ジャンルを超えて活躍し、多忙な日々を送る森香澄さんにとって、ピラティスは大切なリフレッシュの時間。

片岡保幸|試合前にピラティスをするのが現役時代のルーティンでした。

ピラティス 片岡保幸

2007年から4年連続で盗塁王に輝いた元プロ野球選手の片岡保幸さん。異次元の走力を支えたのがピラティスだ。

「143試合走れないとだめですから、コンディションの調整が課題でした。準備運動には毎日数時間かけるほど。それでもある時、膝を痛めてしまって。治療院でピラティスを勧められて、藁にもすがる思いで始めました」

こうして出会ったのが、本特集にも登場するインストラクター・菅原順二さんだ。持ち味である関節の柔軟性が逆に不要な筋肉の緊張にも繫がっている。そう読んだ菅原さんが行ったのは、強靱な体幹作り。片岡さんはこう語る。

「腹筋や臀筋に効く動きを自重でひたすら。正直、最初は地味だなと(笑)。でも実際は1時間で酸欠になるほどキツい。これまで瞬発力を意識してきたから、ゆっくりした動きで筋肉や関節と向き合う機会が少なかったのかな。毎回悔しい思いで臨みましたね」

試合前にピラティスをするという新たなルーティンも生まれた。そのかいあってか、読売ジャイアンツに入団した2014年は怪我ゼロ。守備では“適材適所”な力の抜き方ができるようになり、エラーも減った。身につけたのは143試合を“乗り切る”力だ。

「ユースチームの監督を務める今も、体幹を鍛えれば怪我予防になると伝えています。姿勢がよくなることで呼吸が深まってリカバリーの質も高まる。未来の盗塁王にはピラティスが欠かせないかもしれないですね」

片岡保幸(かたおか・やすゆき)/元プロ野球選手。1983年生まれ。西武ライオンズ、読売ジャイアンツで活躍し、2009年のWBCでは日本の優勝に貢献。24年から〈ジャイアンツ U15 ジュニアユース〉の監督を務める。

Loading...